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名古屋グランパス(アカデミー選手)が、企業や自治体と連携したSDGsの取り組み(プロギング)を取材

名古屋市広報課の丸澤です。

皆様、「プロギング」という言葉はご存知でしょうか?

ごみ拾い(PlockaUpp)とジョギング(Jogging)を掛け合わせたスウェーデン発祥の新しいフィットネスです。

名古屋市環境局がプロギングのイベントを開催していて、市内でもプロギングを行う人が増えてきています。

私もプロギングを体験したことがありますが、参加者の皆様と体を動かすことも楽しめるんですが、声の掛け合い、ごみを拾う度にニックネームで呼んだり、褒めたりすることが凄く楽しくて、世代が違う初めての方とも仲良くなれました。

※市公式ウェブサイトに名古屋市環境局作成のページがあり、そのサイトが分かりやすいので、一度見ていただけると幸いです。

(プロギングのやり方など)

(プロギングのイベント)


そんなプロギング、名古屋グランパスのアカデミー選手(主にU-18/高校生が中心)がSDGsの取り組みの一環で2022(令和4)年1月23日(日)に、鶴舞公園に集合してプロギングをしていました。

 

名古屋グランパス、日ごろからSDGsの取り組みをされていますが、「なぜトップ選手ではなく、アカデミーの選手が?」「なぜごみ拾い?」「サッカーは11人なのに、今回は9人?」など、以前に包括連携協定締結の記事でお世話になった名古屋グランパスの西村様を始め、プロギングに参加された方々に取材をしてきました。

 

※名古屋グランパスのホームページに、「OUR MISSION」としてSDGsへの取り組みが掲載されていますので、ご参考までに。


※名古屋グランパスとの包括連携協定の記事はこちら。



名古屋グランパスSDGs ACADEMY


(-は丸澤が発言)

―今回のプロジェクトについて教えてください。

西村:名古屋グランパスでは、ホームタウンである名古屋市をはじめ、愛知県がより良くなるよう、そして持続可能な社会が実現するよう「名古屋グランパスSDGsアクション」を掲げ、日ごろからホームタウンや試合会場で様々な取り組みを行っています。その一環として新たに「名古屋グランパスSDGs ACADEMY」を立ち上げました。

企業の皆様など様々な関係者と名古屋グランパスとで連携し、スポーツSDGsを学びながら企画・実践までをパッケージとしたプログラムです。

2021年8月4日にキックオフとなるプロジェクト発表会を行い、ご賛同いただいた共創パートナーの皆様と名古屋グランパスのアカデミーの選手たちとともに、SDGsのセッションを11月、12月と重ね、今回1月23日にプロトタイプ(試行実施)をしました。

プロジェクト発表会の様子

なぜアカデミー選手?なぜごみ拾い?

―なぜアカデミー選手が中心なんですか?

西村:アカデミーの選手達は高校卒業と同時にトップチームに上がる選手もいれば、大学進学、そしてその後、プロのサッカー選手や民間企業に就職する選手等、それぞれの人生が待っています。彼らがより良い人生を送るためにも、アスリートとしてのスキルや身体能力の向上、チームとしての成熟はもちろんですが、人間性・社会性の部分も同じくらい重要と考えており、日々の練習の中でも監督・コーチングスタッフが指導にあたっています。人間性・社会性という部分はプロサッカー選手であろうと、民間企業に勤めることになっても非常に重要です。

共創パートナーの企業や自治体の方々にはセッションを通じて多世代交流、スポーツ選手による新たな視点でSDGsにつながるアイデアの企画につながると考えています。

―なぜごみ拾い、プロギングを行ったのですか?

西村アカデミー選手は、U-18の古賀監督の下で練習開始前などにゴミを拾う習慣があります。人工芝が剝がれてマイクロプラスチックとなり、海洋ゴミにつながっているということも学んできました。

セッションの中でアカデミーの選手達がSDGsで自分達がしていることとして、ごみ拾いが出て来て、共創パートナーの企業の方からプロギングのアイデアが出てきた時に、「これは凄く相性がいいな」と思いました。

自治体の方から、既に名古屋市環境局様の方でプロギングが実施されているということを知り、特別協力という形で参加していただきました。

 

プロギングの実施までのセッション(話し合い等) 


―プロギングの実施までに、セッション(話し合い等)はどんなことをされましたか?

西村:2021(令和3)年11月15日に第1回目のセッションを、企業や自治体の共創パートナーとともにどういった活動をしたいかを、グランパスからはコーチやスタッフ、U-18の各学年リーダーを務める加藤選手、西選手、鈴木選手も入り、オンラインで対話をしました。

2回目は11月29日に開催し、参加メンバーの交流も兼ねて参加者で簡単なトレーニングやミニゲームを、U-18の吉村圭司コーチのもと行いました。

体を動かした後に会議室に移動し、具体的なアクションのアイデア出しを行いましたが、一緒に体を動かしたということもあって、場が凄くなごんでいました。

アイデア出しの前に交流を兼ねたサッカーのミニゲームの様子

 

名古屋グランパスのアカデミー選手を始め参加者同士のセッションの様子


―プロギング、1月23日にいきなりされたんですか?

西村:12月13日に3回目のセッションを行い、2回目の時に出てきたアイデア「プロギング」をするにあたり、(一社)プロギングジャパンの常田様にお越しいただき実際にプロギングを体験してみました。

この体験を通じて、世代に関係なく、健康を意識しながらゴミ拾いができることが分かりました。そして、3人1組のチームのような形で行うのが良いと体験を通じて分かったので、プロトタイプで実施するときは9人、3人×3組でまずは実践してみようという話になりました。

プロギングの体験会の様子 写真中央は名古屋グランパスのアカデミー 鈴木選手

 

プロギングの当日の動き


―当日の流れを簡単に教えてください。

西村:14:30に鶴舞公園内にある名古屋市緑化センターに集合しました。

まずは名古屋グランパスの職員から簡単に趣旨説明をし、GM(ゼネラルマネジャー)の山口素弘や今回ファシリテーションをお願いしている株式会社フューチャーセッションズの上井様からSDGsアカデミーについての説明をしました。

また、SDGsは「持続可能な開発目標」ということもあり、100年以上歴史のある鶴舞公園について、名古屋市緑化センターの職員の方から話を伺いました。

その後、一般社団法人プロギングジャパンの常田代表から、プロギングとSDGsの関わりの説明を受けました。ここまでで大体40分くらいですね。

 

名古屋グランパス 山口GMから今回の取り組みについての説明の様子


―すぐに実践ではなく、参加者に対しインプットを大事にされている印象ですね。

西村:そうですね、「単なるごみ拾い」ではなく、持続可能な活動、まちづくりにしていくためにも、インプットの時間は長めに取りました。

説明を受けた後に外に出て、プロギングに必要な軍手・ごみ袋の貸与、チームに分かれて自己紹介、呼んで欲しいニックネームなど確認しました。チームもアカデミー選手だけでなく、共創パートナーの参加者にも入っていただき、多世代でのプロギングとなりました。

プロギングを始める前の準備運動


加藤選手、西選手、鈴木選手が既にプロギングを体験したこともあり、ゴミの拾い方や掛け声のかけ方をチーム内で共有し、初めて結成したチームとは思えない和気あいあいとした雰囲気になっていました。

 

プロギングのコースをチームで確認している様子

 
3つのルートに分かれてプロギングを行い、それぞれのチームのゴミの量を図る時は凄く盛り上がりました。

そして最後にゴミの分別作業を行うのですが、当日も参加していただいた名古屋市環境局の皆様の選手たちから「これは何ゴミですか?」の回答の早さに驚きました。

拾ったゴミの仕分け作業中の様子

 

監督・選手からのコメント


―実際にプロギングを行って、印象とかお聞かせいただければ

古賀監督(U18):早稲田大学ア式蹴球部監督に就任した時、まず最初に取り組んだのが、グラウンド周りのゴミ拾いでした。1年間、体育の授業やトレーニングで出たコーンのかけらや絆創膏、テーピングの切れ端やペットボトルなどを毎日毎日拾っていると、次の年にはその行動に共感した選手達がゴミを拾うようになり、私は周辺の道路沿いのゴミを拾えるようになり、さらに翌年にはグラウンド脇を流れる川に捨てられたゴミを拾えるようになりました。それ以来、選手達のモラル向上と地域への貢献を両立できるゴミ拾いを趣味のように積極的に行う習慣ができました。

プロギングに挑戦してみて感じたことは、普段1人で行っている時よりも明るく楽しくゴミ拾いをすることができたということです。お互いに協力し合い、ポジティブに声を掛け合って、ジョギングしながらゴミを拾うことでこんなにも充実した達成感を味わえるとは思ってもみませんでした。

今回、3名の学年リーダーを務める選手達が参加をさせて頂きましたが、社会の様々なフィールドでご活躍される方々と共に活動を企画し、計画して実行した今回の経験は、今後彼らが立つであろうステージにおけるリーダーシップやキャプテンシーへ繋がっていくと強く確信しております。このような素晴らしい機会を創出して頂いた関係者の皆様方に深く感謝致します。

選手と共にプロギングする古賀監督(青ジャージ)


 

西選手:今回、プロギングをした感想はとにかく楽しかったということです。ゴミ拾いと聞くと正直、「やりたくないな」「めんどくさいな」と思います。実際にチームメイトに一緒に参加することを提案した際に「え?ゴミ拾いするの?」と言われました。しかし、当日いざやってみると凄く楽しむことができ、一緒に参加したチームメイトも「楽しかった!」と言ってくれました。

今回は3チームに分かれてチームで拾ったゴミの重さで勝負をするというルールでした。そのため「勝ちたい!」という気持ちが出てきて競技として楽しむことができました。また、同じチームになった企業の方々とプロギングをしながら、たくさんのコミュニケーションをとることができ、話が盛り上がって楽しかったというのもありました。今の高校生はなかなか企業の大人の方々とコミュニケーションをとる機会がありません。
そういった意味ではこのプロギングを通して、大人の方々とたくさんコミュニケーションをとれたことはすごく貴重な体験になり、良い経験になったと思います。

この体験を通して学んだことや経験できたことを今後の人生に少しでも生かしていけるようにしたいと思いました。

プロギングのチームを引っ張る西選手(写真中央)


鈴木選手:今回、SDGsへの知識があまり深くない中で、自分自身初めてプロギングに参加して率直な感想として、とても充実した時間で楽しかったです。SDGsアカデミーとして企画を創り上げていく中で最初は不安なことが多くありました。でも、多くの企業の方々とコミュニケーションをとりながら企画を創り、実践しました。いつのまにか不安などがなくなっていて楽しさに変わっていました。そして、人としても成長することができたと思います。

プロギングでは、特にタバコの吸い殻、コンビニのビニール袋、缶などが多かったです。楽しくゴミ拾いするのはいいですが、ゴミが落ちてない社会になると1番いいと思いました。自分も微力ながら周りの人たちに呼びかけや、ゴミを見つけたら拾うなどしていきたいと思います。

このプロギングで学んだことはサッカーにも活かしていきたいと思います。プロギング中に企業の方々と話したことは自分の視野の拡大につながりました。最後に、この貴重な経験をチームのみんなに話し、還元することが僕の役目です。より、チームを前進させられる選手にこれからなっていきたいと思います。

集合場所に戻ってくる鈴木選手

最後に

私(丸澤)も当日、古賀監督もいるチームに取材で帯同しましたが、ごみを見つける「視野の広さ」、率先して拾いに行く「献身的な動き」、サッカーの大切な動きに通じるところを垣間見た気がします。

 名古屋グランパスU-18は、昨年行われた第45回日本クラブユースサッカー選手権で優勝しています。その大会のMVPは、今回プロギングに参加した加藤選手です。

今回の取材で加藤選手の動きを見ていましたが、周囲への声かけ、キャプテンシーを持ち率先して行動している姿は、サッカーのフィールドだけでなく、社会のフィールドに立った時にも発揮されるんだなと強く感じました。

 監督だけでなく、加藤選手を始めとした若い世代のチームを引っ張る選手が意識を持って、名古屋という街、企業や自治体といった様々なセクターや、異なる世代の人たちとSDGsを共通言語に、社会と接点を持つ、そして行動することが本当に素晴らしいなと思いました。

 これからも社会・地域課題の解決にスポーツ団体×〇〇(社会・地域課題)があれば、取材していきたいと思います。

 

 

 ※ごみ分別は「さんあーる」というアプリが便利です。こちらのサイトからご覧下さい。

 
※写真提供:名古屋グランパス


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