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#なごやを歩こう/志段味エリア編 埴輪を探そう~広報なごや11月号~

こんにちは。名古屋市広報課の小室です。

広報なごや11月号で取り上げた#なごやを歩こう 志段味エリア編は読んでいただけましたでしょうか?
この記事では志段味エリアにを実際に歩いて巡った様子を紹介しています。ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。


志段味エリアを知ろう

志段味エリアは、名古屋市の形を地図で見たときに北東に伸びた角のような部分、守山区の北部にあります。
市内で最も高い山、「東谷山」をはじめとした起伏のある地形が特徴で、豊かな自然が魅力の地域です。
紙面でも紹介したように、志段味エリアは様々な年代に造られた古墳が多く集中している珍しい地域であり、これらの古墳の集まりは志段味古墳群として国に史跡指定されています。
その中にはすでに消滅してしまった古墳もありますが、国に史跡指定された古墳などは「歴史の里 しだみ古墳群」として整備され、見て回ることができます。
広報なごやでは紙面の都合で一部しか紹介できませんでしたが、noteではそうした古墳を一挙に紹介したいと思います。
途中では、「東谷山フルーツパーク」の旬の果物を活かしたスイーツなども紹介しています。ぜひ皆さんも足を運んでみてください。

志段味エリアに行こう

志段味エリアに行くには、名古屋ガイドウェイバス「ゆとりーとライン」に乗っていくのが便利です。この「ゆとりーとライン」は、ガイドレールを備えた専用軌道と車両の案内装置を組み合わせた、ハンドル操作が不要な交通システムを採用しています。「大曽根」駅から「小幡緑地」駅までが高架区間となっていることも併せ、全国的に見ても珍しい交通機関です。

大曽根駅から見た高架

「大曽根」駅から「高蔵寺」駅行きのバスに乗れば、目的地近くの「東谷橋」停までおおむね35分ほどで行くことができます。

高蔵寺行きを選んで乗る

古墳を巡ろう

「歴史の里 しだみ古墳群」のウェブサイトで紹介されているウォーキングマップでは、11基の古墳と、それぞれの間の徒歩での所要時間が紹介されています。

歴史の里 志段味古墳群の公式サイトで紹介されているマップ

せっかくなので東谷山の山頂にある展望台がゴールになるようなルートで巡ってみます!

マップに記載の各古墳への徒歩での所要時間や地図アプリで作成したルートを見てみると、おおむね6km弱、累積標高150m、徒歩での所要時間1時間20分程度のルートになるようです。少し早足で行けば1時間程度で巡ることもできるかもしれません。
運動不足に悩み、忙しい生活の中での息抜きを求めている社会人のみなさまに、志段味古墳群めぐりはきわめて適したアクティビティだと言えそうです。
とはいえ実際には古墳や施設を見て回ったりするでしょうから、もう少し時間がかかるはず。実際に歩いて見て回り、どのくらい時間がかかるのか確かめてみます。

「東谷橋」停着の時点で時刻は14:42。
それでは志段味古墳群めぐりを始めます!

(古墳についての描写は公式な解説ではなく、筆者の素朴な感想です。詳しい解説などは、歴史の里 志段味古墳群の公式サイトや現地の案内板などをご確認ください)

出発地点の東谷橋停。奥にのびる道の先に東谷山白鳥古墳がある

東谷山白鳥古墳

1基目は「東谷橋」停から東に行った道沿いにある「東谷山白鳥古墳」。歩いているうちに見落としたりしないかと心配だったのですが、看板も立っていて、史跡めぐりが不慣れな人にもわかりやすくなっています。

入口にはわかりやすい看板が立っていた
東谷山白鳥古墳。可愛らしい印象を受ける

墳丘は丸く、草で出来たまんじゅうのような印象を受けます。

石室内部の様子

古墳内部の石室はライトが設置され、中の様子が見られるようになっていました。
この石室の中から出土した直刀などは市博物館に収蔵されているそうです。

近くにあった案内板

近くに志段味古墳群全体の案内板も設置されていました。

古墳見学にあたっての注意事項の記載

貴重な文化財である古墳を見学するにあたっての注意事項も記載されています。
皆さんも見学の際にはご注意をお願いいたします。

道中(東谷山白鳥古墳~勝手塚古墳)

次の古墳へ向かいます。

マップに記載されたルートをたどる

この日は幸い天気がよく、散歩にはもってこいです。

道中で見かけた味のあるオブジェ
路上に設置されている案内板

マップで案内されているルート上には、ときおりこういった看板が設置されており、不案内な筆者でも迷う心配はなさそうです。

勝手塚古墳

2基目は「勝手塚古墳」。「勝手社」という神社が墳丘の上に置かれています。

墳丘の上に社が置かれ、神社になっている

一見すると小高い丘のように見えますが、回り込むと円く作られた墳丘の形を感じることができます。

墳丘左手側
墳丘右手側

先ほどとは違い、なんだか静謐な雰囲気を感じる場所です。

復元された埴輪が並べられ、当時の様子を再現している

道中(勝手塚古墳~体感!しだみ古墳群ミュージアム)

引き返して体感!しだみ古墳群ミュージアム(しだみゅー)へ向かっていたところ、先ほど見かけたオブジェに似たものを見つけました。

おや…?
埴輪だ!

意匠に共通点がありますし、先ほどのオブジェもしだみゅー関連のものなのかもしれません。
こういった細かい発見があると、歩いて回るのも楽しくなりますね。

体感!しだみ古墳群ミュージアム

しだみゅー外観

しだみゅー館内には常設展、企画展が楽しめる展示室のほか、埴輪作り体験などができる体験活動室、子ども向けスペースの「こどもこふん」などがあります。

体験活動室。
日替わりで勾玉づくりや埴輪づくりといったワークショップを開催している
こどもこふん
受け付けに飾られていた手作りの埴輪

二階から外へ出ると古墳エリアがあります。

古墳エリア案内板。多くの古墳が位置しているのが分かる

整備された遊歩道やベンチなど、居心地のいい空間の中に多くの古墳が点在しています。

芝生が敷かれ、広々として気持ちがいい

開けた視界と抜ける風が気持ちよく、この時期にはぴったりの場所です。
この日も犬の散歩に来た方やベンチで本を読む方など、思い思いの過ごし方をしている方がいました。

大久手3号墳
西大久手古墳。写真ではわかりにくいが、盛り上がった土に墳丘の痕跡がある
大久手5号墳。帆立貝式古墳の一部が復元されている
大塚2号墳

古墳エリアの端に歩いていくと……。

遠くからでもわかる志段味大塚古墳

志段味大塚古墳

古墳エリアの西側の端に志段味大塚古墳があります。

墳丘は葺石(表面を飾る石)が貼られ、造られた当時の姿を再現している
墳丘の上に登るための階段

墳丘の上には様々な形の復元埴輪が展示されており、当時の様子を今も知らせています。

墳丘の上には復元された埴輪が並んでいる
先ほど見かけたオブジェに似た形の埴輪

他にも敷地内にはいろいろなオブジェが配置されており、見て回るのもなかなかに楽しいです。

どんぐりの見分け方について知ることもできる
公園で時折見かけるエビフライみたいな遊具、の緑バージョン
タイルでつくられた志段味エリアの地図
タイルの地図には古墳の位置などが細かく再現されている

道中(体感!しだみ古墳群ミュージアム~白鳥塚古墳)

来た道を戻って次の古墳に向かいます。

さっきの鳥だ。……え!?

改めて見ていたところ、あることに気づきました。

2(ツー)!?!?!?

このオブジェ、番号が振られているようです。

なら、さっきの埴輪も……?
1だ!

もしかしたら連番で沢山設置してあるのかもしれません。
こういう仕掛けがあると他にもないのか探したくなりますね。

白鳥塚古墳

入口にはわかりやすい表示が

入り口には志段味小学校の生徒さんが調べた、古墳についての情報が紹介されていました。

白鳥塚古墳についての案内。ほかにも勝手塚古墳と志段味大塚古墳の案内があった。

解説のパネルには金木犀の花が散っていて季節を感じさせます。

案内板の上で咲く金木犀

古墳はかなり大きく、丘のようにも見えますが、整った円形の形状から墳丘だとわかります。

上記案内で紹介されていたベストショットから撮った白鳥塚古墳
正面からの眺めも捨てがたい

墳頂には円形に敷き詰められた石英がありました。当時の様子を再現しているようです。

墳頂に円形に敷き詰められた石英。
敷かれた石が色味で分けられているのか、白い円が幾重にも重なっているように見える。

道中(白鳥塚古墳~東谷山フルーツパーク)

白鳥塚古墳を後にした時点で時刻はすでに15:55。古墳を見比べてみるのが楽しかったこともあり、すでに1時間以上かかっています。
各地点の見物をそこそこに済ませてもこの時間なので、しっかり時間を取って歩きに来た方が楽しめそうです。

おっ
3(スリー)だ

この埴輪がいくつあるのか、確かめたくなりますね。
道中でよく見かけることから、ウォーキングマップで紹介されているルート上に配置されているのでしょうか。

東谷山フルーツパークがきわめて近いことを知らせる看板

黙々と歩いていたところ…

5(ファイブ)じゃん!

早くも一つ見落としてしまったようです。
一旦引き返すか検討するくらいショックでしたが、めげずに歩を進めます。

これから登ることになる東谷山の威容。画面中央の山頂の右に南の峰があるのが分かる
本当に登り切れるのか不安だ
6。やはり4番の埴輪は見落としてしまった様子

東谷山フルーツパーク

同園シンボルタワー「芽生(めばえ)」

ついにやってきました、東谷山フルーツパーク。
歩き通しで少し疲れてきたので、甘いものを食べて活力を補いたいところですが……。

この時点で時刻は16:02。時間の都合上フルーツパークテラスやフルーツパークマルシェについては後日訪問することとしました。


東谷山フルーツパークには、食事やデザート、季節のフルーツなどを楽しめるレストハウス「フルーツパークテラス」と、園内で収穫された新鮮な果物や果物加工品のほか、地産地消の新鮮な野菜、人気の果物などを買うことのできる売店の「フルーツパークマルシェ」があります。

フルーツパークテラス館内
広々として明るく、席数にも余裕がある
いちじくサンド。鮮やかな断面が見た目にも嬉しい
なしのパフェ

フルーツパークテラスのスイーツはいずれも季節のフルーツが贅沢に使われており、季節限定とのこと。訪れた時期によって、季節折々の甘味を楽しめます。
この記事が公開される頃には、また違ったメニューが楽しめるかもしれません。

フルーツパークマルシェ外観
収穫の時期にはフルーツパーク産の果物が並ぶこともある
果物を加工した商品も。
売り場にはフルーツを美味しく食べるためのレシピなどを紹介したプリントも配架されていた

フルーツパークマルシェには園内で採れた果物が並んでいることもあります。収穫の時期を見計らって訪れてみるのも楽しそうです。(人気のフルーツだとすぐに売り切れてしまうこともあるとか……)
売り場には手書きのプリントが置かれており、フルーツの美味しい食べ方やフルーツを使った加工品のレシピなどが紹介されています。作ってみたいレシピから果物を選んでみるのも楽しそうです。

マルシェでもパフェや生絞りジュースなどを楽しむこともできる
こちらも季節によってメニューが切り替わるため、旬のフルーツを味わえる

フルーツパークの閉園時間は16:30。フルーツパークマルシェとフルーツパークテラスは15:30までの営業です(ラストオーダーは15:00)。


東谷山散策路入口

東谷山フルーツパークから先に進み、東谷山散策路の入口に到着。

東谷山散策路入口の表示
ここの埴輪は14。ものすごく間が飛んでしまった

時刻は16:07。この日の日没は17:15だったため、安全のためには1時間程度で山頂まで登り、紹介のための写真などを撮り、下山まで完了する必要があります。
マップに記載の所要時間を見るに、東谷山の山頂まで30分程度、そこから市街地の中にある東谷山白鳥古墳まで30分程度で移動できるようです。地図の様子から山頂~東谷山白鳥古墳の道のりの後ろ半分くらいは市街地を歩くようなので、暗くなる前には問題なく山から出られそうです。
というわけで、予定通り登ってみることにします。

散策路の様子。
鬱蒼としているが、柵が整備されており、道も踏み固められていて歩きやすい
13番の埴輪。番号が入口から遡っている形になる

筆者が運動不足なこともあり、歩き始めてすぐに息が切れ始めます。運動強度としては十分なようです。登り坂はきついですが、木々に囲まれた散策路は空気が涼しく、気持ちよく歩けるのは良い点です。
また、整備されているとはいえ大きな石が突き出た足場や段差のかなり大きい部分もあるので、散策の際には登山に適した靴や服装で来た方が良いでしょう。

きつい登り坂で意識が朦朧としてきたところで南社古墳に到着しました。

南社古墳

南社古墳は名前の通り墳丘の上に社が作られています。

階段があり社に参詣できる
階段の両脇には復元された埴輪が並べられている

南社古墳は東谷山の南の峰の頂に造られた古墳とのこと。実際にここから山頂の間にある谷間に向けて、散策路が一度大きく下ります。

下り坂も階段になっており歩きやすい
峰と峰のあいだ、谷間になっている所には鳥形埴輪が
この埴輪は10番。疲労のせいか、信じられないほど写真がぶれている
案内板。山道で迷子になる心配はしなくてよさそう
そしてまた先が見えないほどの階段を登る
ヒエ~

中社古墳

斜面に敷かれた葺石と、復元され整列している埴輪

先の見えない階段を登りきった先に中社古墳がありました。

墳丘の上に置かれた社

墳丘の上には南社古墳同様、社が置かれています。
ここまで来ると感想を抱いている余裕がないくらいに息切れしています。

山頂までの距離を示す看板。あと80mか……

東谷山山頂(尾張戸神社古墳・東谷山展望台)

山頂にある尾張戸神社境内は視界が開けており、久しぶりの日光の明るさが嬉しい。
この写真の奥に墳丘がある

ようやく山頂へ到達。到着時の時刻は16:25でした。18分で登ってきたことになります。正直かなりしんどい道のりでしたが、急ぎすぎのペースで歩いていたせいでもあるようです。30分程度かけるつもりで行けばもっと簡単に登ることもできそうです。
鬱蒼とした山の中を歩いてきたので、境内の明るさが安心感を与えてくれます。

東谷山は標高198m
数字で見ると小さいように感じるが、登りごたえは十分すぎるほど
東側の眺望。瀬戸市を見渡すことができる
東谷山展望台

今回の最終目的地である東谷山展望台に上ります。

夕日を受ける名古屋市の眺望
過去にはこの景色が広報なごやの表紙を飾ったことも

ちょうど夕暮れの時間にたどり着くことができました。
登りきった達成感もあり、夕日を受ける市内の眺望がより一層美しく感じられます。遠くにかすむビルのシルエットが奇麗です。
ここまで登るだけの価値があると感じられる景色でした。

下山しよう

展望台から夕暮れを満喫し、帰りは北側の散策路から下山します。
16:36に下山開始です。

山頂にも埴輪がいた。12番
北側の散策路
市街側で車道に接続されていることもあり、南側よりも道が広く歩きやすい

北側散策路は南側よりも歩きやすいですが、道を外れると切り立った崖のようになっているところもあり、やはり暗くなってから歩くのは避けたほうが良さそうです。

崖のようになっている部分に設置されたガードレール

散策路から道なりに進むと、今回の開始地点である東谷山白鳥古墳まで戻ってくることができます。

東谷山白鳥古墳

ゆとりーとライン「東谷橋」停に着いた時点で17:01。疲労もあり、ゆっくりと歩きましたが、25分くらいで下山できました。ちょうどよく大曽根行きのバスが来て、そのまま市役所に戻ることができました。

画面中央に高蔵寺から来た大曽根行きバスが写っている

おわりに ゆっくり歩こう

14:42に開始して17:01に終了したので、今回のウォーキングにかかった時間は2時間19分でした。
最初に想定したタイムを大きく超過していますが、歩き終わった後に率直に思うのは、「もっとゆっくり歩いた方がいい」ということです。

今回巡ったのはどこも、早足で回るだけではもったいないくらい魅力的な場所でした。ぜひゆっくり時間をとって訪れていただきたいと思います。

志段味のまちを歩く分には、道は平坦で歩きやすく、それほど時間もかかりませんでした。
東谷山も北側からゆっくり歩けば、それほど苦にならず展望台まで登れると思います。散策路は整備されているとはいえ山道なので、ある程度の準備をしてから登ると良いでしょう。散策路は暗くなるとほとんど足元が見えなくなるようなので、安全のためにも明るいうちに下山を完了できるよう、スケジュールを立てて散策するとよいですね。
東谷山フルーツパークの駐車場は閉園時(16:30)には閉まるとのことなので、車で来られる方はこの時刻を散策の目安にするとよさそうです。

埴輪を番号順に残らず探したり、東谷山フルーツパークで美味しいものを食べたり、しだみゅーのベンチでゆっくり過ごしたり、東谷山山頂からの景色を楽しんだり……いろいろな楽しみ方が出来そうです。
風が涼しい季節にもなってきましたので、皆さんもぜひ志段味エリアを実際に歩いて、魅力を発見してみてください。


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