見出し画像

介護のことをもっと知ってほしい!11月11日は「介護の日」

皆さんこんにちは!健康福祉局介護保険課の矢澤です。

突然ですが、毎年11月11日が「介護の日」だということをご存じですか?この日は、「ポッキー&プリッツの日」「チンアナゴの日」など、様々な記念日とされていますが、実は介護の日でもあるんです。

私たち介護保険課は、介護保険制度に関する業務のほか、介護に関する普及啓発活動も行っており、毎年「介護の日」前後には、介護についてもっと知っていただく機会をつくろうと、「なごや介護の日フェア」と題してイベントを開催しています。昨年もヒサヤオオドオリパークで開催し、たくさんの人にお越しいただいて大変盛り上がりました。

この「なごや介護の日フェア」は、介護の現在の取組みや、介護という仕事の魅力を発信する目的で開催しているので、私たち介護保険課の職員だけで開催できるものではありません。名古屋市内の介護事業所等にお勤めの方々のお力を借りて「なごや介護の日フェア実行委員会」を結成し、開催をしております。

「なごや介護の日フェア」に向け、介護現場で働いている実行委員の皆さんの話を伺っていると、ユーモアとチャレンジ精神、そして介護に対する熱い思いと、介護業界を盛り上げたいという気概を強く感じます。介護について具体的にイメージできない人も、実際に介護現場で働いている方々のお話を聞けば、きっと新しい発見があるにちがいありません。

そこで今回は、「介護」とはどういったものなのか、介護の仕事の意義とは何なのかについて、介護業界の最前線で様々な取り組みをされている社会福祉法人の職員の方にインタビューをしました。介護に対する情熱と哲学が詰まったお話をお聞きできましたので、紹介させていただきます。

介護の仕事のどんなところに意義を感じたのでしょうか?

介護の現場では利用者の「死」は身近にあります。生きる気力を失い元気がなくなっていく方も大勢いらっしゃいます。
そんな時に介護士のアプローチによって、利用者から「もっと生きていきたいと思った、ありがとう」といった言葉をもらったこと。
本人のやりたいことを実現でき、さらに家族との関係も良くなって「こんなに大切に思ってくれていたってわからなかった。私は幸せだね」という言葉をもらったこと。
このような言葉をもらえたとき、介護の仕事のやりがいを感じます。
また、これらの経験を通じて、介護の仕事は、「生きがい支援」なんだと気づくようになりました。その人らしく最後まで生きることをサポートする「生きがい支援」を人生かけてやっていくんだ!と思うようになりました。

「生きがい支援」という目標を見つけた後の道のりは順調でしたか?

私が介護の仕事を始めた16年前、当時の介護施設は、業界全体として「生きがい支援」という視点よりも、「亡くなるまでの期間に過ごす場所」という認識の方が多かったんです。

これは業界批判をしたいわけではなく、制度や人材が整っていなかっただけで、誰が悪いとかではないんです。そんな中で、どうしてもやりきれない場面に遭遇したんですよね。
「転ぶと危ないから、動かないで・・・」「ケガするから何もしないで・・・」
当時の施設では、安心安全が優先されすぎた結果、本人が自分らしく生きる、つまりは生きがい支援が二の次とされていたのです。

だから、私は「生きがい支援」を実現するために挑戦しなければいけない、介護に携わる一人一人が実践できる「小さな革命」を起こしたいと思うようになりました。
でも、一人では難しい。そこで、まずは仲間を集めるところから始めました。

職員懇親会の模様

一人ではできない事も仲間がいれば実現できるという事ですね。どのように介護業界で仲間を増やしていったんでしょう?

まずは、地元の幼馴染、専門学校の同級生たちに「自身の勤める社会福祉法人で一緒に働こう!」と声をかけていきました。そして、少しずつ仲間と一緒に法人の既存のルールを変えていくことで、介護士一人一人が、利用者の生きがい支援に向き合えるようになっていきました。

そうお伝えするとキレイに聞こえるかもしれませんが、改革を進めるにあたり多くの退職者も出てしまいました。職員のニーズを汲み取れなかった当時の僕は未熟だったんです。

そんな中でも一緒に歩んでくれた仲間と一緒に一人一人の小さな生きがいをみつけて支援を重ねていきました。

仲間と共に「生きがい支援」に取り組んだ事例を紹介してください

本当にたくさんのことに取り組んできたので、1つに絞るのが難しいですが、その中でも一人への小さな生きがい支援から生まれ育ったプロジェクトについて、お話しさせていただきます。

デイサービスに通う94歳の山田さん。
絵を描くことが好きで、年に1回、デイサービスにて個展を開いています。
そんな山田さんへの生きがい支援として、「絵本を出版してみませんか?」と問いかけてみたところ、「そんなことできるの?やってみよか」とトントン拍子に話が進みました。

山田さんにとっては自身の絵を見てもらう場として、私たちにとっては介護の仕事の本質が生きがい支援であることを介護職の皆さんと次世代の子供達に伝える手段として、この取組をはじめました。

これが、94歳が描く、絵本で伝える本当の介護の仕事プロジェクト。「つむぐつながる共に。」です。
これも仲間で1つの目標に向かって進めていきました。

絵本の主人公は、介護福祉士。日々、塗り絵とかボウリングゲームとか自分達がやっているレクリエーションは、本当にその人たちの「生きがいにつながっているのだろうか?」と自問自答していく新人介護士の物語です。
こちらは、絵本の冒頭です。

「僕は常に自分にこの言葉を問いかけています。僕たちの仕事は専門職のエゴで終わらせてはいけない。僕たちには、じいちゃん、ばあちゃん一人ひとりの人生がかかっているんですから。」

そんな思いを込めています。
ここで、絵本のラスト一文を紹介させていいただきます。

「ひとりで 生きられる ことが じりつ ではなくて まわりの ひとと つながりながら たすけたり たすけてもらったり ありがとうって いったり いわれたり
じぶんに じしんをもって 生きる ってことなんだ」

介護の仕事は生きがいを支援することです。生きがいがあるから前を向いて生きていける。しかし、生きがいは決して一人では生まれません。人とのつながりがあるからこそ、生きがいは生まれます。

この介護の絵本「つむぐつながる共に。」の発行部数は5000部を突破。
多くのマスメディアでも取り上げられました。全国の図書館及び名古屋市内の全小・中学校373校への寄贈も実現し、それを皮切りに沖縄県や広島市等の寄贈活動も仲間の協力によって実現。現在は全国の小・中学校への寄贈に向けて動いています。

この取り組みを通して、どのような思いを持たれたのでしょうか。

私の身勝手な挑戦のそばには、いつも仲間たちがいます。
利用者、職員、同志、地域の方々がいて、私は私らしく生きることができています。
誰よりも私は、自立支援をしてもらっている、だから私もそれに応えていきたい。そう思っています。

皆さんには、信頼できる仲間・友人・家族・大切な人はいますか?
絵本にもあるように、一人で生きられることが自立ではありません。

「まわりの ひとと つながりながら たすけたり たすけてもらったり ありがとうって いったり いわれたり じぶんに じしんをもって 生きる ということ」

介護に関わる皆さん一人一人が、これに気付くこと、私が革命を起こすのではなく皆さん一人一人の小さな革命で明るい未来が見えると思っています。

誰よりも私は、「かけがえのない仲間たちから、自立支援をしてもらっている、だから私もそれに応えていきたい。」そう思っています。
私は、私ではない誰かが見るであろうその未来に希望を持っています。
人との繋がりから生まれる「生きがい」、「生きる意味」を、私はこれからも仲間と共に追い続けていきます。

最後に市民の皆さんへのメッセージをお願いします。

何度でもいいます。
「介護の本質は生きがい支援」です。
そしてそれは、全ての人に関わることです。
皆さんも自分自身とその大切な人のために、生きがいの重要性について考えてみてください。
そして、小さな一歩でいいので、行動をしてみてください。
一緒に明るい未来を追い求めていきましょう!

なごや介護の日フェア2023の様子

なごや介護の日フェア2024 11月9日(土)に開催します

ありがとうございました。エネルギッシュなお話をお聞きして、介護保険課の仕事にも「生きがい支援」の視点が活かせるような気がしてきました。

「11月11日」は「介護の日」と定められています。
「いい日、いい日」ということから「介護」に感謝を示す日という意味を持つからです。
そして、なごや介護の日フェアは、介護の日にちなんで「市民の皆さんに介護を啓発する」「未来の介護職人口の増加」という意義を持っています。
介護の本質である「生きがい支援」は、高齢者だけでなく、全ての人に必要な概念です。
それを難しい言葉ではなく、楽しめる体験として実感できるのがフェアの見どころです。

今年度のコンセプトは「ごちゃまぜ」=「GOTCHA」をテーマにしています。
多世代が活躍する「ごちゃまぜファッションショー」を中心に、人種・職種・年代を超えて会場がひとつとなる企画を進めています。

なごや介護の日フェア2024のチラシ

「なごや介護の日フェア2024」は以下の通り開催します。
当日は多世代が参加する「ごちゃまぜFASHION SHOW」やラジオの公開収録などを実施する予定ですので、皆さんぜひお誘いあわせの上お越しください!

なごや介護の日フェア2024
開催日:2024年11月9日(土)
時間:10:00~16:00
場所:久屋大通公園 エンゼル広場
公式HP:https://1111kaigo.com/