星空を見上げてみよう プラネタリウム100周年
広報課の太田です。今回は、名古屋市科学館で10月22日(日曜日)まで開催中の企画展「プラネタリウム100周年」を紹介します。
※企画展は終了いたしました。
市科学館のシンボルマークとも言える球形の建物。土曜日・日曜日には、昼過ぎにチケットが売り切れてしまうこともあるほど大人気!
なんと、取材に伺った際にも既に売り切れていました。
皆さんにはお馴染みのプラネタリウムですが、ドイツで最初の試験投影がされてから令和5年10月で100周年を迎えます。それを記念した今回の企画展では、プラネタリウムが発明された過去からプラネタリウムの現在から未来までをたどることができます。
現在、日本には約300のプラネタリウム施設があります。日本は、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位のプラネタリウム大国。その中の1つが、市科学館のプラネタリウムです。
出典はこちら
地図の中の日本が見えなくなるほど、びっしりとピンが立っています。
す、すごい密度・・・!
現在では身近な存在となっているプラネタリウムですが、
どのように誕生し、広がっていったのでしょうか。
それでは、企画展「プラネタリウム100周年」を見ていきましょう!
プラネタリウムの歴史と技術をたどる!
企画展はプラネタリウムのある天文館の5階で開催中です。
展示室の入り口前にはプラネタリウムのこれまでの歩みをパネルで紹介しています。
プラネタリウムは、100年前のドイツで生まれました。世界最初のプラネタリウムは、ドイツ博物館の依頼のもと作られたカール・ツァイス社製「ツァイスⅠ型プラネタリウム」です。
初めて公開されたのは1923年のこと。当時の人々は、「明るい時間帯に星を見ることができるなんて!」と、とても驚いたそうです。1925年に一般市民向けに公開された後、人気を博して瞬く間に広まってきました。
そして、日本にプラネタリウムがやってきたのは1937年のこと。最初のプラネタリウムは大阪市立電気科学館に設置されました。
名古屋市科学館にもプラネタリウムがやってきた!
市科学館は名古屋市政70周年記念事業として1962年11月に開館し、当時は「天文館」と呼ばれていました。その名のとおり、天文分野にスポットを当てた施設で、開館当初からプラネタリウムを見ることができました。導入されたのは、カール・ツァイス社製「ツァイスⅣ型プラネタリウム」です。
星の位置に正確に穴を開けた板に光を当て、そこを通り抜けた光を星として映します。明るい1等星クラスの星は板の穴をやや大きめにして、大きな星像として表現します。
「ツァイスⅣ型プラネタリウム」は既に引退しているのですが、
市科学館にて動く状態で展示されており、間近で眺めたり操作部分を見たりできます。
機械好きにはたまらない!?コントロール部分
「ツァイスⅣ型プラネタリウム」はアナログ操作のプラネタリウムです。
そのコントロール部分には、つまみがたくさんあります。
先ほど触れましたが、こちらはカール・ツァイス社製。ということは、ドイツ製です。コントロール部分をよく見てみるとドイツ語表記で、私には全く読めませんでした。
ちなみに、Sonneは太陽、Mondは月という意味だそうです。
プラネタリウムが作れるかも!?図面初公開
なんと、今回の企画展では、「ツァイスⅣ型プラネタリウム」の図面を初めて公開しています。
しかも、こちらは原本なんです。
これを見ればプラネタリウムを作ることができるのでは!?と思ったのですが、そんなに甘くはありませんでした。
カール・ツァイス社は、「図面を公開しても誰もコピーを作ることができないだろう」という圧倒的な自信から公開を許可したそうです。
非常に細かい設計図ですが、図面に表れないノウハウがたくさんあるそうです。私には何も読み解けません。
「ツァイスⅣ型プラネタリウム」は、開館当初から48年間メンテナンスを続けながら活用していましたが2010年8月に引退。その後、市科学館のリニューアル改装に伴い、2011年3月からは「ユニバーサリウムⅨ型」で投影するようになりました。
輝く星空が見える ユニバーサリウムⅨ型プラネタリウム
見出しで少しネタバレしてしまいましたが、より輝く星空を見ることができるようになりました。その理由は、「光ファイバー」・「LED光源」の利用です。
「ツァイスⅣ型プラネタリウム」は星の明るさを、点の大きさで表現していたのですが、光ファイバーの導入で、キラッと輝く鋭い点像の星を表現できるようになりました。また、LED光源の導入により、星の色が本当の色に近づいたんです。
企画展では、2台の投影機を使って実際に投影しており、
その違いを見比べることができます。
写真中央にある縦に3つ並んでいる星を見比べてみてください。
2台の投影機で、同じ星を投影しています。
右側(「ツァイスⅣ型プラネタリウム」)は、大きい光なのですがぼやっとした印象を受け、左側(「ユニバーサリウムⅨ型プラネタリウム」)はキラキラと輝くように光っています。
写真では少しわかりづらいのですが、実際に見るとはっきりと違いがわかります。ぜひ、実際に見て確かめてください!
企画展では、「ユニバーサリウムⅨ型プラネタリウム」の顔はめパネルも登場しています!とてもユニークな写真が撮れるので、ぜひお楽しみください!
プラネタリウムの未来
皆さんは、デジタル式プラネタリウムをご存じですか?
プラネタリウムの機能はどんどん高機能化し、今や地上から見上げる星空だけでなくなっています。デジタル式プラネタリウムは、ドームのスクリーンにプロジェクターでダイナミックな映像を映し出すものです。
デジタル式プラネタリウムでは、コンピューターグラフィックスを使って宇宙空間からさまざまな視点でみた天体や天文現象を体験できるようになっています。市科学館はプラネタリウムとデジタル式プラネタリウムを両方使用したハイブリッド式です。
企画展では、簡易ドームを設置しています。ここでは、市科学館プラネタリウムのプロジェクターの設置数や設置箇所など、デジタル式プラネタリウムの仕組みを紹介しているので、ファンは必見の展示です。
他にも、「自発光プラネタリウム」というものもあります。
現在のプラネタリウムはドームのスクリーンに光を当てているのですが、
「自発光プラネタリウム」は、ドーム自体を光らせるという仕組みだそうです。
色彩豊かで鮮やかな映像が見られるそうで、とても気になります。
「ツァイスⅣ型プラネタリウム」シミュレーター
※土曜日・日曜日のみ開催
企画展期間中の土曜日・日曜日は、シミュレーターの制作者が来られて、制作されたコンソールを使って「ツァイスⅣ型プラネタリウム」の操作を疑似的に体験できます。
コントロール部分は、本物同様にドイツ語表記!右も左もわからないまましぼりを回してみると、画面に映された星空が動きます。
実際のプラネタリウムを操作しているみたいで、おもしろい!
ぜひ、プラネタリウムの解説者になりきってみてくださいね。
土曜日・日曜日以外の日はスイッチが置かれていて、スイッチを押すと様々な機能を見られるデモモードが流れるようになっています。
星グッズも販売中!
1階のミュージアムショップでは、星や宇宙にちなんだグッズを販売しています。
おすすめはこちら!
企画展「プラネタリウム100周年」記念ガチャです。
数量限定ですので、気になった方はお早めにお越しくださいね。
最後に
市科学館学芸員の稲垣さんに、今回の企画展を通して来場者の皆さんにお伝えしたいことをお伺いしました。
稲垣さん「これから先、さらに技術は進歩するでしょうが、本物の星空に勝るものが無いという考えは変わりません。プラネタリウムはあくまでも、来場者と本当の星空をつなぐきっかけになるものだと思っています。
プラネタリウムは星空を作ることができますが、その星空を見て終わりではなく、プラネタリウムをきっかけに来場者が本当の空とつながることを目標としています。天体や天文現象のなにか1つにでも興味関心を持ってもらい、それを実際の空で見上げたくなっていただきたいです。」
人々は星に思い焦がれ、プラネタリウムという壮大な機械を発明しました。
そして今もなお、プラネタリウムは人々に愛され親しまれています。
あなたも今晩は星空を見上げてみてはいかがでしょうか?
名古屋市科学館 企画展「プラネタリウム100周年」
※企画展は終了いたしました。
日時:10/22(日)までの開館日、午前9:30~午後5:00(入館は午後4:30まで)
休館日(期間中):月曜日(ただし10/9は開館)、10/10(火)、10/20(金)
料金:市科学館入館料必要
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