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Book Mobile(ブックモービル)サミットへようこそ!

こんにちは!鶴舞中央図書館の中谷です。今回は、10月29日(日曜日)に鶴舞公園で開催する「Book Mobile(ブックモービル)サミット」を紹介します。

名古屋市図書館は、大正12年(1923年)10月1日に市立名古屋図書館として開館し、今年で100周年を迎えました。初代館長の阪谷俊作(さかたにしゅんさく)は、明治の実業家・渋沢栄一氏の孫にあたる方で、「出来る丈専門的なのを排して、全般的に図書を増加する心算(つもり)です」と当時の『名古屋新聞』に語っています。専門的な本ばかりではなく、楽しみのための本や実用書などを幅広く集め、市民に親しまれる図書館を目指しました。

初代館長 阪谷俊作

開館当初は館内閲覧のみでしたが、大正14年(1925年)からは館外貸出も始まりました。大正14年(1925年)には財団法人名古屋公衆図書館ができ、その後、昭和14年(1929年)に名古屋市に移管されて市立名古屋公衆図書館となりました(後の西図書館)。昭和20年(1945年)3月19日の名古屋大空襲で市立名古屋図書館本館と書庫の一部が焼失し、多くの資料が失われましたが、同年8月には、館外貸出のみ再開しました。建物を再建し、昭和27年(1952年)に名古屋市鶴舞図書館として再スタートします。戦後は、1区1館を基本に順番に分館ができ、現在では、21館と自動車図書館でサービスを行っています。

開館当時の市立名古屋図書館(場所は現在の鶴舞中央図書館と同じ)
市立名古屋図書館普通閲覧室

Book Mobile(ブックモービル)って何?

Book Mobileとは「自動車図書館」のことで、図書館から離れた地域にお住まいの方へ本を届けるサービスです。全国的には、「移動図書館」という呼び方が多いですが、名古屋市では「自動車図書館」を正式名称としています。
ここで、名古屋市の自動車図書館の歴史をひも解いてみましょう。
当時、名古屋市内の大きな図書館は、市立名古屋図書館と名古屋公衆図書館(設立当初は財団法人、昭和14年(1929年)に名古屋市に移管)の2つでした。
そこで、多くの市民が本に触れることができるように、市立名古屋図書館では、青年巡回文庫、教員文庫など、対象に合わせて本の入った箱を届けるサービスを行っていました。
戦後の昭和20年代には、読書週間の行事として、市内の小・中学校や施設へ本を届けたこともあります。

昭和31年に市内74カ所をめぐる巡回文庫を開始したのが、現在の自動車図書館の始まりです。現在は、なごや号とみなみ号の2台で市内118カ所に、1カ月半に1回程度巡回しています。本や雑誌を8冊、CDを3点、紙芝居を4組、次の巡回日まで借りられます。
遠くまで足をのばすのが難しいシニアの方や、赤ちゃん連れの親子などに「近所まで図書館が来てくれるのはありがたい」と喜ばれています。

自動車図書館は、青空のもと、開放的な雰囲気で本を選べるのが一番の特徴です。おしゃべりOKですし、のんびり散歩がてら巡回駐車場まで30分かけて歩いてくる方や、本を借りたあと公園のベンチで絵本を読んでいく親子もいます。

浦里公園
横井公園
建中寺公園

ご近所同士で「元気だった?」「この本おもしろかったわよ!」と情報交換したり、ベビーカーの親子に「1カ月半見ないうちに大きくなったね」と世代間で交流したりする風景は、自動車図書館ならではです。
職員に親しみを持ってくださる方も多く、「カレー食べていく?」などびっくりするようなお申し出をいただくこともありました!(お気持ちだけいただきました。)

自動車図書館ガイドマップはこちら

「なごや号」と「みなみ号」のあゆみ

「なごや号」

こちらが「なごや号」です。現在運行している車両は、平成18年にやってきました。「なごや1号」としては4代目。「なごや号」は複数台あった時代があり、台数としては10台目です。

「なごや5号」と2代目の「なごや1・2・3号」(4号はありません)

2代目の「なごや3号」は廃車後にラオスへ贈られて、現地の読書活動に貢献しました。※イラストはラオス行きの前に描かれました。

2代目の「なごや3号」

3代目「なごや1号」は愛称「コアラ号」、3代目「なごや2号」は愛称「ちびすけ号」(絵本作家 五味太郎氏の許諾を得ています)として親しまれました。

「コアラ号」
「ちびすけ号」
「みなみ号」

こちらが「みなみ号」です。
「なごや号」と「みなみ号」とで最も違うのは大きさです。幅は212cmと同じですが、長さが「なごや号」は627cm、「みなみ号」は699cmです。このため車両に積載できる冊数は「なごや号」は2,800冊、「みなみ号」は3,500冊となっています。「なごや号」は小回りが利くため、細い道を通らなければならないところや出入り口の狭い公園の巡回に活躍しています。

一方、「みなみ号」は車両が大きく、たくさんの本を積んでいけるため、利用の多い駐車場(一番多いところは2時間で約90人が利用されます)を中心に巡回しています。
来年度、新たな小型車両が導入されるため、「なごや号」「みなみ号」ともに引退の予定です。

オリジナリティあふれる各地の移動図書館

全国各地にはオリジナリティあふれる移動図書館が存在していますが、今回はBook Mobileサミットに参加する移動図書館を紹介します。名古屋市からは、(株)図書館流通センターの「もりやま・みどりとしょかん車」がBook Mobileサミットでデビューします。ヨシタケシンスケさんデザインの軽自動車で、明るく元気に地域を周ります。

「もりやま・みどりとしょかん車」

各務原市は、約3500冊を積載できる大型移動図書館です。近江八幡市は、絵本400冊を積んで就学前施設を回る移動図書館で、今年4月に導入されたばかり!

各務原市「さつき号」
近江八幡市「はちっこぶっく号ミニ」

そして、なんと、鹿児島県指宿市からも移動図書館がフェリーに乗ってやってきます。このブックカフェ号「そらまMEN」は平成27年(2015年)にクラウドファンディングを活用して導入した移動図書館です。

指宿市「そらまMEN」
指宿市「そらまMEN」

また、横浜市から、公園や駅前、野外イベントなどの行く先々に合わせて、その都度品揃えや形態が変わるフレキシブルな移動式本屋BOOK TRUCKがやってきます。最近は “小説を音楽にするユニット”YOASOBIとコラボした「旅する本屋さん YOASOBI号」プロジェクトで人気を集めています。

横浜市「BOOK TRUCK」

各地の移動図書館が見られるBook Mobile(ブックモービル)サミットにぜひお越しください!

Book Mobile(ブックモービル)サミットには、各地から移動図書館や移動式本屋が集まります。デジタル化が急速に進む中、動画配信サービスやSNSなど新しい娯楽が普及し、またスマートフォンで電子書籍を読めるようになるなど、読書をめぐるさまざまな変化が起きています。
そこで、今回のサミットでは、モノとしての「本」を届ける移動図書館・移動式本屋のこれまでを振り返り、今後の役割について考えます。基調講演やパネルディスカッションの中で、移動図書館・移動式本屋の活動を皆さんに知ってもらい、さらに新しい形の活動が生まれるようなサミットにしたいと考えています。そして、このサミットをきっかけに、名古屋市の自動車図書館もより多くの皆さんにとって意味のある楽しい存在になれるようにしていきたいです。

Book Mobile(ブックモービル)サミット
日時:令和5年10月29日(日)午前10:00~午後3:00
場所:鶴舞公園、鶴舞中央図書館
詳しくはこちらから

また、自分だけの本棚「一箱本棚」を作るワークショップを10月28日(土)午前10時30分から鶴舞中央図書館で開催します。
一箱本棚とは、自分だけの本棚におすすめの本や推しグッズなどを並べ、その思いを知ってもらう本棚です。自分の世界を紹介することで、本を通じたコミュニケーションの場が生まれます。名古屋市内では、南区に一箱本棚オーナー制図書館「かさでら図書館」があります。

作った本棚は、翌日のサミット会場で展示します。参加者の世界観があふれる本棚を見てみてくださいね。

かさでら図書館

広報なごや10月号「#なごやを歩こう 笠寺エリア編」でも紹介しているので、ぜひご覧ください!
広報なごや10月号はこちらから
#なごやを歩こう 笠寺エリア編の職員レポートはこちらから

最後に

名古屋では見ることができない移動図書館や移動式本屋が集まるBook Mobile(ブックモービル)サミットにぜひお越しください。職員一同お待ちしています!

名古屋市図書館100周年フォトコンテスト

名古屋市図書館では、100周年を記念してフォトコンテストを開催しています。Book Mobile(ブックモービル)サミットで撮影した写真を投稿してもOK!優秀作品には賞品もあります。こちらにもぜひご参加ください。
募集期間:令和5年10月31日まで
応募はインスタグラムLoGoフォームから