「LGBTを知っていますか?」 ~原岡さんの場合~
スポーツ市民局男女平等参画推進室です。
広報なごや9月号で掲載しています「誰もが住みやすい街なごやへ~LGBTを知っていますか?~」について、ご案内させていただきます。
広報なごやは紙面の都合上、当事者の方お二人のお声について一部しか掲載できませんでしたので、今回noteで全文を掲載いたします。ぜひご覧いただきたいと思います。
※LGBTとは、
L:レズビアン(女性の同性愛者)
G:ゲイ(男性の同性愛者)
B:バイセクシュアル(両性愛者)
T:トランスジェンダー(こころの性とからだの性との不一致)
の頭文字でセクシュアル・マイノリティの総称のひとつです。
※LGBTにQを加えて、LGBTQと表現することもあります。Qは、性自認もしくは性的指向がはっきりとしていない人をあらわすクエスチョニングやセクシュアル・マイノリティを総称する用語としてのクィアの頭文字です。
—お名前と、いつ頃からどのような活動をされているか教えてください。
原岡 貴毅(はらおか たかき)さん
2018年頃から学校や行政などを中心にLGBTに関する啓発活動をするNPO法人に所属。
自分の体験や感じたことをお伝えしています。LGBT当事者の1人という立場で、学校の中での当時の話などをしながら今何が必要なのか、何を変えていく必要があるのかを伝えています。
—今まで理解の足らなさを感じたり、不快な思いをした経験はありますか。具体的なエピソードがあれば教えてください。
学校でトイレに行くことへの抵抗がありトイレに行かないですむように水分は取らないようにしていました。膀胱炎になった友人も多数います。
体育などの着替えは、いつもトイレを使っていました。自分の身体を人に見られたくないのは多くの人が思春期に感じるかと思いますが、自分の身体を自分が見たくないので、着替え自体を苦痛に感じていました。プールの授業は1度も出席していません。何よりスポーツが大好きだったのでやりたいことが十分にできなかったことがつらかったです。
中学校の制服を着ることに耐え切れず、不登校になりました。親も先生もとても心配してくださったのですが、当時は自分の悩みを言語化することを僕自身ができなかったし、日頃の親や先生の言動を見ていると男性だから、女性だからという言葉を頻繁に耳にする状況だったので、理解してもらえるはずがないと思い、誰にも相談できませんでした。
親にカミングアウトして以来10年間拒絶され続けていました。今では仲のいい親子ですが、人生を諦めようと何度も思っていました。
家族は一番理解をしてもらいたい大切な人です。大切な人に理解されないのはすごくしんどかったです。
現在恋人もいて、結婚など人生のステップを考える年齢になりましたが、名古屋市は、まだパートナーシップ制度がなく、正々堂々と恋人と暮らせるようになっていません。やっと家族と分かりあえても、社会から拒絶され続けていると感じます。
誰もが何かに悩みながら成長して自分の仕事や家庭を作っていると思います。僕も、悩みながら成長して大人になりました。就職して月日が流れ家庭を持ちたい年齢になりました。しかし婚姻届を出しても僕たちの結婚は認められないのです。せめてパートナーシップ制度があればと願うしかありません。これは僕がどれだけ努力してもどうにもできないことなのです。ここに来て、「自立して自分の家族を持つ」という、ごく平凡な生活が許可されないのはおかしいと思います。次世代のトランスジェンダーの人にとっても、このままでは良くないと感じています。
パートナーシップ制度があるかないかで結婚の話も親御さんにできなかったり説明がしづらく理解してもらいにくいところです。
※パートナーシップ宣誓制度:主に同性カップルに対し、日常生活においてお互いに人生のパートナーとして協力し合うことを宣誓した場合に、自治体が独自に宣誓書の受領書等を交付するもの。受領書等は要綱等に基づく書類であり、法的な効力はない。
—LGBTであることを知らない人と接する際、普段何気ないやり取りの中で、違和感を覚えたり、障壁を感じたりすることはあるでしょうか。具体的なエピソードを教えてください。
「男だから」「女だから」「普通」という言葉に敏感になります。
性の多様性を知れば、発言も変わってくるのではないか。と感じます。
「彼女できた?」「彼氏できた?」の友人同士や、家族からの質問。好きになるのは異性だけとは限らないし、恋愛をするとも限りません。「好きな人できた?」「恋人いる?」とかにしてくれると嬉しいです。
「さすが男だ!」などの励ましの言葉は、「さすが〇〇だ!」でいいし、「女子力高いね」はセンス、料理、美意識などは女性に限ったことではないと感じます。
男女としてではなく人としての個性だと感じています。
—LGBTの人が傷つかないよう、市民の皆さんに心掛けてほしいこと、またどのように接してほしいかなど教えてください。
公共交通機関での2度見や、失笑、ヒソヒソ話すという態度の影響で、公共交通機関を使用できなくなった人もいます。外に出ること、人に会うことが恐怖に変わっていきます。
自分だったらどう感じるか想像してみてほしいです。
トランスジェンダーの人の中には、「多目的トイレ」「誰でもトイレ」を使用する場合もあります。出入りしている時に、見知らぬ人から注意されることがあります。
それぞれ事情があるのだと思わず、ズルしている、変なことをしていると頭ごなしに言われます。
人としてどんな魅力があり、どんなことが好きなのか。など
一人の人としての話題を増やしてほしいと思います。
疑問がある場合や、心配な時などは周りで相談し合うのではなく、直接本人に聞いてほしいです。「トランスジェンダーの人だから、こうに違いない」という判断ではなく、「どうしようか?」と聞いてほしいです。本人が子どもの場合は、言語化することも難しいと思います。周りの大人が一緒に考えて並走してくれると嬉しいなと思います。
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名古屋市ではセクシュアル・マイノリティへの理解促進や相談に関する取り組みを進めています。
【名古屋市セクシュアル・マイノリティ電話相談】
電話番号:052-321-5061
第2金曜日 午後7:00~9:00(祝日も実施)
【性的少数者に関する啓発リーフレット「にゃーごと考える 性の多様性ってなんだろう?」】
性的少数者への正しい理解の促進のため、啓発リーフレットを作成しております。
名古屋市公式ウェブサイトでリーフレットの内容やその他関連の施策をご覧いただけます。
https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000121751.html