女子サッカーチーム NGUラブリッジ名古屋のAI技術を活用した選手へのフィードバックを取材しました!
名古屋市広報課の丸澤です。
大学生の頃は熱心にフットサルをしていて、ゴレイロ(サッカーで言うゴールキーパー)として、強豪チームではなかったですが(自称)活躍していました。
試合をビデオで撮影してチーム内で共有しますが、どうしてもボール中心となり、「ポジショニング」「出るタイミング」などをゴレイロ(ゴールキーパー)として確認したいことを振り返ることができなかったです。
そんな中、「HATCH TECHNOLOGY NAGOYA」というテクノロジーを使って行政・地域課題を解決しようという試みである名古屋市経済局の事業に、「AIカメラプロジェクト」というものを知りました。
名古屋市民にお馴染みの鶴舞公園、その公園内にある「テラスポ鶴舞」で練習をしている女子サッカーチーム「NGUラブリッジ名古屋」が、「AIカメラ」を使って練習にフィードバックをしていると聞き、興味を持ちました。
≪HATCH TECHNOLOGY NAGOYAとは≫
「HATCH」とは「かえす、孵化する」を意味します。「HATCH TECHNOLOGY NAGOYA」は先進技術の社会実証を支援することで技術の研究開発や社会実装を促進していくもので、「課題提示型支援事業」と「フィールド活用型支援事業」の2つの事業で構成されています。この名古屋から、先進技術という「卵」を社会実装という形でどんどん「孵化」させていくことを目指します。
という名古屋市経済局が推進している事業です。
こちらもご覧にいただければ。
社会実証、「こんな事業をします」は広報をしてメディアなどで取り上げられたりしますが、「こういうフィードバックがなされました」というものは広報課でもあまり取り扱っていなかったような気がします。
社会実証の結果、利用者の感想や実証に参加された企業や施設の想いなども広くお伝えしたいと考え、市政情報番組である「コアラが住む街なごや」の令和3年9月12日放送回で「HATCH TECHNOLOGY NAGOYA」を取り扱います。
番組ではNGUラブリッジ名古屋の選手からも利用者の視点のコメントをしていただいています。
放送内容はこちらから、令和3年度中はご確認いただけます。
「テラスポ鶴舞」「AIカメラ」と初めて聞いた方もいるかと思いますので、施設の方と企業の方へのインタビューを最初に、その次に利用者であるNGUラブリッジ名古屋の監督・コーチにもインタビューしてきました。
【テラスポ鶴舞について】
(―は丸澤が発言)
―施設について教えてください。
大脇:テラスポ鶴舞(ツルマ)の大脇です。
テラスポ鶴舞は2018年4月にオープンし、正式名称は鶴舞公園多目的グラウンドで、愛称としてテラスポ鶴舞という名前がついています。テラスポは造語なんですけど、「テラス」と「スポーツ」を掛け合わせたものです。
この施設の設置にあたっては、官民連携のPPPという公共施設整備の仕組みを活用しました。公益財団法人愛知県サッカー協会が名古屋市に提案し、基本的な設計・資金を集め・建設まで行って、名古屋市に寄附するという形で進めました。
直接的な税金を投入せずに民間の資金で施設の設置・維持及び運営管理を行うケースは非常に珍しく、全国から視察などに来られています。
常駐のスタッフは5人とサポートをしてくれるアルバイト3人、元日を除いた年間364日間、基本は朝08:30から夜09:30まで毎日グラウンド利用が出来ます。
LED照明灯を有する人工芝多目的グラウンド2面とクラブハウスがあり、ホームページではラブリッジの練習風景など見られる「テラスポ鶴舞チャンネル」もご覧ください。
インタビュー対応中のテラスポ鶴舞の大脇様
【AIカメラ】
―AIカメラについて教えていただけますか?
川崎:NTTSportictの川崎です。
今回の社会実証では、弊社提供サービス「STADIUM TUBE」というAIカメラによる無人撮影&WEB配信プラットフォームによる、地域スポーツ映像を軸とした地域活性化に取り組んでいます。
AIカメラは、コートのセンターライン上付近の高さ7m程度の支柱に常設しており、一般のビデオカメラでは撮影が困難な高さから俯瞰したパノラマ映像を撮影しております。そのパノラマ映像よりAIが人やボールの動きを解析し、人がカメラワークを行っているような自動映像処理を行います。
弊社提供サービス「STADIUM TUBE」の強みとしては、試合や練習の撮影や配信に現地へ人を派遣しないで対応が可能です。また、事前に専用のWEB専用管理画面より撮影及び配信日時を設定しますので、早朝や夜の時間帯でも問題ありません。
実際に利用されている方々からは、「プレー中のフォーメーション等の振り返りに活用できる」「現地に行かなくてもあとで試合映像をアーカイブ配信で楽しむことができた」等の感想をいただいております。
HATCH TECHNOLOGY NAGOYAで、地域スポーツ映像を中心に、利用者だけでなく、地場の企業様も巻き込んだ展開に広げていきたいと考え、親会社であるNTT西日本と、愛知県サッカー協会、弊社NTTSportictで取り組ませていただいています。
インタビュー対応中のNTTSportictの川崎様
【社会実証への参加】
―テラスポ鶴舞で社会実証に参加した理由や、今後の展開を教えてください。
大脇:AIカメラの社会実証に参加した理由が2つありまして、1つはまず施設の利用者に喜んでいただけるような新しいサービスになるのではないかということが1つ目です。もう1つはそこで新しいビジネスモデルを作り、理想的には利益を出して、グラウンドを利用するチームやスポーツ施設などに還元していける、そういったことができないかというのが2つ目の理由です。
コロナ禍で試合・練習ができなかったりなどで、まだ活用できているというところまではできていませんが、今後もチャレンジしていきたいです。
川崎:私は名古屋出身で、テラスポ鶴舞のことを知っていました。ここで「事業の連携ができないかな」と思っていたときに、名古屋市役所(経済局)の職員をご紹介いただく機会があり、打ち合わせの中でHATCH TECHNOLOGY NAGOYAについて教えて貰い、参加させていただきました。
現状の取り組みは、AIカメラによる撮影及び配信を希望された試合や練習を「テラスポ鶴舞チャンネル」のWEBサイトで無料配信しています。
また、希望者には有償でテラスポ鶴舞の受付において動画データ販売も行っています。今後は「応援広告」という形で企業広告をWEBサイトに掲載する新たな価値もご提供できるように取り組みたいと考えています。
大脇様、川崎様とは他にも色々とお話を伺いました。「スポーツ×テクノロジー」として、別の機会に書くことができれば。
NGUラブリッジ名古屋の練習が終わり、監督、コーチへのインタビューに続きます。
【選手へのフィードバック/NGUラブリッジ名古屋】
左から磯村監督、小林コーチ、卯木GKコーチ
―AIカメラは実際にどのように試合・練習に活かしていますか?
小林:試合のビデオは以前から撮影して、選手に展開していました。なかなか練習をビデオに撮って、確認するという機会がなかったです。試合につながるのは日々の練習なので、そこをしっかりと確認できるようになったというのは大きいと思います。
今はまだ映像を見ながら練習中にフィードバックするという所までは来ていないですが、残っているアーカイブ映像を練習後に個々やグループで集まって確認する際に利用しています。
卯木:自分たちで撮影するとどうしてもボール中心の撮影になり、GK(ゴールキーパー)はよく見切れているので、上からの撮影というのは凄くありがたいです。GK(ゴールキーパー)個々の動きをAIカメラで見て、二人(コーチと選手)で「ポジション、ここは高いよね。」「DF(ディフェンス)ラインと間があきすぎているよね。」とか話し合っています。
3人のGK(ゴールキーパー)がいるんですが、個々でも足の速さが違うので、奥行きが分かる上からの映像を見ることで、それぞれに応じたタイミングについて話し合いができ、フィードバックすることができます。
私もコーチとしてメニューを作る時に、見返したりしています。
―AIカメラ導入により、練習などに変化は出ていたりしますか?
磯村:映像を活用することで、練習そのものの改善に繋がっています。伝えたいことを伝えることが出来ているか、などです。
試合形式の練習を上からの映像を見ることで「こういう練習を増やさないといけないな」「こういうものをやらないといけないな」とか、「ボールの動きに対してこういうところに働きかけないといけないな」とか、そういう確認をすることで、練習のメニューへの反映、選手へのフィードバックをさせたりします。
【監督・コーチから練習環境について】
―前回のインタビューで以前は学校のグラウンドを借りて、投光器を使って練習していたと聞きます。今は人工芝のグラウンドで、照明設備、シャワー室・更衣室、AIカメラなどがあるテラスポ鶴舞と環境面が良くなっていると感じます。
卯木:私は土のグランドで練習していた時に選手としていたので、足が擦りむいたりして、血だらけになりながら練習をしていた記憶があります。コーチとして久々に戻ってきたら、こんなに良い環境で正直羨ましいです(笑)AIカメラとか、選手としての自分を見つめなおす機会がある、選手としての上達への方向性を考えられる、凄く素晴らしい環境だと思います。
小林:練習をAIカメラで撮って、練習後にすぐ確認できるという環境は、他のクラブチームなどではあまりないと思います。プレーしている自分のイメージと映像を見た時の違い、例えば相手のプレッシャーを感じていたけど実はフリーだったとかは、映像を見れば一目瞭然。なぜそのプレーを選択する事になったかを客観的に分析できて、課題を見つけるのに役立つ凄く良い環境だと思います。
映像は頭にも残るので、現状をしっかりと確認した上で次の日練習に入れて、課題を意識した状態で取り組めるのは、この環境でやれる強みかなと思います。
磯村:ピッチも非常に良いですし、AIカメラで自分自身を振り返る設備があり、とても良い環境です。このチームは、どんどん上を目指しています。自分がもっともっと上手くなりたい、もっと上のカテゴリーでしたいという人は、それを叶えるだけの環境はあるので、是非NGUラブリッジ名古屋に来てください。
練習後の振り返りの様子を撮影
【最後に】
「名古屋だから、名古屋から」
今回インタビューを通して、頭に浮かんだ言葉です。
行政課題や社会課題に先進技術を活用した企業等と共に取り組む名古屋市役所の施策「だから」、人と人とのつながりが名古屋「だから」、名古屋市出身や名古屋市にある企業で働いている「から」、実証実験を名古屋市「から」始めていずれは全国、全世界へなど、たくさんの「だから」「から」を感じました。
記事も広報課が所管する市政情報番組「コアラが住む街なごや」だから、NGUラブリッジ名古屋のチームの皆さまと出会えたから、令和3年8月26日の記事にもつながりました。
今回はHATCH TECHNOLOGY NAGOYAという事業に着目しましたが、もっと多くの「だから」「から」を感じる事業を、もっと発信していけたらと思っています。
あと、前回NGUラブリッジ名古屋のマネージャー、三浦選手に市公式noteのインタビューに応じていただき、練習後に集まった選手の皆さまに感謝のお気持ちをお伝えしましたが、これだけのトップアスリートの前で話す機会は初めてでしたので非常に緊張しました。
NGUラブリッジ名古屋の公式twitterで市公式noteの記事を掲載していただいたり、コーチなどもリツイートしてくれたりなど、感謝の気持ちでいっぱいです。
私が職場に戻る際も選手の人たちが私を見つけて挨拶してくれたりなど、NGUラブリッジ名古屋の選手は素敵だなと思います。
名古屋市広報課「だから」、市公式note「から」、名古屋市の情報を発信していきたいと思います。