なごやのチカラ/保育士のお仕事をクローズアップ~広報なごや10月号~
広報課の鈴木です。今回の広報なごやシリーズ「なごやのチカラ」にご協力いただいたのは、名城保育園で勤務する梅山 廣海(うめやま ひろうみ)先生。日々の保育についての様子や子どもたちに対する想い、子育て中である鈴木の疑問など、たくさんのお話を伺いました。
(以下―は鈴木が発言、回答は梅山先生)
―保育士になられたきっかけは何だったのですか。
高校時代に、たまたま近所の保育園で働く男性保育士の姿を見たんです。元々子どもが好きで、体を動かすことも好きだったので、保育士という仕事に興味を持ちました。
―偶然目にした光景がきっかけで保育士になられたわけですが、男性保育士として苦労されることはありましたか。
ありがたいことに周りの方々に恵まれ、人間関係で悩むことはこれまでありませんでした。ただ、今思い返すと、当時は着替える場所に苦労しましたね。今は少しずつ男性保育士が増えてきて、カーテンレールを付けてもらうなど、環境を整えてもらっています。本当にそれくらいで、他の保育士にも気を遣っていただき、安心して仕事に励めています。
―私は2人の子どもがいて、2人の子育てでも大変だと日々嘆いていますが、先生は多くの子どもたちを預かっていらっしゃいます。日頃、どのようなことを心掛けているのでしょうか。
毎分毎秒、すべての子どもたちに目を行き届かせるのはとても難しいことです。そこで、「子どもがどうしたら集中できるかな。おもちゃをここに配置したら楽しめるかな」といつも考えて、子どもたちが主体的に遊んでくれる環境作りを心掛けています。
あとは、常に”自分(保育士) 対 子ども”ではなく、子ども同士のつながりを助けてあげるように行動しています。一人一人に個性があり、得意・不得意があります。例えば、輪の中に入っていくのが苦手な子を、みんなでおままごとをしているところに連れていって一緒に遊ぶなど、子どもが人との関わりを楽しめるように、必要な時に仲立ちしています。やっぱり、保育園に来て友だちと遊ぶのは楽しいことだと思ってもらいたいので。
―子ども同士のけんかが起こったりすると大変ですよね。
けがをしそうな時は別ですが、けんかをすぐに止めに入ったりはしていません。「危険でなければけんかさせておこうかな」くらいに思っています。「これをしたら相手が嫌な気持ちになるんだな」など、子どもが成長していくためには、相手の気持ちを理解することも必要だと考えているからです。
少し様子を見て、最後にそっと「一緒に謝りにいこうか」「さっきは自分から謝れてえらかったね」と、言葉がけをしてフォローするように心掛けています。
―コロナ禍になり、先生方も感染防止対策の対応に追われるなど、さまざまな変化があったと思います。子どもたちの様子にも何か変化はありましたか。
行事がなくなったり、人数の制限があるなど、子どもたちが我慢している様子をそばで見てきました。
そんな中で、子どもたちの笑顔を少しでも増やしたいと思い、近くの公園でも十分に楽しめるクイズラリーを手作りで考えたんです。少人数で自由に散策できる企画にしたことで、子どもたちもとても喜んでくれました。自由に移動できる分、保育士の人員は多く必要でしたが、周りにも協力いただいて子どもたちにも楽しんでもらえたので、私自身もうれしかったです。
これからも、子どもたちの喜ぶ姿を思い浮かべながら、日頃の保育や行事の準備に試行錯誤していきたいと思っています。
―子どもたちの保育だけでなく、行事や日々の工作の準備などにも時間がかかるのではないでしょうか。
例えば10月末に予定している運動会は、8月あたりから構想を練り始めていますね。工作の準備も保育時間が終わった後や子どものお昼寝の時間などの隙間時間を見つけて、手を動かしています。それでも間に合わない時もあるので、会計年度任用職員として来てくださっている保育士の方に助けていただいて準備しています。
―保育士の仕事と聞くと、保護者とのつながりも重要な仕事の1つになるかと思いますが、何か工夫されていることはありますか。
保護者の方が安心して子どもを預けていただけるように、子どもの成長や日々の様子をこまめにお伝えしたいと考えています。その1つに、保護者とのコミュニケーションのツールとして、いつもおたより帳を書いています。ただ、文章だけだったり、限られた時間の中でなかなかこまめに書けなかったりするので、もどかしさも感じていました。
そこで、なるべく多くの家庭に保育園での様子を伝えたいと思い、スケッチブックに活動の様子をまとめてお知らせするといった工夫をしています。
―先生のお話を伺い、本当に子どもや保護者のことを大切に思ってくださっているのだなと感じました。大変なことももちろんあると思いますが、保育士という仕事のやりがいはどういった時に感じますか。
ある年の卒園式で、担任をしていた子が門を出てからもう一度私のところに戻って来てくれたんです。「先生、今までありがとう」と、涙を流しながら伝えてくれました。「その子にとって、楽しい時間を一緒に過ごせていたんだな」と感じることができ、とてもうれしかったですし、「保育士って良い仕事だな」と思えた瞬間でした。
―最後になりますが、子育て家庭の方にメッセージをお願いします。
「子どもに怒りすぎちゃって…」という話を保護者からお聞きすることがあります。私も2児の父親なので、疲れていると家庭ではイライラしてしまったり、きつく当たってしまうこともあります。その後に「さっきはごめんね」と、きちんと謝る時間があれば良いのではないかなと思います。
子育ても保育も大変なことはたくさんありますが、楽しいこともいっぱいあります。つらいときはつらい、楽しい時は楽しいと声に出して、無理なく過ごしていきましょう!
取材の最後に、橋本園長先生にもお話を伺いました。
―梅山先生はどんな先生ですか。
梅山先生は、子どもとコミュニケーションをとりながら遊ぶことが、とても上手な先生です。園庭遊びでは、自分のクラスの子どもたちだけでなく、いろいろな集団遊びを繰り広げていき、いつのまにか大所帯で遊んでいます。
トラブルがあった時も子どもの気持ちを瞬時にくみ取り、子どもと心を通わせてコミュニケーションをとっています。
だから、梅山先生は子どもたちから好かれているのだと思います。
<終わりに…>
今回、取材・撮影をさせていただきましたが、子どもたちのために園内を駆けまわる梅山先生の姿が印象に残っています。子どもたちの成長を一番に考える優しい目、子どもたちの安全を守る厳しい目。保育士の先生方の優しさと厳しさがあって、子どもたちがすくすくと育っていけるのだと思いました。
子を持つ親として、改めて感謝の気持ちを抱くとともに、保育士の先生方は大切な「なごやのチカラ」だと感じました。