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未来をカタチに みんなと創る「特別市」―名古屋市は「特別市」制度の創設をめざします

名古屋市総務局企画部大都市・広域行政推進室です。
今回は、本市と指定都市市長会で実現を目指している新たな大都市制度「特別市」についてご紹介します。
 「制度」と聞くとどうしても堅苦しくて、とっつきにくい、難しいと思う方もいらっしゃるかと思います。
しかし、市民の皆様にとって本市がより暮らしやすくなる可能性を秘めたものですので、この機会に是非、「名古屋市」のあり方について一緒に考えて、一緒に実現を目指してみませんか。

「特別市」ってなに?


夜の久屋大通公園

「特別市」についてお話しする前に、まずは「大都市制度」についてお話しします。
 
本市もいわゆる「大都市」ですが、「大都市」と聞いて、皆様はどのようなイメージを持つでしょうか。
人の多さ、立ち並ぶ高層ビル、たくさんのお店、大きな駅…。このように、人や建物がたくさん集まり、街が発展しているイメージがあるのではないでしょうか。
 
それを行政視点で言い換えると、大都市は、ヒト・モノ・カネ・情報が集まる圏域における中心的な存在です。
 
例えば、名古屋市出身の人が他県の人に、「あなたはどこの出身ですか?」と聞かれた時、「愛知県です」ではなく、「名古屋です」と答える方が多いのではないでしょうか。
それくらい大都市の存在感は全国的に大きく、自分の市内だけでなく、圏域全体の発展をけん引する役割・期待が非常に大きい市です。
 
その役割を果たすため、本来都道府県が行う事務の一部を、大都市が直接行うことができる制度を「大都市制度」と言います。
 
現在の大都市制度は、愛知県内では本市のような「指定都市」、豊田市や一宮市のような「中核市」があります。その他、東京23区や、少し前に話題になった「大阪都構想」も、大都市制度の一つです。
 
このように、現状の大都市制度は都道府県が行う事務の「一部」を大都市が行うことができるものですが、それを「全部」行えるようにする、つまり市内のことは市が全て行うことができる新たな大都市制度、それが「特別市」制度です。


「特別市」のイメージ図

どうして「特別市」が必要なの?

さて、ここまでのお話しだと、大都市である本市は人が多くて発展しているし、県の事務も一部行えるので、今のままで問題ないのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際は多くの課題を抱えています。
 
例えば、日本全体で人口が減少し、高齢化が急速に進んでいるところですが、大都市においても、今後、より深刻になると言われています。
 
本市でも、総人口は令和4年11月1日現在で約233万人ですが、数年後には減少に転じ、令和42年には約211万人まで減ると予想されています。
その一方で、同じく令和42年に高齢者の人口は全体の33%となると予想され、医療や介護といった福祉サービスの需要が高まります。

さらに福祉サービス以外にも、リニア中央新幹線の開通を見据えたまちづくりを行う必要や、南海トラフ巨大地震に備えて防災の機能をより高める必要があります。
つまり、働く人の割合が減り、税収が減っていく一方で、より多くのお金が必要になるため、市の財源がどんどん圧迫されることが予想されます。
 
そもそも、このように役割が大きく、県に代わって行っている事務もある大都市は、本来その事務に見合ったお金を国などからもらうべきなのですが、その金額が足りていないのが現状です。(令和4年度予算における本市の不足額:150億円(概算))
 
これら様々な課題に対応していくため、今の仕組みの中でできることを日々行っていますが、より迅速に、かつより的確に進めていくためには、「特別市」の制度が必要だと考えています。

「特別市」になると何が変わるの?

本市が「特別市」となれば、例えば、これまで窓口が県と市に分かれていたものが市だけになるため、全て市に任せれば済むようになり、市民の皆様にとってより便利になります。また、市内の事務は県を通さずに全て市で行うことができるので、日ごろから皆様の声を一番近くで聞いている本市が、市民の皆様がやってほしいことに対し、迅速かつ的確に対応することができます。
 
お金の面では、県と市で重複している・似ている事務を市に一本化するため、事務が効率的になり、行政コストが削減されます。また、今の仕組みだと市民の皆様は市税を本市へ、県税を愛知県へ納めていただいていますが、それを全て市に納めていただくことになるため、市が市のために使えるお金が増え、より市の発展へとつながります。
 
このようにお話しすると、本市だけが発展すれば良いと考えているのか、と思われるかもしれませんが、決してそのような意図はありません。圏域の中枢である本市が県から自主・自立していくことは、周りの市町村とよりきめ細かく強く連携することができ、ひいては、冒頭の圏域全体の発展をけん引するという役割を果たすことができます。

「特別市」が実現した場合のメリット

実現に向けた名古屋市と指定都市市長会の動き

「特別市」を実現させるためには国会で法律を変える必要があります。そのため本市と、本市を含む全国20の指定都市の市長で構成される指定都市市長会は、総務省や国会議員に対して様々な機会を捉えて「特別市」の創設を訴えています。
 
まず本市では、毎年国に実現してほしい重点事項を要望書にまとめ、市長と副市長が国へ要望活動に行っており、その中には「特別市」の創設を掲げています。(今年度の要望内容について、詳細は市ウェブサイト)
 
次に指定都市市長会では、「多様な大都市制度実現プロジェクト」を立ち上げ、「特別市」を法律で定めるための具体的な法律案をまとめたうえ、提言文とともに国へ要請活動をしています。

多様な大都市制度実現プロジェクト会議の様子

さらに、指定都市が一体となって「特別市」を皆様へPRするために、共通のポスターとチラシを作りました。実は、この記事の最初に載せたものが、今回作成したポスターです。

最後に

本市では、「特別市」が創設されることで、市民の皆様にとってより住みやすいまちになると考えています。しかし、行政側の声だけではなかなか国を動かすことができないのが現状です。
 
国が本気で「特別市」創設のために取り組むには、地域を支える様々な立場の方、特に市民の皆様のご理解と応援が不可欠です。
そのために、本市はこれからも市民の皆様へ「特別市」について積極的に情報発信をしていきますので、皆様の中でも、例えば、「県と市で窓口が分かれている事務が、もし名古屋市だけになるとどう便利になるのかな?」「名古屋市のことは名古屋市がすべて担うことで、身の回りの生活にどんな変化があるかな?」といったことなど、まずは率直な疑問について身近な方と話し合ってみていただければと思います。
そもそも、普段の生活で国・愛知県・名古屋市の事務の違いを意識することは少ないかもしれません。まず、名古屋市が窓口になっていない仕事は何かを考えてみるだけでも、今回のお話しについて考えるきっかけになるかもしれませんね。
 
この記事を読んでいただいた皆様が、「名古屋市」のこれからの姿について積極的に考えていただけたら、私たちもうれしく思います。

みんなにも読んでほしいですか?

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