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「みなさまの命と暮らしを守る救急車 年々増える出勤」について取材しました

災害や事故、病気から市民の「命と生活」を守る上で、市民の「万が一」に対応する「救急出動」はなくてはならないものです。
しかしながら、高齢化や緊急ではない時の救急車の利用などによって、年々救急車の需要が高まっています。ここ数年では新型コロナウイルス感染症の流行も救急車の現場到着が遅れる一因となっています。

こうした背景から、「救急車の適正利用の普及」が全国的な課題となっています。では、そもそも119番とはどんな仕組みなのか。名古屋市の救急隊はどんな状況なのか。救急業務を担う名古屋市消防局を取材しました。

■緊迫の出動


「救急指令!救急指令!」

9月某日午前9時51分、名古屋市中川区の中川消防署内のスピーカーからの無線。一報と同時に、一斉に隊員が駆け足で救急車へ向かい、サイレンを鳴らして現場へ急行しました。

向かった先は、運転手が一時的に意識を失ったことによる自動車の単独事故現場でした。隊員は速やかに負傷程度などを確認。症状に応じて、受け入れ可能な病院を探し、素早く搬送を終えました。

搬送にあたった中川消防署の竹内泰弘消防司令補は、「私たちは、傷病者の症状に応じた治療を受けられる医療機関に一刻も早く搬送することが任務。無事に搬送できてよかった。これからも少しでも早く医療機関で治療を受けられるよう取り組んでいきたい」と話していました。

②モザイク1

■119番の仕組み


市民の「命」を預かる救急隊。

今回の搬送では、皆さんもご存じの「119番」通報からの出動でした。名古屋市で119番の通報をすると、「防災指令センター」につながります。

防災指令センターでは、通報を受けたオペレーターが必要な情報を聞き、出動できる一番近い消防署や出張所に出動指令を出します。

一般の方がイメージするのは、「電話」での通報ですが、聴覚障害や言語障害がある方でも通報できるよう、スマホの画面上でのボタン操作や文字入力で簡単に通報できる「Net119緊急通報システム」も完備しています。

Net119スマホ画面

また、外国の方でも通報できるよう、名古屋市では、通報者が通訳事業者と防災指令センターのオペレーターと同時に通話できる三者間同時通訳を導入しており、英語、中国語、韓国語(朝鮮語)、ポルトガル語、スペイン語に24時間365日対応しています。

Net119緊急通報システムについてはこちら
119番通報受付時等に係る多言語通訳体制について


■119番、どれくらい時間かかるの?


「救急車はすぐ来てくれる」という印象は強いものの、実際どれくらい時間がかかるのか。名古屋市のデータ(令和2年)から確認しました。

通報を受け、指令を出すまでは約1分で、救急隊が現場へ到着するのはその約6分後。つまり、通報から救急隊が現場へ到着するのは約7分です。現場での確認、処置、病院への連絡などは約15・7分。その後、病院への搬送は、約8・7分。

通報から病院への搬送完了までは、約31・4分となっています。

総務省の「令和2年版 救急・救助の現況」によると、全国平均(令和元年)は、救急隊が通報から現場へ到着するまでの時間は約8・7分で、通報から病院への搬送完了までは約39・5分。

名古屋市では全国平均より早く現場へ到着し搬送を行えています。

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■情報の司令塔

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119番通報をまず受け、実に約1分で現場から直近の部隊に指令を送る「防災指令センター」は市役所内にあります。

「命」を預かる現場で、緊張感がある中、隊員が119番通報にすぐ対応できるようヘッドセットをつけ、詳細な地図などが表示されるパソコンの前で常時待機しています。

防災指令センターで一際目立つのが大型の液晶画面です。画面には、通報が入ると通報時間、場所、通報内容の種類などが表示されます。通報を受け取った職員が通報者から聞き取り、手元のペンパネルにメモした症状などの情報も表示され、搬送が終わると画面が切り替わり、常に新しい通報に対応できるようになっています。

■約4分30秒に1回


大画面には常時、稼働率が表示されています。この日に見た稼働率は53・5%。名古屋市内の救急隊全45隊のうち、半数以上が活動している状況で、多い時には80%を超えることがあるといいます。

市内の出動件数(令和2年)は年間、11万8402件、1日あたりでは、324件あり、救急車が出動する間隔を時間単位にすると約4分30秒に1回となっています。

グラフ②


■抱える課題


令和2年の出動件数のうち、出動対応後、結果的に不搬送となったのは、1万3387件(11・3%)でした。高齢化や、令和元年と令和2年にはコロナによる影響もあり、年々増加していた出動件数は減少に転じましたが、現在も依然として多い状況にあります。不要不急な救急要請は一刻を争う重症病者のもとへの速やかな到着や搬送を妨げる恐れがあり、一分一秒を争う重症病者には深刻な事態となっています。

全国的に救急車を適切に利用してもらうことが課題となっており、名古屋市ではマンガや動画を使って救急車を適切に利用してもらう取り組みをしています。

▼マンガ&動画「救急車の適正利用」ページリンク


■お知らせ

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実際に、いざ自分の目の前で大切な方が倒れたり、けがをしたりした状況を目にしては、冷静ではいられません。絶対に通報した方がいいのはどんな場合か。通報しなくていいのはどんなときか。119番以外の方法はどんなものがあるかなど、いろんな疑問があるかと思います。

その疑問にお答えし、正しく救急車を利用してもらうため、名古屋市では「名古屋の救急車99時間」と題し、広報テレビ番組を制作し、11月7日、12月11日に東海テレビで放送しました。

番組では、名古屋市消防局の救急隊に密着した映像を通して、タレント・大久保佳代子さん(オアシズ)や大島美幸さん(森三中)、川村エミコさん(たんぽぽ)と一緒に正しい救急車の利用の仕方を考える番組です。
令和3年12月より、全編のYouTube公開を始めました。

またテレビ放送についても、再放送がございます。
令和4年1月21日(金曜日)午前0時25分~午前1時25分。
令和4年2月15日(火曜日)午前1時25分~午前2時25分。

ぜひ、ご覧ください。


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