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歴史に魅せられ、緑に癒される南区笠寺エリア #なごやを歩こう~広報なごや10月号~

こんにちは。広報課の鈴木です。
広報なごや10月号「#なごやを歩こう」では、南区笠寺エリアを取り上げます。何を隠そう南区育ちの私が、今回笠寺を紹介できることをうれしく思います!この記事を読んで、皆さんに「笠寺に行ってみようかな」という気持ちが芽生えたらうれしいです。

それでは、名鉄「本笠寺」駅からスタートです!

青空が広がり、まち歩きにぴったりな日でテンションが上がります!

どこか落ち着いた時間の流れを感じる笠寺観音商店街

「本笠寺」駅の改札を出て、笠寺交番がある方向へ歩いていきます。
すると、街灯に付けられた「笠寺観音商店街」の看板がお出迎えしてくれます。

空を見上げると、笠寺観音商店街の看板がたくさん見つかります。

少し歩くだけで、レトロな喫茶店や焼肉、うなぎ、うどん屋などの飲食店を見つけました。これはグルメも楽しめそうです!

笠寺観音商店街の道の様子。交通量が多い道もあるので、注意して歩いてくださいね。

「笠寺西門」交差点で信号を待っていると、スーパーマーケットの前に、カエルのオブジェがありました。
オブジェの横に説明書きもあり、「戸部の蛙」と言うそうです。
昔、この地域にあった戸部城の城主、戸部新左衛門にまつわる伝説もあるようですが、「無事に帰る」とのいわれもあり、旅の無事を祈る縁起物も兼ねた郷土玩具とのこと。現在は「本笠寺」駅から歩いて10分ほどの富部神社の社務所で、お守りとして手に入れることができるそうです。

愛くるしい目をしている戸部の蛙。
このまち歩きを楽しく終えて、無事にカエルことができますように!

「笠寺西門」交差点にあった笠寺の歴史が刻まれた石碑を見つつ、道の先に見えた「笠寺観音」。

「江戸時代の笠寺村は、東海道第四十番目の宿場である鳴海から熱田宿を結ぶ東海道筋にあたり…」という説明から始まる石碑。笠寺の歴史を感じます。
奥の方に笠寺観音が見えてきました!

ずっと笠寺を見守ってきた笠寺観音

名古屋を鎮護する尾張四観音の1つで、「笠寺」の地名の由来となった約1300 年の歴史を持つお寺です。

笠寺観音には人質交換之地を示す石碑があります。
諸説あると言われていますが、笠寺観音は幼少期の徳川家康(竹千代)と織田信長の兄・織田信広の人質交換が行われた場所とのこと。今年(2023年)の大河ドラマを見ている私は、「ここに家康がいたのかも」と考えるだけでワクワクしました。

出迎えてくれる西門(名古屋市指定有形文化材)
家康公人質交換碑、多宝塔(名古屋市指定有形文化材)
どっしりとそびえる本堂(名古屋市指定有形文化材)
本堂内の美しい装飾
本堂内で、願い事が叶うようにと祈祷する護摩木(ごまぎ)。
私も家内安全をお願いしてきました。
柔らかいお顔をされるおもかる地蔵さま。
願い事によって感じる重さが異なると言われています。 優しく抱いてくださいね。
迫力ある仁王様(金剛力士)が入口を守る山門(名古屋市指定有形文化材)

最後にご住職にお会いし、お話を伺いました。
「笠寺観音は約1300年前から歴史を紡いでまいりました。
先人たちの想いを引き継ぎながら、大切にお守りしています。長い歴史の中で、災いを払い、良き縁をつないでくださっている観音様です。
皆さまも、心静かにお参りなさってください。」とお話しくださいました。

ご住職の優しいお人柄で、お話を伺うとどこか心が軽くなるような気持ちになりました。ありがとうございました。

2015年から笠寺観音の住職を務められる吉川 政春(せいしゅん)さん

笠寺観音 番外編

毎月第4土曜日に行われる「かんのんひろば」に行ってきました。
※第4土曜日に開催されない月もあるので、主催者HPなどで要確認
※雨天中止

ハンドメイドのお店などが並びます。(開催日によって店舗が異なります)
毎月6の付く日には「六の市」(青空市)なども行われ(雨天中止)、参拝だけでなくこうした市なども楽しむことができます。

西門にあった立て看板が可愛らしい雰囲気をかもし出します。
子どもの幼稚園で使えるランチョンマットと、猫柄などの布がくるんであるくるみボタンを思わず買ってしまいました。かわいい柄で子どもも喜んでくれました。

多くの文化財などがあり、紹介しきれませんが、名残惜しく笠寺観音をあとに、「笠寺一里塚」を目指します。

旧東海道をしのぶ笠寺一里塚

笠寺観音から南東方向に約5分ほど歩くと見えてくるのが、「笠寺一里塚

標識も見えてくるので分かりやすいです。

1604年、徳川幕府が主要街道を整備したとき、一里(約4km)ごとに塚を築き、その上に木を植えて道しるべとしました。なんとこの一里塚は、市内に残る唯一のものなんです。貴重なものが笠寺に残っていることが、誇らしいです。

江戸時代からこの地に根付く榎を見ていると、
歴史の深さを感じ、少し佇んでしまいました。

大樹からパワーをもらい、笠寺観音の東側にある「笠寺公園」を目指します。

地域の憩いの場、笠寺公園

私も家族でよく利用する公園です。春はお花見、夏は虫取りと、季節ごとに楽しめます。
園内には遊具やバスケットボールのゴールがあり、子どもが遊ぶのも良いですし、広々としていて緑が多い公園なので、散歩やピクニックにもピッタリです。歩くだけでも結構疲れるので、良い運動になります。

笠寺公園に到着!
ブランコや滑り台の他にも、山型遊具などもありました。
ゴールを見ると、無性にバスケットボールがやりたくなりました。
笠寺公園には丘の上に見晴らしの良い場所があり、笠寺観音も望むことができます。

そして、この笠寺公園、ただの公園ではないんですよ。
散策していると、環濠(周囲に巡らされた堀)の跡や太平洋戦争中に使われた高射砲の砲台跡などが目に飛び込んできます。

再現された環濠の跡
濠再現コーナー
高射砲の砲台跡

これは何かありそうだ…と歩いていくと、笠寺公園内にある「見晴台考古資料館」が見えてきました。

南区で弥生時代の土器発見!?見晴台考古資料館

笠寺公園には、弥生時代後期を中心に環濠集落であった「見晴台遺跡」が残されています。
この資料館では、見晴台遺跡に関する資料の収集、調査研究、展示を行っています。

開館時間:午前9:15~午後5:00 入館料:無料
休館日:月曜日(祝休日の場合は翌平日)・第4火曜日(祝休日を除く)
駐車場:21台(無料)

見晴台遺跡から出土した数々の弥生土器が展示され、また時期ごとに展示内容が変わる企画展も行われます。

見晴台遺跡を代表する弥生土器の展示
こんなにたくさんの土器や陶器を一度に見たのは初めての経験でした。
弥生時代から中世に至る人々の生活の一部が垣間見られます。

私が皆さんにぜひ体験してもらいたいのが、弥生土器に触ってみよう!のコーナーです。
実物の弥生土器の破片に触ることができるのですが、弥生時代に生きていた人と同じものに触れていると考えるとすごいことですよね。感動してしまいました。

資料館入口付近にコーナーがあります。

また、外にあった高射砲の砲台跡。太平洋戦争(1941~1945年)のときには、笠寺公園に笠寺高射砲陣地が置かれ、対空戦闘時のみではなく、兵が常駐する場所でもありました。
笠寺公園には兵舎跡が埋まっており、砲弾・工具類・通信機器なども見つかっています。そういった戦争の爪痕を実際に見て、学べるといった意味でも、見晴台考古資料館は貴重な施設です。

自分の住んでいる地域でも戦争が行われていたんだと実感するとともに、平和について考える機会になりました。

砲弾や砲弾取付器具などの展示

そして、見晴台考古資料館の大きな魅力の1つが、資料館に勤務されている方々です。館長の山下 尚男さんと学芸員の伊藤 厚史さんにお話を伺いましたが、笑顔が素敵な館長さんと博識で豊かな歴史について語ってくださる学芸員さんですので、会いに行ってみてください!(勤務されていない日や外出されている日もありますので、ご了承ください)

特別に見晴台遺跡から出土した弥生土器を見せてくださる
(左)館長の山下さんと(右)学芸員の伊藤さん

館長さんと学芸員さんに見学のお礼を伝え、資料館を後にしようとしたのですが、資料館のすぐ横に別の建物を見つけてしまいました。その名は「住居跡観察舎」。

こちらも忘れずに見学してくださいね。

いざ扉を開けると、驚きました!

見晴台遺跡で見つかった遺構、その中でも一番大きな住居跡に竪穴住居1棟を復元し公開しています。存在感たっぷりで迫力があります。

弥生時代の人々はどんな暮らしをしていたのか、想像が膨らみますね。

こちらを最後に、まち歩きを終えたいと思います。
たっぷり半日を掛けて、笠寺エリアを歩いてみました。

笠寺のまちを歩き終えて…

笠寺観音のご住職、休憩も兼ねて入った喫茶店のマスター、かんのんひろばで接客してくださったハンドメイド店の店員さん、見晴台考古資料館の館長さん・学芸員さん。実際に歩いて、現地に行ってみることで素敵な出会いがありました。これも、まち歩きの醍醐味ですよね。(広報なごやに載っている「かさでら図書館」は、あいにく休館日でしたが、またの機会に行かせていただきたいと思います。)

緑もあり、歴史を感じて学んで、グルメも楽しめる。
南区育ちの私ではありますが、笠寺の魅力を再確認する機会となりました。

ぜひあなたも、笠寺エリアを歩いてみては?
また、2023年10月1日~11月5日の土曜日・日曜日・休日に、笠寺を含む市内南部の観光スポットを周遊する「なごや歴史満喫バス」(有料)が運行されますので、こちらも活用してみてください。※なごや歴史満喫バスの運行は終了しました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。