新しい町内会が設立!33歳の町内会長にインタビュー
どうも!中村区役所のコミュニティサポーターの河合です。
私たちコミュニティサポーターは、交通安全や防犯、町内の美化、高齢者や子育てのみまもり、防災の取り組みなど、住みやすいまちをつくるための地域活動を支援する職員です。地域活動を支援する中で出会った魅力的な活動や課題解決のコツ、地域活動の舞台裏などを名古屋市公式noteの中の「ミンナノまちづくり」マガジンとして発信しています!
「町内会加入率が下がっている」そんな話題はよく聞きますが、実は昨年、中村区で新しい町内会が設立されました。
今回は、昨年設立したばかりの八社学区一里山町内会の取り組みを紹介するため、若き三輪会長にインタビューしました。
今回、三輪会長にインタビューしようと思った理由は2つです。
1 つ目は、町内会の加入率が低下しつつある「今」、町内会を立ち上げたということ。
2 つ目は、若い世代が地域活動に参加しなくなってきていて60代でも若手と言われることもある時代に、33歳の方が町内会長をされているということです。
町内会を設立しようと動き始めたのは5年前。そこからどのように町内会を立ち上げたのかや、1年間運営してきて感じた苦労や良かったこと、そしてこれからの町内会への思いなどをお聞きしました。
インタビューをしていく中で、これからの地域活動のヒントがたくさん詰まっているなぁと感じましたので、今、町内会を立ち上げようかどうか迷っている方、若い方が町内会の活動にもっと参加してほしいと思っている方の参考になれば幸いです。
三輪会長の生の声をお届けしたいので、今回はインタビュー形式で進めていきます!
なぜ、町内会を立ち上げた!?なぜ、町内会長に
(話し手)中村区八社学区一里山町内会 初代会長 三輪 龍之介 さん
(聞き手)中村区役所 地域力推進課 コミュニティサポーター 河合 亮彦
河合:今日のインタビューをお受けいただきありがとうございます。まず初めに三輪さんのプロフィールを教えてください。
三輪会長:名古屋市中村区岩塚学区で生まれ育ち、大学で一旦県外に出ましたが、2年前に、現在の岩塚町一里山に引っ越ししてきました。
仕事は、診療放射線技師として病院で勤務していて、夜勤もあります。家族は、妻一人、子ども2人の4人家族です。最近2人目が生まれました。現在33歳です。
河合:一里山町とはどんな町内か教えてください。
三輪会長:5年前に三菱重工の社宅やグラウンド跡地に開発業者が戸建住宅を分譲した、新興住宅エリアです。全部で85区画あり、住民の中心が30代や40代のため、小さい子どものいる世帯が多いです。
河合:同世代が多いといろいろと交流しやすそうで良いですね。
町内会を発足させようと思ったきっかけを教えてください。
三輪会長:開発業者から中村区役所への働きかけと八社学区の古橋委員長のご協力により、まずは「町内会とはどういうものか?」という勉強会から始まったと聞いています。
名古屋市のコミュニティサポーターの支援制度を活用し、町内活動支援員の林さんの協力を得て、町内会の役割や運営方法の勉強会や話し合いの場のセッティングをしてもらいました。 10人くらいが集まって、町内会活動に詳しく自身も町内会の会長をされている中日新聞の記者さんに来ていただいて話を聞いたりしました。
僕は、当初は一参加者であり、町内会というものがどういう役割があるのかということも漠然としか理解していなかったので、どちらかというと消極的参加でした。
河合:立ち上げる時から積極的に関わっていたわけではなかったんですね。
会長になろうと思ったきっかけは何かあったのですか?
三輪会長:やりたいという方が他にいなかったこと、はじめにやってしまった方が楽かな?という思いがあったこと、転勤のある仕事ですが今なら出来る状況だったこと、それから妻の協力が得られたことです。
また、「自分が最初にやることで若い方たちでも手を上げやすくなるかなぁ」と思ったのと、周りの方がサポートするよと言ってくれたことで、「ではやってみよう!」と名乗りをあげました。
河合:ご家族のサポートがあるのは心強いですね。三輪さんが初代の会長を務めることで、他の若い方たちが積極的に地域活動に参加できる環境づくりにつながると良いですね。
現在の一里山町内会の加入状況はいかがですか?
三輪会長:全体で85世帯あり、4月には51世帯が加入していましたが、今季2世帯増え、現在は53世帯の加入となっています。
一里山町内会、設立からの1年間
河合:町内会が発足して1年経過しましたが、やってみて良かったと思うこと、苦労したことをお聞かせください。
三輪会長:町内会が実際どのような活動をするのか全く分からない状態でスタートしたので、不安はたくさんありました。
町内会としては大きな行事は特に行っていないのですが、学区の行事への参加など思ったより役員の負担が大きいと感じることもありました。
三輪会長:良かったことは、普段なら顔を合わせることのあまりないお父さんたちとコミュニケーションを取れるようになったことですね。 また、区役所や市役所の方と知り合って交流できたことで区政の仕組みもわかりましたし、社会貢献できている実感も少しですがあります。
病院の仕事だけしていたら絶対に知り合わない人たちですし、地域活動のことや行政との関わりのこともわからないことだらけだったなぁと思います。(笑)
町内会長をやってみて良かったと思っています。
河合:今後予定している取り組みはありますか?
三輪会長:子育て世帯が多いということもあり、今、おもちゃ交換会を準備しています。
おもちゃだけでなく、洋服や絵本などもフリーマーケットのような感じでリユースできたら良いなと思っています。
こういうイベントを通じて交流が生まれ、どんどんつながりが出来ていくと良いと思っています。
河合:とても良い取り組みですね。交流が出来る環境を自然につくることは大切ですよね。他にはありますか?
三輪会長:2024年7月から、公園愛護会の活動として一里山東公園の清掃を始めて、初回は役員を中心に10人くらい集まりました。今後も、月に1回程度の頻度で継続して行う予定です。
この活動も情報交換をしたり、コミュニケーションを図るのにとても有効だと感じています。わざわざ会議の時間をつくらなくても、清掃しながら簡単な打ち合わせが出来ます。
三輪会長:あと、八社学区は川にも近いので、防災にも力を入れていく予定です。
第1弾として、6月末に指定緊急避難場所になっている近隣の物流施設ロジポート名古屋の見学会を開催しました。30人以上が参加してくれて、皆さん、防災への関心が高いんだなと実感しました。
町内会長は大変? 負担を小さくする工夫
河合:三輪さんは、働きながら町内会活動を行っていますが、大変ではないですか?
三輪会長:僕の仕事は、当直の翌日が休みというシフトで、職場の休みも融通をきかせてもらっているので、忙しい中でもなんとか時間のやりくりをして、家族の協力も得て活動できています。
河合:そうなんですね。やはり現役世代の方々が地域活動をしようと思うと職場や家族の協力はとても重要ですよね。
他にこういうやり方や協力があると若い世代の人たちも参加しやすくなるということがあれば教えてください。
三輪会長:職場の理解があったり、公休扱いだったり、地域活動手当が出たりと処遇面も優遇制度があると地域活動に参加しやすくなると思います。
あとはLINEでの情報共有やテレビ電話でのオンライン会議などを導入するなど、誰でも参加しやすい環境づくりも必要だと思います。
議事録も ICレコーダーで録音してAIで文字起こししたりして、後で見返せるようにしています。 できるだけ会長の仕事を記録で残し、私の後を務める次の会長にわかりやすくしたいと思っています。
河合:ICT を活用して負担の少ない環境づくりをされていますね!
その他、名古屋市や中村区など行政に支援や協力を期待していることはありますか?
三輪会長:コミュニティサポーターの支援制度を活用し、町内活動支援員の林さんには町内会の立ち上げからお世話になっています。今は河合さんにも町内会の運営のことなどを聞いてもらっていて、引き続き相談役としてお願いしたいです。
特に行政手続きの指南や町内会運営のデジタル化をサポートしていただきたいと思っています。ホームページの更新や情報発信にも力を入れていきたいので他の地域での成功事例などのアイデアが欲しいです。
河合:より質の高い情報を提供していけるように、日々勉強がんばります。
これからの一里山町内会
河合:今後、どのような町内会にしていきたいですか?
三輪会長:先ほども触れましたが、誰でも町内会長や役員が出来る仕組みづくりをしたいです。役員の仕事を書き出して、誰にでもわかってもらえるマニュアルづくりをしたいと思います。
町内会の情報も LINE やホームページを通じて発信して誰でも情報が得られるようにしたいです。先日、回覧板を回しましたが、1カ月以上返って来ない状態だったので、回覧板だけでは情報が回らないと感じています。
子どもが参加できる地域活動も増やしていきたいと思います。 子どもが参加する活動やイベントには必ず親も参加しますし、子どもの頃から地域活動をすることが当たり前の環境づくりも必要なことだと思います。
小中学生、高校生の課外授業で地域活動を取り入れることもしたら良いと思います。大学生も授業に取り入れて単位が取れたり、就職で有利になるとか履歴書に書けるなどの仕組みづくりが出来ると地域に若い力が加わったり、新しいアイデアが生まれたりしやすくなると思います。
少しずつでも自町内で取り組んでみようと考えています。
あと、役員の決め方を試行錯誤していて、3年先まで決めておくようにしたいと考えています。3年の間に仕事内容を理解し覚えて心構えをつくれたら良いなぁと思っています。
心の負担も減るし、前後の役員がサポートに入ることで実質の負担も減るのではないかと思います。
他の町内会で、有償ではあるけど警備会社と業務提携して町内の見守りサポートをしているという話を聞いたことがあります。人手不足な部分を補う一つの案ではあるなと思いました。
こういった仕組みの導入の支援や他自治体の情報の提供も期待しています。
河合:次の世代のことまで考えていてすごいですね。でもこうした発想はとても大事だと思います。
若い世代の町内会長は少ないですが、代表して今後の地域活動について一言お願いします。
三輪会長:自分たちの地域のことは人任せにせずに、自分たちで何とかしたいですね。大変なこともありますが、なんとかできる方法はあると思います。
子どものためでもあるし、子育ての先輩や地域活動の先輩方にもいろいろご協力いただきたいです。
出会いもありますし、やればやっただけの成果はあるのかなと思います。ぜひ、若い世代の人たちこそ新しい考え方ややり方で地域活動をしていって欲しいです。
河合:最後に意気込みをお聞かせください。
三輪会長:町内会全世帯加入を目指したいです。
戸建ての住宅街で住民が大きく入れ替わることもないところなので、なるべく町内の皆さんが町内会に加入して同じ温度感で地域のことを考えて活動していけたら良いと思います。
町内会の役員を誰がやっても困らないような町内づくりを目指したいです。
いろいろな世代が参加できる環境づくりについて、オンライン会議や LINE などを活用して会議の省力化をし、時代に合ったやり方を見つけていきたいです。
現在、役員会は不定期開催で、必要があれば対面で開催しますが、基本はSNSを活用した顔の見えるグループ通話で行っています。飲み会などのリアルで会う機会も重要だと思っています。
今後は町内にある企業と連携してスポンサリング、情報交換、災害時の協力、イベント協力なども考えていきたいです。 とにかく子どもたちが住みやすい環境をつくっていくのが一番の目標です!
河合:ありがとうございました。三輪さんの熱い思いを聞けて良かったです。
私だけでなく、中村区としてもできたばかりの町内会の若い会長さんに大いに期待していますし、今後の活動にも注目しています。応援させていただきます!
今回のインタビューで感じたこと
今回、三輪会長のインタビューを通して、これからの地域活動についてたくさんのヒントがあったと
思います。
1.誰でもできる町内会長(担い手不足の解消)
2.ICT の活用(負担の軽減、簡略化)
3.親子参加(子どもの頃から地域活動に参加する。自分たちの地域は自分たちで守る意識づけ)
これらの実践を通じて新しい町内会の未来が見えてくる気がします。本当に楽しみですね。
これからも一里山町内会を見守りながら、魅力的な活動を紹介していきたいと思います。
乞うご期待!
そして、この記事を読んで、町内会を新しく作ってみたい!そんな気持ちになった方いらっしゃいましたらすごくうれしいです!区役所地域力推進課へ是非ご相談ください。コミュニティサポーターが、皆さんの取り組みのお手伝いをさせていただきます。
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