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日刊工業新聞社×名古屋市役所。女性リーダー対談Vol.3。チャレンジを続けていけば少しずつ前進する。

こんにちは。名古屋市役所副市長の杉野みどりです。
これから管理職以上を目指していく女性社員・女性職員に、「キャリアを考えるきっかけ」や「キャリアアップのモチベーションをあげる機会」をつくりたいと思い、第一線で活躍する女性幹部の方と対談し、その内容を発信したいと思います。第3回は、日刊工業新聞社 執行役員名古屋支社長である大崎弘江さんと、男女平等参画や女性の働き方について語り合いました。

(右)日刊工業新聞社 名古屋支社 執行役員 名古屋支社長 兼 編集部長 大崎弘江さん 愛知県生まれ。名古屋支社や岐阜支局で取材活動をした後、本社編集局で1面デスク などを担当し、2021年に執行役員名古屋支社長。
(左)名古屋市副市長 杉野みどり 岐阜県岐阜市生まれ。名古屋市役所入庁以来、区役所。都市計画、高齢者福祉、児童福祉に携わり、2021年、副市長に就任。

対談は、中部経済連合会と名古屋市が設立した会員制コワーキングスペース、NAGOYA INNOVATOR’S GARAGE(ナゴヤイノベーターズガレージ、中区栄三丁目)で行いました。

男性管理職の意識を変えて、
男女のギャップを埋める環境を整えていきたい。

(―は杉野が発言)
―大崎さんは、仕事の上で男女差を感じることはありましたか?

大崎さん:
日刊工業新聞では、私が入る5年ぐらい前から女性を積極的に採用していました。名古屋支社の場合は3年くらい新卒で男性1人、女性1人を配属していました。私は上に女性の先輩が2人いたおかげで、“女性だから”ということもなく仕事ができました。

―取材先の反応はいかがでしたか?

大崎さん:
取材の相手が製造業のプロなので、男性も最初は「お前にわかるの?」「若造がわかるの?」など、同じことを言われていましたよ。女性だから少し多めに言われていたかもしれませんが、みなさんとても理解があって「きちんとしたものを書く」ということが分かると、あまり気にされなくなりました。

―そういう意味では、仕事の成果が認められやすい職種ですね。

大崎さん:
担当の業界をひとりで取材するので、会社員だけど個人商店みたいなところはあるかもしれません。

―私の場合は男性に負けまいとかなり背伸びをしてきたので、今の若い人たちには同じことをして欲しくないと思っています。男性と女性のギャップを少しでも埋める環境を整えることに努力をしていくのと、50代60代の男性管理職たちの意識も変えたいですね。

大崎さん:
私もそう思います。何かしようとしても「今までこうやってきたから」という感じで、つぶされてしまうことがあります。既存の考え方をいったん見直し、変換していけるといいですね。

20代のころから経営者を取材している大崎さん。「それぞれ物語があって魅力的。そういう人たちに会うと、仕事を頑張ろうと思います」と話します。

チャレンジすることは生きる力に!
いろいろなロールモデルを発信していきたい。

―管理職になって変化したことはありますか?

大崎さん:
最初は自分のやり方を押し付けているようなところがあって、すごく反発されたこともあります。失敗を繰り返して、相手の立場ややり方も考えなくてはいけないと思うようになりました。

―私もがむしゃらにやっているときは自分のことで精いっぱいなので、後進を育てようという余裕がありませんでした。でも、この立場になってみて、若い人たちが希望を持てる社会にしていくために、いろいろ発信していきたいと思うようになりました。「私もあんな風になりたい」と思える女性たちがいるのはすごく大事なこと。若い人たちにはいろいろなロールモデルを知って、“いいとこどり”をして欲しいと思っているので、これからもロールモデルとなる女性を紹介していきたいと思っています。

大崎さん:
管理職になると責任はあるけれど、やれることも増えますよね。それを大変そうだと思うか、楽しそうだと思うか。特に女性には組織としてやりたいことを考えてもらいたいです。そして、それにチャレンジしてみたらできることもあると知ってもらいたいですね。小さなことでも自分がやりたいことを明確にしてそれを実現することの達成感や、管理職になったからこそできることを発信し続けると、やってみたい人も増えてくるのかなと思います。

―管理職になることに不安がある人も多いと思いますが、その場所にいくと見える景色も変わってきますよね。役職につくことで広がるネットワークは、給料などで得られる対価以上の価値があるし、副市長でなければ会えない人にお会いすると、仕事ではありますが「役得」だと思います(笑)。ひるむことや辛いと思うこともありますが、もらうエネルギーの方が大きいので、その先の一歩を超えられます。だから私は、与えられたチャンスは巡ってきたご縁だと思って、原則お断りせずお受けしようと思っているんです。もちろん、セレクトしていくことも重要ですが、みなさんも勇気をもって一歩を踏み出して欲しいですね。

大崎さん:
人間は何歳になっても成長できます。ポジションが上がると仕事も変わります。そこで「新しいことが1つできるようになった」とか「こんなこと言われてもへこまなくなった」とか、「トラブルを解決できた」とか、小さいことでも成長できるんだということを実感するし、楽しいですね。

―人生は小さなチャレンジの連続だと思うので、死ぬまで努力することが必要だし、歳を重ねれば重ねただけチャレンジをすることが生きる力になると思います。

大崎さん:
そういう人は内からでるエネルギーがあるので、若々しいですよね。自分を若く保つためにもチャレンジしてみて欲しいですね(笑)。

―「次は何にチャレンジする!」と言える人は、輝いているし魅力的ですね。そして、チャレンジし続けている人は、楽しそうにしていますよね。

大崎さん:
楽しそうな人にはいい人が集まる。だから自分の人生も楽しくなる!

―そうですね。ステップアップするとネットワークの広がりがどんどん出てくるし、その楽しさを知るといつの間にか前に進んでいるんだと思います。

若い頃を振り返ると「仕事のやり方も量も家庭も、すべてに関して全力だった」と思います。

企業に求められているのは柔軟性。
長期的に人材育成していくことが大切です。

―大崎さんは、ものづくりの現場をたくさんご覧になっていますよね。名古屋の女性は就職先としてなかなか地元を選ばない傾向にありますが、それについてはどう思いますか?

大崎さん:
ずっと名古屋にいたいという選択をされる方と、名古屋から出たら戻ってこないという方の二極に分かれていると思います。愛知県に多い製造業は、勤務時間が硬直化しがちです。勤務時間でいろいろなものが制度化されていくので、自由度や柔軟性が少なく、女性は働きにくいかもしれません。中小企業の取材をしたときに「女性は給料よりも拘束時間を重視する」と言われたことがあるのですが、これから女性を戦力にしたいと思っている企業は、柔軟性を求められていくと思います。

―企業は柔軟でなくてはいけないということですが、多様性についてはどう思いますか?

大崎さん:
ジェンダー的に女性らしさ、男性らしさのイメージがありますが、実際はそうではなくその人それぞれのキャラクターだと思います。ですから企業はまずは性差による特徴という概念を取り払った方がいいと思っています。

―企業努力が必要ということですね。

大崎さん:
女性を活用することは、企業の目標でもあります。「どうしたらいいですか?」と聞かれることがありますが、その場合「管理職に限るなら、一度に10人ぐらいあげて欲しい」と言っています。ひとりだと「こんなに一生懸命頑張っているのに、成果が上がらない」と考え込んでしまうこともあるけれど、10人ぐらいを一気に管理職にすれば、みんなで相談しますよね。それが一大勢力になり、変えて行こうとする力がどんどん強くなっていくと思います。あと、部下の仕事を経験していない人が上司になることはできないので「今の若い人たちには男性とまったく同じ仕事をさせてください」と言っています。その人たちが10年後に管理職になると仕事もしやすいので、長期的にみて育成していくのが大事だと思います。

―女性管理職が少ないと、ひとりで頑張らなくてはいけないので、ネットワークの力を最大限に使うというアイデアはいいですね!

人生いつ何が起こるかわからないので「女性でも、ひとりで生きていく力が必要」だと話す2人

男女平等参画がうまくいくと
男性にとっても働きやすい社会になります。

―最後に今後の目標を教えてください。

大崎さん:
私の後に続く管理職を増やすべく、誰かを巻き込みたいですね。そして、「管理職になると楽しいよ!」「仕事の幅が広がるよ」と言うことを、社内にはもちろん社外にももっと発信していきたいと思っています。副市長の目標も教えてください。

―意思決定の場に女性がいないと男女平等参画は進んでいかないので、女性を引き上げていきたいですね。ひとつひとつでいいから、挑戦するということを続けていって欲しいと思います。男女平等参画がうまくいくと男性にとっても働きやすい社会になっていくと思うので、「頑張りすぎずに頑張ろうね」って。そして、自分に対しては「頑張れよ」って言いたいですね(笑)。社会に出るといろいろなギャップを感じることもあると思うけれど、みんなが前に進まないと社会は変わっていかないので、みなさんには少しずつでもチャレンジを続けて欲しいと思っています。そして私も、次に続く人たちと自分自身のために、頑張った先にきっとご褒美があると信じて前に進んでいきます。 

大崎さん:
あと、女性も甘えずに覚悟を持って欲しいと思っています。やはり、女性だから許されるということはないので、自分を強くもって、自分ができることを100%やって欲しいですね。

―やりづらいことがあったら、声もあげて欲しいですね。

大崎さん:
声をあげやすい会社にするために、みんなが参画した方がいいですよね。ぜひ、副市長に声をあげさせていただきます(笑)。

―はい、私が受け止めます(笑)。

「自分が乗り越えたなと思ったときは、自分で自分のご機嫌をとっています」「ご褒美は大事ですよね」と、荒波を乗り越えてきた2人の話は尽きません。


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