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南区いい湯だな♪銭湯めぐり(第2回~桜台温泉編~)

おはこんばんちは。名古屋市南区役所地域力推進室の「せんとうくん42歳」です。いきなり年代感あふれる挨拶からスタートしてみました。

せんとうくん42歳です。名前だけでも覚えて帰ってもらえれば。


さて、今月も26日(風呂の日)を迎えました。更新日の8月26日はサニーデイ・サービスの曽我部恵一の誕生日とのことです。本当にたまたまですが、これを書いている日に映画「ドキュメント サニーデイ・サービス」の舞台挨拶付き上映があり、私はこの後行くことになっております。

私の予定はさておき、今回は名古屋市南区の銭湯を紹介するnoteこと「南区いい湯だな♪銭湯めぐり」の2回目でございます。果たしてどのぐらいの方に届いているのか不安でございますが、今月も記事をしたためていきたいと思いますので、ひとつお付き合いよろしくお願いします。

前回はプロローグ編でしたが、今回からは南区にある公衆浴場組合加盟の銭湯を一軒ずつご紹介していきます。言わば、今回からが本番です。とはいえ、前回を読んでない方は、まずそちらをお読みいただけるとありがたいです。


今回ご紹介する銭湯は?

さて、一軒目の銭湯はこちらです!

南区の北東部、地下鉄「桜本町」駅の近くにある「桜台温泉」でございます!

桜台温泉の施設情報はこちらから

こちらのサイトは組合の銭湯情報がまとめられていて、非常に便利な優れものです。

「あれ?じゃあせんとうくん42歳が銭湯を紹介する必要ないんじゃない?あんた退場しなさいよ。」そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。実際そうなのかもしれません。いやいや、私の愛でポイントを中心に、私のアングルから見た銭湯をお伝えするのがこのnoteです。と、差別化していることをアピールしておきます。

と、この記事の後半に衝撃的な事実が書かれていることはとりあえず置いておきまして、銭湯レポートを始めたいと思います。


銭湯レポート(外観から脱衣所まで)※許可を得て撮影しています。


平成のどっかの年代っぽい雰囲気の看板がお出迎えしてくれます。
 
中に入るととこんな感じです。

フロント形式の受付です。桜台温泉は今年の1月から、サウナ利用の場合に別途100円の料金がかかるようになりました。サウナ利用者は専用の木札を手首に付けて入ります。

木札には「さ」と書いてあるんですかね?サウナだから?桜台温泉だから?手作りでしょうか?はてなばっかりです。
 
脱衣所はこんな感じです。

設備的な古さはありますが、清潔に保たれた脱衣所です。浴室との間の壁にはさみ込まれたステンドグラスが素敵です。
 
あとドライヤーがね、無料なんです。銭湯はドライヤー使用料がかかる(とはいえ3分20円とかですが)ところが多い印象ですが、無料です。


銭湯レポート(浴室)

それでは浴室に入ってみましょう!

銭湯は「まちの風呂屋」ですから、スーパー銭湯のようなひたすらにだだっ広い浴室ではありません。とはいえ、一般的な家庭レベルの浴室と比べれば、当たり前ですが広いです。桜台温泉もほどよい広さで、まとまった浴室となっています。

こちらは浴室の奥から撮影したものです。浴室側からはこんな感じでステンドグラスが見えます。
 
そして、桜台温泉といえば何といってもこちらです!

でで~ん!縦2m×横10mのモザイクタイル壁画です!

女性側から見るとこんな感じ!
 
銭湯にこんな大きなタイル壁画なんてあまりないんじゃないかと思います。その大きさに圧倒されますし、モザイク状にひとつひとつ色の違うタイルが貼られた細かい仕事に見とれてしまいます。見ごたえ十分の壁画です。これを見るためだけでも、桜台温泉に来る価値があるんじゃないでしょうか。

こちらがメインの浴槽です。まずは丸みを帯びたその形状に心を持っていかれます。そして浴槽内にはバイブラがあります。バイブラとは、浴槽の床から細かい泡をポコポコと噴出する装置です。泡が体を包み込んでくれます。
 
また、お湯の中にずっと入っていられる気持ちよさがありました。銭湯のお風呂は熱い設定のところもあって、それはそれで良さのひとつだったりもするのですが、桜台温泉はちょうどよくて、長湯できちゃいますね。

こちらが薬風呂です。撮影日は玉露・カテキン配合のお風呂でした。バイブラがあって香りがよく立ちます
 
ちなみにこの薬風呂に使用している薬剤を作っているのは、なんと南区の企業なんです!全国の銭湯などにも商品を卸している健美薬湯(所在地:名古屋市南区菊住)という会社です。南区は銭湯が多いだけでなく、銭湯に関係した会社もある土地なんですよ~。

その他、ジェットバス(上)や電気風呂(下)もあります。

銭湯レポート(サウナ)

次はサウナのご紹介です。

ガス遠赤外線サウナです。温度設定は95℃を行ったり来たりなんだそうです。私は40歳を行ったり来たりしています。

こちらは男性側のサウナです。後ほど女性側のサウナも紹介します。
座面は1段に4名+イスに1名の合計5名が座れる感じです。温度は標準的なぐらいかなと思いますが、湿度もそこそこで、結構熱さを感じるサウナだと思います。

このヒーター前の位置取りは熱すぎますので、ビギナーの方はご注意ください。一緒に入っていた常連の方が教えてくれました。

15分計(左)と5分計(右)の砂時計があります。私には15分の方が落ちきるまで入っていられない熱さでした。サウナは各々の個人差や、当日の体調に合わせて入りましょう。


ちなみに、こちらが女性側のサウナです。元々塩サウナだったことからタイル張りとなっており、温度が75℃ぐらいとのことです。

こちらがサウナーのオアシスこと水風呂です。注意書きにあるように、かけ水をしてから入るように!オアシスだからといって、兄弟げんかもご法度です。
 
この水風呂、すごく気持ちよかったです。冷たすぎず、かといってぬるいわけでもなく、ずっと入っていられるような水風呂でした。水もたくさん流入していて、いいですね。
 
水風呂後の休憩は、浴槽のへりに座りました。ちょうど見上げると、桜台温泉の象徴であるモザイクタイル壁画が眼前に広がります。

この壁画には山がたくさん描かれています。思わず「マウンテン、マ~ウンテ~ン」と口ずさみたくなってしまいます。それからじっと壁画を見つめていて思ったことがあります。
 
「山多すぎじゃね」
 
ウケるレベルで山が多いなと思ったところで、入浴終了です。


銭湯レポート(湯上がり)


湯上り後の待合はこんな感じです。

湯上り後のお供はこんなラインナップです。かゆいところには確実に手が届いてる気がしますよね。アイスクリームケースの上には、招き猫がドープネスに鎮座しております。

店主インタビュー

というわけで、店主インタビューです。店主は浅井能久(あさい よしひさ)さんです。

浅井能久(あさい よしひさ)さん

ここで、冒頭にも記した衝撃的な事実をお伝えいたします。
 
何と、この桜台温泉ですが…
 
9月末をもちまして…
 
廃業してしまいます(涙)
 
悲しいです。悲しすぎます。実際に入ってみて、体験してみて、素晴らしい銭湯だっただけに、せんとうくん42歳も惜しい気持ちでいっぱいです。
 
以下の店主インタビューは、そんなことも踏まえながら読んでいただければと思います。
 
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――桜台温泉の歴史を教えてください。
 
浅井能久さん(以下、浅井) 第二次世界大戦後、桜本町のところに「桜湯」という銭湯があり、昭和31年にその2軒目として開業したのが桜台温泉でした。
(※当時の銭湯は資産家が経営して儲かっていたらしい!)
 
農業のかたわら、今でいうクレンザーを名古屋市内の銭湯相手に販売していた親父が、自ら申し込んだのかは分かりませんが、昭和36年に桜台温泉を譲り受ける形になりました。
 
――浅井さんはどのような流れで店主になられたのですか。
 
浅井 僕は4人兄弟の末っ子で、元々風呂屋をやるつもりもなく、大学に行って銀行員をしていました。しかし働いてみると、周りが優秀すぎて務まらないなと思いましたので(笑)、3年ほど経ったときに奥さんと実家へ戻ってきました。
 
その時点では親父が店主でしたが、私が30歳ぐらいのときの桜台温泉を改修するタイミングから、代表としてお金の管理をするようになりました。
 
――七福湯の店主であるカイヤさんによると、南区は掘ると海水が出てしまうので、南区の銭湯は水道水が多いとのことでしたが、桜台温泉が井戸水を使えていたのは南区の北東部に位置しているからでしょうか。
 
浅井 名鉄本線の東側は井戸水が使えるエリアだと思います。以前はすごくきれいな井戸水を使えていたのですが、3、4年前からとある事情により井戸水が濁るようになってしまいました。今は100%水道水を使用しています。
 
――燃料として廃材を利用しているとのことですが、廃材はどちらから入手していますか。
 
浅井 解体業者から安価で入手しています。重油で湯を沸かすのと比べると、圧倒的に経費を圧縮できるんですよね。

燃料として利用している廃材

水に井戸水を使用し、廃材を使って湯を沸かすとタダのようなもので、あとは電気代がかかるぐらいで、以前は経営にも余裕があったんです。ただ、その解体業者が廃業するということで、廃材の入手も困難になっていて、今は重油も使っています。
 
――桜台温泉の象徴「モザイクタイル壁画」ですが、どのような経緯で作られたものなのでしょうか。
 
浅井 2回ぐらいテレビ局の取材を受けたこともありますが、親父が継業する以前の開業当初からあるものなので、僕もよく経緯は分からないんですよね。
 
アルプスの高原にも思えるし、日本風の小屋があるから信州の方にも思えるし…。いったい、何の絵なんでしょうね(笑)。大変な苦労をして作られた贅沢な壁画だとは思います。

モザイクタイル壁画

――浴槽の形状は開業当初から変わっていないですか。
 
浅井 浴槽は位置や大きさなど3回ぐらい変えていますね。それでも、現在のものになってからは30年以上経っています。
 
――薬湯の浴槽にはバイブラがあって、実際に入ってみると薬湯の香りが立っていいなと思ったのですが、あれは意図的なものですか。
 
浅井 無理やりパイプを引っ張ってきて設置しています。香りを立たせることも目的にしていますが、下から泡が出ていると身体を刺激して、よく温まります。
 
――サウナのこだわりポイントがあれば教えてください。
 
浅井 男性サウナはヒノキを使用しています。マットは1日に4回交換して、清潔感を保っています。銭湯は洗濯の回数が多くて大変です。1日に7、8回は洗濯機を回していますので、洗濯機はすぐに壊れます(笑)。
 
――男女でサウナ室の仕様が異なるのはなぜでしょうか。
 
浅井 改装時に塩サウナが流行っていたので、女性側はタイル張りにして塩サウナ仕様になりました。今は塩の販売をやめていて、塩サウナとしては使えないのですが、サウナ室で流しているジャズのBGMが、タイルで反響していい感じなんですよ。
 
――サウナが今年の1月から有料化となった背景を教えてください。
 
浅井 経営が苦しくなっている中で、サウナに入らない方に比べて余分にガス代や電気代などがかかっているわけですから、サウナ利用者に負担をしていただくのが筋かなと思いました。

浅井 西区とか北区とかの銭湯はサウナ利用料を取っているところが多いかと思いますが、南区の銭湯ではウチだけですかね。
 
――桜台温泉の一番のこだわりを教えてください。
 
浅井 シャワーとカランの水の出がいいです。2馬力かけていますので、無茶苦茶出ます!スーパー銭湯なんかと比較しても、ウチは優れていると思います。

シャワー(上)とカラン(下)

――常連の方が毎日のように訪れているのはなぜでしょうか。
 
浅井 常連はサウナ利用の方が多いですね。サウナ利用者は木札を付けるルールになっていますが、10人ぐらいマイ木札の方がいらっしゃいます。そういった方は、「タダサウナ」している新参者がいないかどうかの監視役を、お願いしていないのにやってくれています(笑)。ありがたいです。
 
――銭湯を経営していてよかったことを教えてください。
 
浅井 コロナ前まではお客さんが勝手に来てくれて、お風呂に入って、帰っていく流れを、のんびり座って見ていられて、非常にストレスフリーでしたね。井戸水と廃材が使えていた頃は入浴料がそのまま利益な感じでしたので、よかったです。
 
――逆に経営していて大変だったことを教えてください。
 
浅井 ここ3、4年でひとつひとつ経営する上での条件が悪くなっていったところですかね。奥さんには給料を払えているのですが、僕は3年ぐらい給料をもらっていません。ずっとタダ働きです(笑)。
 
経費がかさんでいることと、コロナで途絶えてしまったお客さんのうち、女性と年配の方の客足が戻っていないのが経営上キツイですね。
 
――本来であれば、最後に将来の見通しをお聞きしようかと思っていたのですが、9月末で廃業されるという衝撃的なお話をお伺いしましたので…。
 
浅井 経営が苦しいというのはもちろん廃業の大きな理由ですが、それに加えて、昭和31年建築の家屋のため、耐震性能が低いというのも最後の一押しになりました。南海トラフ地震が襲ってきたらお客さんも死んでしまうかもしれない。奥さんと話して廃業を決めました。

――それでは廃業まで残り1か月、お客様に向けてメッセージがありましたらお願いします。

 浅井 「今までご利用ありがとうございました」という思いですね。それで生きてこられましたので、お客さんには感謝しています。

あとは中村区にある修理業者さんにも感謝しています。割高ではあるんですが(笑)、電話したらすぐに来て、あっという間に直してくれるんです。もうひとつ、30年以上にわたり、燃料となる木材廃材を運び続けてくれた解体屋さんにも感謝しています。 

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いかがでしたでしょうか。銭湯一軒目の紹介からディープで、いかんともしがたい背景から廃業を迎えることとなってしまった施設の紹介となりましたが、これもまた事実でございます。

 私は湯上り後に常連さんとお話しましたが、「客層も店主も最高だ」とおっしゃっていました。店主の浅井さんとお客さん、またお客さん同士が話している感じってすごくいいんですよね。廃業によって、そのコミュニケーションが無くなってしまうのも、とても悲しいなぁと思ってしまいました。

 泣いても笑っても、9月末日をもって桜台温泉は姿を消してしまいます。この記事を読んで興味を持った方がいらっしゃいましたら、最後に一度だけでも訪れていただければ、せんとうくん42歳もマンモスうれピーです。 

それではまた来月お会いしましょう。  

みんなにも読んでほしいですか?

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