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特別展「海 -生命のみなもと-」学芸員的ココ見て!ポイント

みなさん、こんにちは!名古屋市科学館学芸員の木田です。

突然ですが、みなさんは「海」と聞くと何を思い浮かべますか?
釣りをしたり、貝殻を拾ったり、水族館で見た魚が美味しそうだったり…。人それぞれの海の思い出があるのではないでしょうか。
ちなみに私は、小さい頃に家族で海水浴に行き、食べるためにイカがさばかれる場面を見てかわいそうだと大泣きした記憶があります。(最後はおいしくいただきました。)

そんなみなさんの思い出の中にある「海」、その新しい一面をのぞいてみませんか?
名古屋市科学館では、「海」についてさまざまな分野から掘り下げ、「海」の過去、現在、未来について知り、考える展覧会が、6月9日まで開催されています。

特別展「海」 会場入口

今回は、特別展「海 −生命のみなもと−」の内容を紹介し、さらに私の個人的なお気に入りマニアックポイントも紹介します。
もうすでに見たという方も、これから見るという方も、そんなところまで気にしていなかった!見てみたい!と思っていただけたら幸いです。

簡単に全体のご紹介から。
この展覧会は大きく4つの章で構成されています。


第1章 海と生命のはじまり
 海の誕生のひみつや、私たちにつながる生命の進化について紐解きます。
第2章 海と生きもののつながり
 現在の海に暮らす生きものたちの関係を、あらゆる角度から見つめます。
第3章 海からのめぐみ
 昔から続く私たち人類と海の関わりについてたどります。
第4章 海との共存、そして未来へ
 これから私たちはどのように海と関わっていくべきなのかについて考えます。


ナガスクジラの上半身標本

「海」という幅広いテーマのもと、地球科学、生物学、化学、人類学、環境学など、あらゆる分野の観点から展示・解説をしています。きっとどんな方にも「これ面白い!」と感じていただける展示がひとつはあるのではないでしょうか。

ではそんなたくさんの展示の中から、私のお気に入りをひとつ。
こちらの写真をご覧ください。

神津島産黒曜石
神津島産黒曜石の石器

教科書などで見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう、黒曜石です。かつて我々の祖先は、黒曜石から石器を作り生活に役立てていました。では、その材料をどこから採ってきていたか、考えたことはありますでしょうか?
実は、黒曜石は産地によって少しずつ含まれる元素が異なるため、元素組成を分析することで産地を特定できます。
この分析の結果、なんと本州の遺跡で見つかった石器が、海を渡った向こうの島から採ってきた黒曜石を材料にしていたことが判明した例があるんです。
すごくないですか?人類は何万年も前に、はるばる海を渡って黒曜石をGetし、もう一度海を渡って帰ってきていたのです。当時の人にとって海を渡るのはそれはもう大冒険なはずですし、まさにお宝をGetした気持ちに違いありません。
ほら!!!!

解説パネルより

当時を再現したイラストの中の人も、とっても嬉しそう!!!!(これを見せたかった)
私も素敵な石を見つけるとつい嬉しくて笑顔になってしまうので、気持ちがよくわかります。
今と昔、暮らしは違えど、同じような思いで生活していたかもしれないですね。

ちなみに、解説パネルには、展示品が何を伝えたいのか、どういう意味があるのかをわかりやすく伝える役割があります。文章だけでは伝えきれない部分をうまく伝えてくれるのが、写真やイラストです。
このように、展覧会は展示品以外の会場の隅々までこだわって作られています。ぜひ細かいところまでチェックしてみてくださいね!

解説パネル全体

さて、いかがだったでしょうか。
お気に入りの展示は色々ありますが、今回はパッと見ただけではわからないマニアックなポイントについてご紹介しました。
自分だけのお気に入りを、ぜひ会場で見つけてくださいね!
みなさんの「海」の思い出の1ページに、この展覧会を加えていただけることを祈って…。

〜おまけ〜

グッズ売り場のぬいぐるみがすごく可愛い。

ぬいぐるみ(ミジンコ、ヨコヅナイワシ) キーチェーン(スネイルフィッシュ、メガマウス、セキトリイワシ)など
ぬいぐるみ(センジュナマコ)

名古屋市科学館
特別展「海 -生命のみなもと-」
会期: 6/9(日)まで
休館日:毎週月曜日、5/7(火)、5/17(金)  ただし、5/6(月)は開館

チケットや料金など、詳しくはこちら