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誰もが住みやすい街なごやへ~犯罪被害者等支援事業~ 広報なごや12月号

スポーツ市民局人権施策推進室です。
広報なごや12月号で掲載している「誰もが住みやすい街なごやへ~犯罪被害者等支援事業を知っていますか?~」について、ご案内させていただきます。

広報なごやは紙面の都合上、犯罪被害者の方のお声について一部しか掲載できませんでしたので、今回noteで全文を掲載いたします。ぜひご覧いただきたいと思います。

(原文)
―お名前と、団体としての活動内容を教えてください。

NPO法人犯罪被害当事者ネットワーク「緒(お)あしす」の青木聰子(さとこ)と申します。
この法人は平成12年(2000年)9月に、殺人事件遺族の被害者自助グループ「緒あしす」として発足し、平成27年(2015年)にNPO法人化しています。
当事者が想いを分かち合うグリーフワークや被害者が係わる関係機関との意見交換会、社会への発信の機会としての犯罪被害者支援企画「いのちかなでる」などを開催してきました。

NOTE写真2

犯罪被害者支援企画「いのちかなでる」


―いつ頃どのような犯罪被害の当事者となられたのか教えてください。

平成8年(1996年)、覚せい剤の常習者だった加害者が、家に侵入し、物色しているところに両親と鉢合わせとなり、両親は包丁で刺殺されました。
犯罪被害者の遺族となり、メディアスクラム・捜査への協力・裁判等を経験し、被害後の生活を送る中で、被害者やその家族は日本の法律の蚊帳の外にあり、被害者の人権が守られていない現実を目の当たりにしました。

メディアスクラムとは・・・
マスメディアの記者が押しかけ、当事者・家族・近隣住民などに強引な取材をすること。


―被害に遭われた当時の心境はどのようなものだったでしょうか。

「涙が止まらず体が壊れたようだった。」「眠ることができなくなった。」「食欲もなく何も手につかなかった」等々、被害者は、被害後、心や体にさまざまな変調をきたします。
私の場合は、頭が真っ白な状態で、悲しいとか辛いとかも感じられず、泣きたいけれど涙が出ず、心が固まり、思考も感情も麻痺した状態でした。
何が起きたのか、なぜ私の両親だったのか、両親の死を受けとめることができず、「両親はもうこの世にはいないこと」を受け入れるまで、数年もの時間が掛かりました。ただ、周りからは「気丈に頑張っている」ように見えていたようです。

―当時、または現在に至るまで、周囲の反応としてつらかったこと、逆にうれしかったこと(ありがたかったこと)はありますか。あれば、具体的に教えてください。

周りの被害者の方の中には、泣いていると「まだ泣いているの?」と言われ、笑っていると「もう笑えるの?」と言われた方もいます。「暗い顔をしていては亡くなった人も浮かばれないから早く元気にならないと。」「もう一人子どもがいるから良かったね。」と慰めよう、励まそうとする言葉にさらにつらい思いをした被害者もいらっしゃいます。

私は「親が死ぬのは順番だから仕方ない」と掛けられた言葉が心に深く刺ささったままです。

「殺人事件に巻き込まれるなんて、殺される側にも何か理由があるのでは?」と被害者側の落ち度を探すような社会の目線を感じたこともありました。
一方でありがたかったこととしては、私の場合、事件直後、警察の事情聴取から戻った時に、玄関の扉に「変わらずにそばにいるから」という友人からのメモが挟んであり、心温まる思いをしました。

犯罪被害者は特別な人ではありません。残念ながら誰もが被害者になり得るのが社会の現状です。「もしご自身が被害に遭ったら…」と自分事と捉えてお考えいただくことが、被害者に寄り添い、被害者を優しく包む社会、誰もが安全安心して暮らせる社会を創る第一歩となるように思います。

―周りで犯罪に巻き込まれた人がいたときに、どういったことを心掛けて行動するのがよいでしょうか。
 
被害からの回復には長い長い時間が必要であることをご理解いただき、無理に近づいて励まそうとせず、急に疎遠になるのではなく、距離感を変えず、見守りながら、今まで通りのお付き合いをしていただけることが、社会から被害者を孤立させないことにつながります。

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名古屋市では、「名古屋市犯罪被害者等支援条例」に基づき、犯罪被害に遭われた方への支援を行っています。名古屋市犯罪被害者等総合支援窓口にご相談をいただき、一定の要件に該当される方は、「経済的支援」、「日常生活支援」、「居住・その他支援」を受けることができます。

【名古屋市犯罪被害者等総合支援窓口】
■概要
名古屋市犯罪被害者等総合支援窓口では、犯罪被害者等からの相談に応じ、本市支援事業を活用した支援を行うほか、支援が受けられる関係機関への紹介を行っています。

※犯罪とは刑罰法令に規定されている犯罪の構成要件に該当する行為をいい、故意犯だけではなく、交通事故などの過失犯についても犯罪に該当します。
※犯罪捜査や当事者間の仲裁などを行う窓口ではありませんのでご理解願います。


■開設時間
月曜~金曜日の午前8:45~午後5:30(祝日・年末年始を除く)

■業務内容
・犯罪被害者等の相談対応
・犯罪被害に伴う区役所等への手続きにかかる同行支援
・犯罪被害者等支援事業の申請受付
・犯罪被害者等支援に関する関係機関等との連絡調整

■連絡先
電話番号 052-972-3042
FAX番号 052-972-6453
E-mail a2580@sportsshimin.city.nagoya.lg.jp

名古屋市公式ウェブサイトの関連ページもご覧ください。
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/category/2-12-0-0-0-0-0-0-0-0.html

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記事の作成にご協力いただきました青木さまが所属されている「NPO法人犯罪被害当事者ネットワーク緒あしす」のホームページは下記のとおりです。
http://www.oasis2000.com/

(NPO法人犯罪被害当事者ネットワーク緒あしすは、犯罪被害に遭い大切な人を亡くした被害者遺族と、その応援をしてくださる方々とが一緒になって、犯罪被害者を優しく包み支えることができる社会、誰もが安全に安心して暮らせる社会づくりのために活動をしています。)

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犯罪被害者等支援パネル展~ねがい~

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