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一瞬に最善を尽くし市民の命をつなぐ~広報なごや12月号なごやのチカラ~

こんにちは。広報課の小川です。
今回は、名古屋市内の119番通報を全て受け付けている防災指令センターの小栗さんにお話を伺ってきました。

名古屋市消防局防災指令センター 小栗 誠司(おぐり せいじ)さん
消防署で8年・特別消防救助隊で3年の経験を経て、現職6年目。

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(―は以下小川が発言)


救急車は「呼べばいち早く駆けつけてくれる」のは当たり前じゃなかった?!

―現在、防災指令センター(以下指令センター)では、どんな仕事をされていますか?

1日で平均560件、市内からかかる119番通報を全て受け付ける

名古屋市内からかける119番通報は全てここに入ってくるのですが、その通報を受け、内容や場所を確認して、適切な消防隊や救急隊を出動させる仕事をしています。

入ってくる通報の数は、1日平均で約560件です(令和5年度実績)。
指令センターには、常時12人のオペレーターと3人の管理職がいて、この通報を受けています。1人平均すると24時間で50件弱を受ける計算になります。管理職が常に通報内容を聞いているので、私たちオペレーターは相談したり、特異な事案はサポートしてもらったりしながら対応しています。

―勤務時間は何時から何時まで?休憩時間などは、あるのでしょうか?

24時間365日通報を受け続ける
勤務時間としては、朝の8時45分から翌朝の8時45分までの24時間。1回出勤すると、仮眠時間や食事の時間を除き、待機時間もありますが24時間みっちり働いている感じですね。仮眠や食事は交替でとっています。

仮眠の時間は2回に分けて計6時間ほどあるのですが、通報が立て込んだり、特に火事があると応援に入ったり、起きてきて対応するので、あまり仮眠をとれない日もあります。

交替で6人のオペレーターがメインで電話を受け、6人が待機して過ごしていますが、通報が重なるとすぐに対応するので、待機と言っても基本的にはずっと通報の状況を気にしている感じです。

(インタビュー中にも通報が立て込み、前列の6人だけでなく後列の待機メンバーも通報を受けている様子)

無心に、自分の仕事を使命として全うする

昨年の6・7・8月の熱中症のシーズンは1日の通報が700件を超えた日も。そういう日は、ずっと通報が鳴っています。仮眠時間以外はずっと通報を受け続ける状況です。あの時はもう本当に大変でした。

もうただただ通報を受け、必要な内容を聞き取り、消防車や救急車を出動させます。

―電話が鳴りやまないと、次の出勤は辛いなあと思ったり、心が折れそうになったりしないのでしょうか?

その日の気温や天気を見て、「今日は通報が増えそうだ」といったことは思いますが、これが私の仕事です。そのほかの日常と変わらず、ただただ自分の仕事を使命として全うするのみです。

―続いて、通報があってから救急車が到着するまで、指令センターでは具体的にどのような流れでオペレーションをされているんでしょうか?

できる限り少しでも多くの情報を細かく聞き取り、出動する部隊に伝える

通報を受け、消防車や救急車のどちらかが必要だということが分かれば、住所・内容を聞いて、対応に必要な消防隊や救急隊に対して出動の指令をかけます。

出動の指令をかけると、指令を受けた消防隊や救急隊が現場に向かってくれます。 通常の指令であれば電話を受けてからだいたい50秒で出動の指令を出すようにしています。

電話で話しながら並行してパソコンを操作して、指令をいち早く出し、そのあとで通報された方から必要な内容を聞きとります。一通り聞き終わったら電話は切りますが、その後も、出動する消防隊や救急隊に内容が伝わるよう、システム上でメッセージを書き込んで送ったり、無線で伝えたり、内容が難しい場合は電話で細かく伝えたり、そういったことで少しでも命を救うために必要な情報が伝わるようにしています。

―具体的に、どんな内容を話されるんでしょうか。

最適な消防隊・救急隊を瞬時に判断

まずは、火事か救急か。救急であれば、怪我なのか病気なのか。意識の状態や呼吸の状態も聞き取り、状態が悪そうであれば、救急車だけでなく、消防隊も応援に出動させるなどの判断をします。

救急の場合、基本は救急車1台で向かうんですが、「2階建ての建物で、身体が大きい人を運ばなくてはならない」とか、「心肺蘇生法やAEDの処置も必要」とか「消防隊が持っている装備が必要」などということを聞き取った場合は、内容を聞いて判断し、消防隊を応援に出動させることもあります。

怪我の状態とか、普段どんな病気を抱えているかなど、全て聞き取って、瞬時に判断しなくてはなりません。

―救急隊が到着されるまでは、どんなことをされるんでしょうか?

いち早く搬送できるよう病院とも調整
緊急性が高い場合(心肺停止や胸痛がある場合など)は、指令センターが1番近い受け入れ可能な病院を探して、救急隊が到着する頃には、すでに病院を決定し、現場に着いたら病院へ搬送できるように調整もしています。

少しでも症状が悪化しないため
現場の状況を全てイメージして、周りの方による救命をサポート
また、救急車が到着するまでは、少しでも症状が悪化しないように通報してきた方に協力を仰ぐ場合もあります。

心肺停止であれば心臓マッサージをお願いしたり、たくさん血が出ているということであれば、止血をお願いします。とにかく、命を救うためにその場にいる人たちに出来る限りのことをやってもらいます。

現場の状況を全てイメージして、どう伝えたら動いてくれるかを考えて、電話でも伝わるように、なるべくわかりやすい言葉で伝えています。

そういった指導は、救急の知識がないとできないので、豊富な知識を持っている職員じゃないとこの指令センターは務まらないかもしれませんね。

―今までそうやって取ってきた電話の中で、印象に残っている通報はありますか?

自分の身近な人の命が危険なときは、焦るのは当然

小さなお子さんに対する親御さんの通報は焦ってしまいパニック状態になっていることがあります。

特に熱性けいれん、熱があるときに起こる子どものけいれんですね。小さなお子さんが、目の前で震えてしまって泡を吹いたりしてしまうことがあります。そんな状況の我が子を見た親御さんはパニック状態になってしまうことがあります…。でもそれは当然のことだと思います。

その状態ですぐ通報されるので、「いつも言えるはずの住所も言えない」という場合もあります。

そこをまずは落ち着かせて、何があったのかを聞き、救急車に指令を送り、その間に、「今できることをやりましょう」と呼びかけます。「お子さんのためには、こういうことしなきゃいけないですよ」など、通報者を落ち着かせるような工夫をします。

そこが1番今でも大変ですね。

―パニックになっている人たちを落ち着かせるのは大変なことだと思いますが、電話口で心掛けていることなどはあるんでしょうか?

まずは自分が平静を保ち、命をつないでいく。毎回が勉強

私たちが焦ってしまっては駄目なので、まず自分が落ち着くことが大事です。ただ、落ち着きすぎていると、通報した方からすると冷たく感じると思います。

こちらの話を聞いていただけないときには少し強く言うこともあります。それはもちろん、相手を落ち着かせるためです。 相手の方に「ハッ」とさせて、落ち着かせると話を聞いてもらえる場合もあります。

逆に、強めに話しても駄目な場合もあるので、その場合は小さな声で伝えたり、ゆっくりと事情を説明することもあります。いろんなパターンがあるので毎回勉強なのかもしれませんね。

―小栗さんは、6年目の今だからこそやっていらっしゃると思うんですが、初めて指令センターに配属された時からそういった対応はできるものなのでしょうか?

いち早く救急車・消防車を出すために

できないですね。まずは、先輩に教えてもらいながらやっていくことになります。

ある程度、消防や救急の現場の活動経験を積んだ職員が多くいますが、電話での伝え方は指令センターで学び、身につけます。
私も最初に難しいと思ったのが、「聞きながら」「書きながら」「話しながら」という点。話すと操作ができないですし、操作を始めると無言になったり、書けなかったり…。

聞きながら、話しながら、パソコンを操作して出動命令をかける、そしてまた聞きながらメモを書き込む…。慣れないと難しい技術です。

それを習得するためには、訓練を最初の1カ月でみっちりやりますね。
ペアになって、先輩の指導者が通報者役をやって、実際の端末を使い訓練をします。

―そんな複雑な動作をしながら、スピードも求められ、間違いもできない?

間違いが命取りになる

私たちオペレータの業務では、一刻も早く助けを求める人のために、消防車や救急車を出動させる必要があります。「消防車・救急車が違う場所に向かってしまった」などの間違いが全て命に関わってきます。

そのため、住所の確認方法も決まりがあるんです。
出先から通報する場合は、住所がわからないこともあります。その場合は、まず「何が見えますか?」から始まります。
こちらが「目の前にコンビニが見えますよね?」や「●●の交差点がありますよね?」など二択で質問をすると、通報者は焦って「はい」と返事してしまうんですよね。

なので、必ず「近くに何が見えますか。」とか、「コンビニの店名を教えてください」など、「はい」「いいえ」で回答できない質問を我慢強く聞いていきます。

―ご自身は自分のお仕事や使命をどのように感じているのでしょうか?

指令センターは、現場の消防、救急、救助活動の縁の下の力持ちの役割です。もう、ただただ聞くべきことを聞き、やるべきことをやって、119番通報に対して適切に対応する。それだけです。

―24時間の勤務を終えると、どのような気持ちになるのでしょうか?

やっぱりほっとするのが1番です。基本的に大きなトラブルもなく、遅れることもなく、皆さんの元に消防車や救急車を出動させることができれば、まずは一安心といったところでしょうか。

ほっとしたところで、先ほども話したような、小さなお子さんの通報とか受けた時は、僕たちはその後のことは知ることができないですが、「大丈夫だったかな」とか、「悪化してないかな」と心配になります。心の中でよくなるといいなと思っています。

―最後に、市民の皆さんになにか伝えたいことなどはあるでしょうか?

緊急性があると思えば、ためらわず119番にかけてください!

119番にかかってきた電話はすべて、助けが必要な電話だと思いますので全力で対応します。
119番通報が必要かどうか迷ったときは、ためらわずに119番通報して私たちを頼りにしてください!

≪インタビューを終えて≫

私自身、自分の子どもが小さいころ1度だけ呼んだことがある救急車。その救急車は、「呼べば当たり前に、一刻も早く来てくれるもの」と思っていましたが、その裏には支えてくださる防災指令センターの皆さんや救急隊の皆さんがいることがよくわかりました。

人の命がかかっている場面で、真剣に、24時間名古屋の安心を支え続けている防災指令センターの皆さん。丸1日の仕事を終えてもなお、市民のことを案じ、繰り返す一瞬一瞬に最善を尽くされる小栗さん。

根気のない小川からすると、24時間緊張感が張り付いたまま、365日、長年にわたってこんな仕事を続けられているなんて…まさになごやのチカラだと感じました。

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