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誰もが住みやすい街なごやへ ~里親家庭で育つ方の声を聴きました~

広報なごや2月号では里親家庭で育った方の声を紹介しています。紙面のスペース上、お話し頂いた内容のすべてを掲載することはできなかったので、本記事で全文を掲載いたします。

里親制度とは、保護者のいない子どもや保護者に監護させることが適当ではない子どもの養育を、里親として登録された方にお願いする公的な制度です。

鈴木 沙織さん(仮名)
小学校に上がるころ、児童養護施設から里親宅へ行き、現在まで里親家庭で過ごす。現在大学1年生で、学生生活の傍ら里親会に参加して里子や養子交流会の企画等を行っている。

(-は以下名古屋市職員が発言)

―今の里親さん宅に行ったのはいつ頃のことでしたか。

鈴木さん:施設から今の家に来たのは小学1年生の時ですが、それ以前にも時々遊びに行っていました。

正式に施設から今の家に行く日のことは、急に荷物をまとめて車に乗って行ったという感じで、あまり詳しくは覚えていません。当時いた施設では出ていく子をみんなで並んで見送りをしていたのですが、その日はみんなが私に向かって手を振っていて、それを見て初めて施設を出ていくんだと実感したのを覚えています。

その時の心境としては、新しい場所での生活が不安でした。母によると、来た当時はずっと部屋の隅に居たそうです。

―里親さん宅に来て間もない頃のことで、印象に残っていることはありますか。

鈴木さん:小学校の登校の時のことですね。分団登校だったのですが、母が家からすぐ近くの分団の集合場所までついて来てくれました。姉(里親の実子)が起きるのが遅かったので、身支度のついでに毎朝見送りに来ていて、照れ臭かったです。

学校行事もよく見に来ていました。母は席の近くまで来てしゃべりかけてきたり、写真撮っていい?と聞いてきたりしていましたね。他の子の親は後ろで見ていたので、あれは恥ずかしかったです。

―仲のいい親子ですね。普段から会話が多いのでしょうか。

鈴木さん:今でも母とは喋ってない時間がないくらい、一日中ずっと喋っています。母がテレビを見ていても構わず話しかけるので、たまにうるさいと言われるほどです。アルバイトが忙しくなる前は週末に一緒に買い物に出掛けたりもしていたので、仲は良いと思います。

また、姉は遠方で一人暮らしをしていますが、今でも仲が良く、よく電話をしたりします。

広報なごや令和3年10月号でも里親制度について紹介しています。
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―里子さん同士のつながりはあったりしますか。

鈴木さん:里親会「こどもピース」代表理事の奥田さんと一緒に、里子や養子の交流会を始めたので、そこで5人くらい里子の知り合いができました。父が里親会の役員をやっているので、そのつながりで会のリーダーをやることになったんです。

今のところ私が一番年上で、中学生の子もいます。まだリモートで1回開催しただけなので自己紹介くらいしかできていませんが、おしゃべりするのは楽しいので、これからいろんな話ができればと思っています。

―里親制度にまつわることで、鈴木さん自身が気を遣ったり気にしたりしていることはありますか。

鈴木さん:やっぱりお金に関することは気になります。これまで育ててもらう中で、いろいろとお金を出してもらっているのが気になっていて、できるだけ両親に金銭的負担をかけたくないと思っているんです。

だから児童相談所の職員さんが来て、「こういうことだったら市からお金が出るよ」と教えてもらえるとすごく気持ちが楽になります。特に学費のことは、それまでは私立大学はお金がかかりすぎるからやめておこうと思っていたので、すごく助かりました。

こういう里親家庭への補助金などの制度について、もっと早くに詳しく知る機会があればいいのにと思いました。高校生になると進学するか就職するかなど、いろいろと決断しなくてはいけないことも多いですし、どういったことなら市から補助が出るのか事前にわかっていれば、選択肢が広がって将来のプランも立てやすくなると思います。


里親制度のことについて、自分ではあまり詳しく知らないんです。私が里親制度について調べているのを両親が見たら、「里親が嫌なのかな」とか心配したりするかなと思って、あまり調べられないでいます。両親も私のことを思ってだと思いますが、里親制度にまつわる手続きや書類のことなどは、あまり説明しません。それでもやっぱり自分に関係することだし、詳しく教えてほしいと思いました。

―里親家庭のことを、まだまだ身近に感じられない方もいらっしゃるかと思います。里親家庭のことをよく知らない人との間に、無理解を感じることはありますか。

鈴木さん:高校の頃までは、私と親の苗字が違うことにクラスメイトが戸惑うことはありました。親に書いてもらう書類を学校に持っていくときなど、書類の書き方が合っているか他の子と見せ合ったりしていたんです。その時に「あれっ苗字違うんだ」って。子どもの頃のことや家族について考えてみる授業の時にも、同じような反応をされました。

親が違うってことを説明するのは、別に嫌ではないんですけど、聞いた相手の反応が気になりました。「悪いこと聞いちゃってごめんね」と、変に気を使われるのが居心地が悪かったことを覚えています。私たちは普通の円満な家族なので、別に悲しいことじゃないし、大丈夫だよって言うんですけどね。

大学に行ってからは、周りにひとり親家庭などのいろんな事情がある子も多いので、両親が里親だと話しても、フラットに反応してくれて、変に気を遣われたりしないのですごく楽です。里親家庭を特別なものだと思わず、気楽に接してもらえると嬉しいです。



名古屋市ではすべての子どもたちの最善の利益の保証を目指し、家庭養育を推進しています。

里親について知る

【里親制度休日相談窓口】
■概要
 里親制度について相談ができる窓口を休日に開設しています。
 年4回程度実施。要予約。
■直近の開設日時・開催場所
 名古屋市公式ウェブサイトをご覧ください

【里親制度説明&体験談を聞く会】
■概要
 里親制度についての説明と、里親さんの体験談を聞くことができます。
 年5回程度実施。
■直近の開催日時・開催場所
 名古屋市公式ウェブサイトをご覧ください

名古屋市公式ウェブサイトの関連ページもご覧ください。
https://www.city.nagoya.jp/kurashi/category/8-14-4-8-0-0-0-0-0-0.html

里親制度について興味のある方はお問い合わせください

■千種・東・北・中・昭和・守山・名東区にお住まいの方
 中央児童相談所 ☎052-757-6111

■西・中村・熱田・中川・港区にお住まいの方
 西部児童相談所 ☎052-365-3231

■瑞穂・南・緑・天白区にお住まいの方
 東部児童相談所 ☎052-899-4630


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