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コロナ禍でさらなる苦境に陥っているひとり親の方を助けたい ~ジョイナス.ナゴヤ 名古屋市ひとり親家庭就業自立支援センター~

名古屋市広報課の小川です。広報課3年目職員ですが、今回初めてnoteに投稿します。今回ご紹介するのはジョイナス.ナゴヤ。名古屋市が運営を社会福祉法人愛知県母子寡婦福祉連合会に委託している、就業をはじめとしたひとり親家庭への支援を行う「寄り添い型就業支援機関」です。

 

私自身子育て中の身ですが、家にいる朝夕の数時間のほとんどは家事をこなしていて、平日は余裕のない日々を送っています。これを一人でこなすのは、家事だけでもどんなに大変なのだろうと思ってしまいます。周りにいるひとり親の方からは、「子供のお迎えに行ける時間が遅く、時間に余裕が全くない。疲れこんでいて子供の相手ができない」「正規の仕事を辞めたら時間に余裕はできたけど、家計が回らない…」など、さまざまなお話をお聞きします。

 

「ジョイナス.ナゴヤ」は、そんなひとり親の方々を、いったいどうやって支えているのだろうか?寄り添うのってとても大変なのでは?そんな???を持って、今回相談員の佐藤さん(仮名)にお話を伺ってきました。

 

 (ーは以下小川が発言)

―ひとり親の現状について教えてください。

 

ひとり親の母子家庭の正規雇用の割合は41.8%

佐藤さん:平成30年度に調査したひとり親家庭の就業状況では、ひとり親家庭等になる以前から就いていた仕事を継続している割合は、母子家庭では54.2%、父子家庭では72.4%。母子家庭では「収入を増やすため」、父子家庭では「勤務時間を短くするため」、転職をしている人が多くいます。また、正規雇用の割合は、母子家庭が41.8%、父子家庭が88.2%。母子家庭では特に、非正規で働く方の割合が多く、経済的にも不安定な状況で働いている人が多く見受けられます。

 

 

―コロナ禍が始まって、ひとり親を取り巻く環境はどのように変わったのでしょうか?

ひとり親家庭を襲うコロナ禍

佐藤さん:コロナが始まる前から、厳しい状況に置かれてきたひとり親家庭ですが、コロナ感染拡大による生活への影響は大きく出ています。令和3年1月に愛知県内のひとり親に行ったアンケートでは、約6割の人が「収入がなくなった・減った」、子どもの居場所については、4割弱の人が「困ったことがあった」と回答しており、コロナ禍が非正規雇用で働く多くのひとり親家庭を苦しめていることがわかります。  

愛知県母子寡婦福祉連合会会報「白ゆり」より

 

―ジョイナス.ナゴヤは、ひとり親の就業支援センターということですが、どのような方々が相談に来るのでしょうか?

名古屋市に住むひとり親の方ならどなたでも

佐藤さん:現在、求職活動中の方はもちろん、働いていても職場環境に悩んでいる方、子育てと仕事の両立に悩んでいる方、スキルアップをしたいと考えている方など、名古屋市にお住いのひとり親の方なら、どなたでも相談に来ていただいて大丈夫です。

子どもの遊び場もありますので、お子さま連れでも大歓迎です。 

キッズコーナー

  

本の貸し出しも行っているので、本当にふらっと気軽に来ていただいて大丈夫です。

求職活動に役立つ本、ビジネスマナーの本、心が癒される本などがジョイナス文庫にはあります。あなたの読みたいと思っていた本が見つかるかもしれません。

本の貸し出しコーナー

 

―ただ、経済的にも時間的にも厳しい環境に置かれている方が、いざ働こうと思っても、すぐに就職先が決まっていくということは、現実的にはなかなか難しいように思いますが、ジョイナス.ナゴヤではどのような対応をされているのでしょうか?

まずは、どんな仕事があるのか、どんな求人が出ているのかを知ってほしい

佐藤さん:これまでどうやって働いてきたかとか、家庭の状況はどうかなど、相談者のお話をしっかり伺います。相談に来る方は「自分は能力が足らない」、「知識がない」と思い込んでいたり、「自分がやってきたこと以外知らない」という方も多く、「この仕事しかできない」と決めつけてしまったり、世の中の人たちがどんな仕事をしているのか知らない方も多いです。

相談ルームでの相談風景

そんな方には、今、どんな求人があるかを知ってもらったり、講習会やセミナーへ参加を声掛けしたりしています。他の人から話を聞くと「そんな仕事もできるんだ」、「こんな仕事に就きたいな」と思えたりするんですね。そのような気付きは、相談者にとって、すごく良い手助けになると思っています。

 子育てをしながら仕事をしている、または求職活動を続けているひとり親の方は、働くにあたって時間や働き方に制約がある方が多いことから、ジョイナス.ナゴヤでは、就職先として「ひとり親家庭の仕事と子育ての両立」にご理解のある企業様に求人登録をしていただくように努めています。

時には、ピッタリの求人票がなくても、企業の採用担当者様と相談をして、求職者の条件に合う新しい求人票を提出していただくこともあります。

求職者の方と企業様とのマッチングがうまくいって、就職・転職できた時に、「ありがとう」の言葉をいただけることがジョイナス.ナゴヤにとっての大きな励ましとなっています。

 

―講習会と聞くと、心に余裕がないとなかなか参加できないと思うのですが、ひとり親世帯の方々にとってハードルの高いものではないのでしょうか?

講習会は無料です。また一部には託児付きのコースもあります。

佐藤さん:最初は「ついていけるかな。」と心配される方もいらっしゃいます。迷っている方には、「簡単なコースもあるよ」「やったほうがいいよ」と積極的に声を掛けて案内しています。

講習会は、テキスト代は必要ですが受講料は無料です。また、一部には託児付きのコースもあるので、「無料なら…」とハードルは下がっているように思います。

 

―講習内容はどういったものですか?

 講習内容は、パソコンが中心

佐藤さん:子育てと両立しやすい、土日祝日休みという希望で探すと、どうしても事務職が多くなります。事務仕事においてはもちろんですが、今は、どんな仕事でもワードやエクセルが必須なので、パソコン講習に重点を置いています。

「入門編」では、「まずはパソコンの電源を入れてみましょう」というところから始める易しい内容から「基礎編」、「実践編」とスキルアップできるように講習は用意されています。さらに、スキルアップをめざす方には、会計ソフトやホームページ作成などを学ぶコースもあります。

実際のパソコン講習会の様子

  

―この講習を受けると、実際に就職はしやすいのでしょうか?

パソコン講習を受けることで、選択肢を広げるきっかけに

佐藤さん:実際には2日間の講習で仕事をこなせるレベルになるのは難しいですが、自分の中で「パソコンはできない」と思い込んで、求人票に「パソコン操作」とあるだけで、初めから諦めていたものが、「私にもできるかもしれない」、「頑張ってこの仕事に就きたい」と応募する勇気を持つきっかけにはなっていると思います。

 

―そうするとだいぶ選択肢が広がるわけですね。

さまざまな講習会、給付金や助成制度もある
佐藤さん:「この仕事しかできない」と思っていたところから、ちょっと一旦距離を置いて、「どんな能力が必要なのか」とか、「違う職種で考えてみよう」とか、情報を知り、知識やスキルを身に付けることで選択肢が広がっていきます。

また、もちろんジョイナス.ナゴヤや愛知県母子寡婦福祉連合会以外にも、さまざまな公的機関や民間の関係機関等で、さらなるスキルアップのための講習会は開催されています(以下参照リンクあり)。

有料のものもあり、経費の負担が大変ではとお考えの方には、専門的に学ぶための給付金やひとり親の就職・転職を支援するためのさまざまな助成制度があります。ぜひお住いの区役所の窓口で相談されてはいかがでしょうか(以下参照リンクあり)。

これらの講習会や助成制度を利用することで、実際に資格を取得して、希望する就職・転職まで結びついている方も多くいらっしゃいます。

 

ひとり親向けの各種講習会

ジョイナス.ナゴヤ 就業支援講習会

愛知県母子寡婦福祉連合会 

あいちマザーズハローワーク  

ひとり親向けの各種給付金(高等職業訓練促進給付金・自立支援教育訓練給付金など)

名古屋市公式ホームページ

―パソコンのほかにも講習はあるのでしょうか?

佐藤さん:このコロナ禍で人気が高まっているのは、在宅ワークについての知識を深めてもらう「おうちで仕事を始めたい人の勉強会」です。

また、ファイナンシャルプランナーが講師となる「家族とあなたのために考えるお金の勉強会」は、必要とわかっているけど、なかなか自分一人では考えられない家計や、将来どれくらいお金がかかるのかといったライフプランを考える内容となっています。

 

―仕事面のことはよくわかりました。ほかにはメンタル面での相談とか、交流会などあるようですが…。

臨床心理士による「こころの休憩室」で心理カウンセリングが受けられる

佐藤さん:来所される方の中には、職場の人間関係の悩みや家庭やこどものことで困っていることを独りで抱えこんでいる方もみえます。そんな場合にお勧めしたいのが「こころの休憩室」です。

ジョイナス.ナゴヤの中にある、相談ルームで行っているので、病院や相談機関に行くよりも気軽にお使いいただけます。

ここでは、心療内科や学校現場などの相談機関で経験を積んできた臨床心理士が、じっくりお話をうかがい、相談される方と一緒にこころの整理をしたり、解決策を考えていったりします。もちろん秘密は守られます。

誰にも相談できないと思っていた方が、「話してもいいんだ」「話をしたい」と思うことができ、解決につながるきっかけになるのではないかなと思います。

 

年に6回程度ひとり親家庭の親同士が集まっておしゃべりしたり子育ての悩みを話し合ったりする居場所として「しゃべり場」を開催

佐藤さん:地域や学校では、ひとり親だということは言いづらいという方も多くいます。ひとり親同士の集まりでは、相手がひとり親だということもあり、やっと家庭の悩みや子供の悩みなどもが話せるという方も多くいらっしゃいます。今後もそのような場を作っていきたいです。

  

―最後にメッセージをお願いいたします。

「あなたらしく働くこと」をわたしたちと一緒に考えてみませんか?

佐藤さん:ひとり親家庭のお母さん・お父さんの仕事探しに寄り添います。仕事探しのこと、なんでもご相談ください。お母さん、お父さんがより自分らしく働けるお手伝いができればと願っています。

「あなたらしく働くこと」をわたしたちと一緒に考えてみませんか?職員一同、お待ちしています。

 

―今回お話をお聞きして、少し希望が見えた気がしました。ジョイナス.ナゴヤに相談したからといって、簡単にすぐいい仕事が見つかるわけではない。ただ、ひとりで抱え込んでパンパンになって生活している方が、ジョイナス.ナゴヤに来ることで、寄り添ってくれる人がいることを知り、小さな風穴ができて、選択肢が広がり、少しだけでも気持ちに余裕ができるのでは、と思いました。

この記事を一人でも多くのひとり親の方々に読んでいただき、生活の一助となればうれしいです。

 

 

名古屋市ひとり親家庭就業自立支援センター ジョイナス.ナゴヤ

電話での相談はこちらから ☎052-252-8824

メールでの相談はこちらから https://www.joinas-nagoya.jp/contact/

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