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南区いい湯だな♪銭湯めぐり(2024冬~銭湯絵師がやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!編~)


どうも~。お久しぶりでございます。
 
名古屋市南区役所地域力推進課の「せんとうくん43歳」でございま~す。私も人間ですので、歳をひとつ重ねて43歳となりました。

43歳になってもヴィジュアルはキープ


ご存じでない方に軽くご説明をいたしますと、この「南区いい湯だな♪銭湯めぐり」は、「名古屋市南区は銭湯が多いまち」という特色を生かすため、怪しげな風貌をしているだけで全く怪しい者ではないせんとうくん43歳が、南区内の銭湯を紹介するものでございます。


この連載がきっかけで、テレビ愛知の番組で新日本プロレスの社長である「100年に1人の逸材」こと棚橋弘至さんと一緒に風呂に入るという、不思議な経験までさせてもらいました。

「嘘じゃないよ」とその時の写真を

 
そんな、そこそこには好評を得て(自分で言うかね)、全9回にわたって書き連ねていた連載は、2024年3月更新分をもって終了していたところでございましたが…

なんと!

この度!

復活することになりました!

(たぶん、一度限りではありますが…)

 
というわけで、このプチ復活にお付き合いいただけましたら幸いでございます。

連載時、毎月26日(風呂の日)に更新しておりましたが、今回もそれを踏襲し、この記事は12月26日の更新です。ちなみに、8年前の2016年12月26日は、テレビ番組「SMAP×SMAP」が終了した日でございます。あのSMAPの解散からもう8年も経つのですね。

SMAPが解散して久しいですが、ミン・ヒジンを介してNewJeansがその影響を受けたルック をしていたりすると、カルチャーのバトンが受け継がれるのはやっぱりいいもんだな!と思ったりします。

 はてさて、なぜ今回プチ復活を遂げたのか、ですよね。

実は、ここ南区で銭湯にまつわる見逃せないイベントが行われたからなんです。なので、今回はそのレポートを皆さまにお届けいたします。

一体どんなイベントが開催されたの?


「南区が銭湯のまち」である根拠として、銭湯の数が多いということのみならず、銭湯を支える企業があることも連載の中で触れていました。
 
今回のイベントは、そのなかのひとつ、銭湯などで使用されている業務用入浴剤のトップシェアを誇るメーカー「健美薬湯」にて行われました。


健美薬湯については、南区役所が南区で活躍する方々にスポットを当てたインタビュー企画「ミナシル」にて、社長の松田宗大(まつだのりひろ)さんにお話を伺っていますので、ぜひそちらもご覧ください。

【ミナシル】
第18回「健美薬湯」代表取締役社長 松田宗大さんインタビュー
 
【テレビ出演の裏話も】
健美薬湯社長×せんとうくん43歳の対談が実現しました
 
では、健美薬湯を舞台に一体何が行われたのか

2024年11月のある日、健美薬湯から連絡が入りました。銭湯にまつわる超すげぇアノ人が、ウチに来てアレをしますよ、と。なので、せんとうくん43歳もぜひいらしたらいかがでしょうか、と。

そんなチャンスは逃すまいと、そりゃもうワクワクさんで向かいましたよ!

健美薬湯に到着したら、超すげぇ人が確かにそこにいました!


この写真の方、日本で数名しかいない銭湯絵師のひとり、中島盛夫(なかじまもりお)さんです!

<中島盛夫さんプロフィール>
1945年福島県相馬郡飯舘村出身。1964年に上京して間もなく、背景画師の丸山喜久男氏に師事。 初めてローラー使いを考案し、背景画制作の時間短縮に貢献。 銭湯の減少にともない背景画師が減る中、 日本を代表する背景画師の一人として幅広いフィールドで活躍中。 今年の11月2日には黄綬褒章(おうじゅほうしょう)を受章。


ニュージーランドで開催された日本文化を紹介するイベント「Japan Fiesta EX 2024」に中島さんと健美薬湯がともに関わった縁が両者にはありました。
 そこで健美薬湯が中島さんにオファーして、「銭湯を知ってもらうきっかけ」として、銭湯の象徴ともいえる銭湯絵のライブパフォーマンスを展開する今回のイベントへとつながったのです! 
上に掲載したミナシルのインタビューでの「銭湯文化を発信していくことが自分たちの役割である」という発言そのものともいえる今回のイベントを企画した松田社長擁する健美薬湯。素敵ですよねぇ。

銭湯絵制作の様子


それでは、貴重な貴重な銭湯絵制作の様子を時系列でご覧ください。

健美薬湯社内の壁にガツンと 描きます


中島さんは空き缶をペンキ入れにしていました(慣れた手つきで調色中)


脚立にのぼり勢いよく描き始める


わずか3分で下絵ができあがる


中島さんが考案したローラー使いで空と雲を塗っていきます


今度はハケを使って富士山を描き込んでいく


おお!1時間程度でもう富士山が!


ここで、健美薬湯の社員さんや区役所の職員なども銭湯絵を描く体験をすることができました。

中島さんが見守る中、健美薬湯の社員さんが描き入れます


「なかまに なりたそうに あちらをみている!」せんとうくん43歳(実体)


仲間にしてもらえました


外看板で一般の方の観覧を呼びかけます


最終工程では中島さんの手によって格段の仕上がりになっていきます


完成!満面の笑みでガッチリ手を握り合う松田社長と中島さん


今回の絵柄は、中島さんの脳内に残る初めて描いた銭湯絵を再現しつつ、健美薬湯の生薬のイメージをミックスさせたものとなっております。
 
健美薬湯の中はショップになっているため、営業時間中は出入り自由です。つまり、この立派な富士山が中央に鎮座した銭湯絵は、どなたでもご覧になることができます!
 
ぜひ、お気軽に一度足を運んでいただき、銭湯文化を身近に感じていただけたら、せんとうくん43歳も非常に嬉しく思います。
 
また、銭湯絵の制作風景を定点で撮影した早回し映像が、健美薬湯のInstagramでご覧いただけます!こちらもご覧ください!
      ↓
銭湯絵制作早回し映像

中島盛夫さんインタビュー


長年に渡り銭湯絵を描き続け、先ごろ黄綬褒章を受章された中島盛夫さんがすぐそばにいるというのに、話を聞かないわけにはいかない!ということで、制作の合間でインタビューをさせていただきました。

それではどうぞ。

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――銭湯絵師になろうと思ったきっかけはなんですか。
 
中島盛夫さん(以下、中島) 1963年に働いていた町工場の隣にある銭湯に毎日通っていたんですが、そこに描かれている富士山の絵を見て、自分も描いてみたいと思いました。その後、たまたま新聞に銭湯絵師の助手の求人広告が出ていて、師匠に出会いました。
 
――銭湯絵師とは具体的にどういった生業なのでしょうか。
 
中島 銭湯から頼まれて銭湯絵を描いて報酬をいただくという仕事です。昔は銭湯に広告が出ていて、広告業者がお金の負担をしていました。最近は銭湯だけでなく、今回のオファーのように店舗の壁などにも描いています。
 
――1回あたりどのぐらいの時間をかけて描くのでしょうか。
 
中島 銭湯の場合は男湯・女湯片方で3時間かかるので、描くのに6時間。準備や撤収も入れると合計8時間かかりますので、1日仕事です。
 
――どれぐらいの期間で描き替えるものなのでしょうか。
 
中島 昔は毎年描き替えている銭湯ばかりでしたが、いまは2、3年に1回ぐらいが多いですね。
 
――中島さんが考案したローラー使いとはなんですか。
 
中島 ハケではなく、ローラーで塗装する手法です。昔、指を怪我したことがあって、ハケを持ちづらくなってしまったんです。そんな時、塗装屋を見ていてローラーを使うことを思いつきました。結果的に時間短縮にもつながりました。

ローラーを持つせんとうくん43歳とハケを持つ中島さん


――絵柄はどのように決めるのでしょうか。
 
中島 前のとはガラッと変えることが多いです。富士山と海・湖・川のいずれかの組み合わせで決めます。
 
――風景は架空のものなのでしょうか。
 
中島 富士山だけは本物で、あとは想像です。遠近法を大切にしています。
 
――富士山を描かないことはあるのでしょうか。
 
中島 富士山は必ず描きます。兄弟子の丸山さんは描かないこともあったんですが、ボクは100%描きます。
 
――富士山に対する思いを教えてください。
 
中島 若いころ、毎週富士山を見にドライブに行っていました。富士山は毎日同じようでいて、全然違う景色を見せてくれます。
 
――銭湯絵が入浴するお客さんに与える影響は何だと思いますか。
 
中島 湯気が上がると人間は息苦しく感じますが、それを和らげる効果があると思っています。
 
――名古屋市に中島さんが銭湯絵を手がけた銭湯はありますか。
※銭湯絵は東日本、特に関東中心の文化であるため、それ以外の地域ではあまり見られない。
 
中島 ないんじゃないですか。
 
(インターネットで検索した中村区大黒湯の画像を見せる)
 
中島 ああ、サインが入ってるね(笑)。思い出しました。お城を描いたところですね。毎日のように描いてますので、なかなかひとつひとつは覚えていられません。

中島さんが手がけた作品にはサインが入ります


――中島さんが銭湯に入浴することはあるのでしょうか。
 
中島 家の近くに銭湯があるんですが、そこはボクが描いた絵があるところなんですね。自分が描いた絵を見ると「ああ、あそこをもっとこうしとけばよかったなぁ」とか気になって落ち着かないので、そこには行けないです(笑)。
 
――銭湯の好きなところはなんですか。
 
中島 やはり大きな空間でお風呂に入れるところじゃないでしょうか。
 
――絵師のやりがいを教えてください。
 
中島 仕上がった時の喜びです。
 
――完成した作品は毎回納得してますか。
 
中島 できた時は納得してるんだけど、日を改めて見ると「なんだ、この絵は」と思ってしまいます。だから(描いた絵がある)銭湯に入れないんです(笑)。
 
――絵師としての夢はなんですか。
 
中島 ほとんどのことはやってきましたから、1日でも長く続けることですね。生涯現役を目標にしています。ハケを持ったままバタッと逝けたら最高(笑)。
 
――弟子の田中みずきさんに期待することはありますか。
 
中島 まだまだだけど伝統文化の継承のために頑張ってやってくれればいいね。押しかけ女房ならぬ押しかけ弟子でやってきて、ウチで10年間やりましたからね。熱意があります。

アーティーな中島さん

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いかがでしたでしょうか。職人気質がありながらも人情味あふれる中島さんのお話を聞くことができました。御年79歳となる中島さんですが、生涯現役という目標を1日でも長く継続して、銭湯文化の象徴を担うトップランナーとして走り続けることを切に願っております。

お別れの時間


さて、華麗なる(加齢なる?)プチ復活を遂げた今回の記事も、いよいよお終いでございます。お時間を割いていただき、本当にありがとうございました。
 
これまで銭湯とあまり関わりがなかった方は、この記事をきっかけにして、お近くの銭湯へ足を運んでみてはいかがでしょうか?あまり深いことを考えずに、ふらっと行けばいいんです。銭湯に行くと「日常と非日常の間にある絶妙な空間」を楽しむことができますよ♪
 
愛知県の公衆浴場組合ホームページから、お近くの銭湯を探してみよう!
各銭湯の施設情報も満載だよ!
 
はい。それでは、お別れですね。今後もう書くことはない!と思っていますが、未来のことなんて誰もわかりませんからね。どうなるのでしょうか。わからないついでに、2025年のフジロックにラナ・デル・レイが、サマーソニックにチャーリー・XCXがヘッドライナーとしてラインナップされることを勝手に夢見て(アリ寄りの中での希望です)、失礼したいと思います。

ばいばーーい


最後になりますが、今回の記事いけてるやん!と思っていただけたなら「♥スキ」を押してください。よろしくお願いします!