見出し画像

夏といえば妖怪!名古屋市博物館水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~

こんにちは、広報課の西野です。
今年の夏も、ものすごく暑いですね。
そんな時期にぴったり!名古屋市博物館で9/24(日)まで開催中の特別展
「水木しげるの妖怪  百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」をご紹介します!
※イベントは終了いたしました。

水木しげるさん(1922~2015)と言えば、妖怪を題材にした作品で有名な漫画家ですよね。
2022年の水木さん生誕100周年を記念し、
妖怪画創作の裏側に初めて注目した展覧会が開催されています。

貴重な資料や妖怪画の原画がたくさん見られますので、水木ファンの方も作品を初めて見る方も楽しめそうですね!

今回は、名古屋市博物館の学芸員である鈴木さんに展示の見どころを教えていただきました。

名古屋市博物館 学芸員 鈴木さん

期間ごとに変わる入場特典!

入場する際に、妖怪が描かれたカードをいただきました。

釣瓶落とし(つるべおとし)のカード


このカードは入場特典で、期間ごとに違うカードがもらえます。
私は、釣瓶落とし(つるべおとし)のカードをいただきました。大木の先から下がってきて、通行人を襲う妖怪です。あなたの好きな妖怪もカードになっているかも?

裏には妖怪の紹介が書かれています


では、どんな展示があるのか観に行ってみましょう!




第1章:水木しげるの妖怪人生


水木さんの作品のほとんどに、妖怪が登場します。
なぜ、彼は妖怪を描き続けたのでしょうか?
彼が妖怪に興味を持ったきっかけから、日本を代表する漫画家として活躍するまでの人生をたどります。

©水木プロダクション

子どものころ、近くに住む「のんのんばあ」というおばあさんに不思議な妖怪の話を聞き、妖怪に興味を持った水木さん。
そんな幼少期から成長して戦地に赴いた際の不思議な体験や、終戦後さまざまな仕事を経て漫画家として活動していくまでを、水木さんの漫画を用いながらパネル展示しています。


©水木プロダクション


展示パネルを見ていて、ふと気づいたことが…。

西野:今回の特別展は、作品や資料が数多く展示されていましたが、とても見やすいです。なにか工夫されたことはありますか?

鈴木さん:展示に使用しているパネルは、 床から150センチがパネルの中心になるように設置するのが一般的なのですが、今回の展示では床から135センチがパネルの中心の高さになっています。
車いすでお越しの方や、お子さんでも見やすいようにこの高さにしています。

©水木プロダクション

西野:そうなんですね。どなたにも楽しんでもらえるよう、工夫がされているのですね。

お邪魔した時期は夏休みが近いからか、小さなお子さんもたくさんいらっしゃっていました。
小さな水木さんファンにも楽しんでもらえそうですね。

展示内にある撮影スポット!

展示を見ていると「ぬりかべ」が現れていました!
百鬼夜行展には、妖怪の撮影スポットがいくつかあります。ぜひ大きなぬりかべとお写真を撮ってくださいね。

©水木プロダクション



©水木プロダクション
ぬりかべと同じポーズをとっていらっしゃる鈴木さん


©水木プロダクション
©水木プロダクション
あっ!今瞬きしてたような…?

第2章:古書店妖怪探訪

水木さんは、先人たちの築いてきた妖怪世界をリスペクトしつつ、さらに豊かなものに発展させました。その制作の裏側を知ることができる関連資料が展示されています。


©水木プロダクション


妖怪関連資料がズラリと並んでいます。水木さんが古書店街に通い収集したものもあります。

©水木プロダクション
妖怪関連資料の数々

有名な妖怪の素材となった記述のところには水木さん自身の書き込みがありました。こうした資料から数々の妖怪が生み出されていったんですね。


妖怪について記録していたり、作品に登場させていた人物の年表がありました。
有名な方ですと、浮世絵師の葛飾北斎は「百物語」というシリーズで「お岩さん」などを描いていますし、小説家の小泉八雲は「怪談」にて「耳なし芳一の話」などを取り上げています。
他にも、妖怪について取り扱っている作家や研究者が紹介されていますよ。

©水木プロダクション
妖怪文化人年表


©水木プロダクション
もちろん水木さんもいました。かわいいイラストですね。


第3章:水木しげるの創作工房


水木さんはただ妖怪を描いていたわけではありません。妖怪を描く上で大切にしていたことがあります。


鈴木さん:水木さんは、妖怪を昔の人が残した遺産と考えていたので、昔の絵師が残した妖怪の姿を忠実に受け継ぐようにしていました。しかし、ただ真似をしていたわけではなく、家や里、山、水辺などの背景を緻密に描き、妖怪と遭遇して驚いている人物を配置するなど、妖怪が出現する場所や状況が伝わるように工夫をしています。本当に妖怪はいると信じていたからこそ、リアリティを求めて妖怪画を描いたんでしょうね。また、伝承で伝わってはいるものの、姿を描かれていない妖怪についても、水木さんの手で姿を与えられています。

西野:そうなんですね。姿のなかった妖怪達は、水木さんの作品によって初めて私たちはその姿を見ることができたんですね。


リアルな妖怪を描くため、水木さんは大量の資料を手元に持っていました。
先ほど紹介した妖怪関連資料はもちろん、妖怪がいそうな木陰や水辺、山林や川辺の景色の写真が大量に貼られたスクラップ、一見妖怪とは無関係そうなご当地の民芸品まで、水木さんの創作の土台になった資料を展示しています。

©水木プロダクション
リアルな風景に馴染むリアルな妖怪たち


鈴木さん:水木さんの描く絵に使われているのは、墨と着物などを染めるのに使う染料なんです。普通の絵の具とは違う独特の色合いが出ていますよね。それと、妖怪が現れる暗闇を描くときに、少し緑がかった水色がよく使われています。これが、妖怪が出現しそうな妖しい雰囲気をとてもうまく表現しているんですよね。

西野:確かに絵の具で描かれた絵とは違い、和風な印象を受けますね。
染料の自然な色合いだからこそ、実際に私たちがいる場所に妖怪がいるように見えます。そんな原画ならではの見どころなどはありますか?

鈴木さん:水木さんの絵はとても描写が細かいんです。画像や本のサイズでは印刷されないような建物や道具の影の強弱や、妖怪の口の中から見える舌のザラザラしているような質感なども描かれています。それが原画ではじっくりと見られるのがポイントですね。

西野:よく見ると細かな点描で描かれていますね!細部までこだわって描かれているんですね。
この企画展にはたくさん妖怪がいますが、鈴木さんの好きな妖怪はいますか?

鈴木さん:べとべとさんですね。(即答)
一番身近な妖怪だと思います、あとかわいいです。

撮影スポットその2!


そんなかわいいべとべとさん、一緒に写真が撮れますよ!

©水木プロダクション
大きな口が特徴なべとべとさん


西野:この妖怪、私は初めて知りました。
夜道を歩いているといつの間にか後ろにいる妖怪です。
道の端に寄って「べとべとさん、お先にお越し」と言うと人間から離れていきます。
後ろから下駄の音がしたら、べとべとさんがいるかもしれませんね。

第4章:水木しげるの百鬼夜行


水木さんが描いた山・水・里・家の、それぞれに棲む妖怪画がずらりと並びます!
壁いっぱいに並んでいるその景色はまさに百鬼夜行!圧巻です…。
見たことある妖怪から初めて見る妖怪まで本当にたくさんいました。
コロナ禍で有名になったあの妖怪にも会えるかもしれませんよ。


©水木プロダクション
©水木プロダクション

エピローグ 妖怪は永遠に


水木さんのコメントや水木さんご本人のインタビュー映像をご覧いただけます。水木さんの妖怪への思いを語っておられるので、ぜひご覧ください。

特別展記念グッズもチェック!


会場内の特設ショップでは、ここでしか買えないオリジナルグッズが販売されています。なにが売っているのか、のぞいてみましょう。

今回の目玉グッズである妖怪の絵が描かれたポストカードです。
展示されていた絵と看板のデザイン含め全113種類!!
購入すれば背景から細部までこだわった水木さんの妖怪画をご自宅でゆっくり見られますよ。

ずらりと並ぶ妖怪グッズ


他にも百鬼夜行展限定グッズ、ぬいぐるみやTシャツなどのグッズが盛りだくさん!
お気に入りの妖怪を見つけた方はぜひ、連れて帰ってあげてください。

「僕はこれを買いました」と鈴木さんが見せてくださったのは、漫画のコマをあしらった大きなハンカチ!
鈴木さんの推し「べとべとさん」もいました。
見せていただいているうちに私も欲しくなってしまい、同じものを購入しました。(お揃いになってしまいますが…と伺うと「大丈夫ですよ」とおっしゃっていただきました。)


記念にグッズを買いました!


カラーは水色・緑色・赤茶色の3色あり、私は水色にしました!
暑いこの時期にはとても便利で愛用しております。
後ろに映っているのはオリジナルのショップバッグです!
がしゃどくろが大きく載っていて迫力満点ですね。


いかがでしたでしょうか。
私は水木さんの作品をここまでたくさん見るのは初めてでした。
自分が知っている水木さんの作品だけでなく、多くの妖怪についての資料や書籍があることを知りました。水木さんが妖怪を愛し、妖怪を描くための時間や情熱を惜しまなかったことが資料の多さや細部まで書き込まれた絵を見て伝わってきました。
水木さんの妖怪の絵には妖しさがありますが、どこか愛らしさがあるのは水木さんの愛が絵に現れているのかなと感じました。

今年の夏は、ぜひ妖怪たちに会いに来てくださいね。


博物館は作品保護のため、室温が低く設定されているようです。体温調節をしやすい服装でお越しください。

※イベントは終了いたしました。
名古屋市博物館
「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」
期間:7月15日(土)~9月24日(日)
休館日:月曜日、第4火曜日(祝休日の場合は翌平日休み)。

チケットや料金など、詳しくはこちら

名古屋市博物館はリニューアルのために休館いたします
名古屋市博物館は、令和5年10月1日から令和8年夏まで改修工事のために休館いたします。今回は、休館前最後の特別展です。ぜひ、改修前の姿を見にいらしてください。