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鶴舞中央図書館に点字図書室(点字文庫)があるのをご存知ですか?

名古屋市広報課の丸澤です。
地名でよく問題になる鶴舞。駅名だと「つるまい」、公園だと「つるま」、ということで今回訪れたのは鶴舞(つるま)中央図書館、点字図書室(文庫)の取材に行きました。

皆さま、そもそも点字についてご存知でしょうか?
フランスのルイ・ブライユ(1809年1月4日~1852年1月6日)が、自身が3歳の時にけががもとで目が見えなくなり、目が見えない人が自由に、速く、読んだり書いたりできる文字「点字」を、16歳の時に考案しました。

日本では、1887(明治20)年に、ローマ字式の点字が初めて使われました。日本の点字は、1890(明治23)年11月1日に教員・石川倉次が考案した点字が採用され、11月1日を「日本点字制定記念日」としています。

点字図書室(文庫)は点字に留まらず、音声版の録音・貸出しがあります。障がいのある方の読書について知ってもらうため、夏休みには小学生を対象に親子体験教室(点字・音訳)の開催、点訳・音訳は多くのボランティアの方に支えられ、そのボランティアを養成するための講座を開いています。

視覚障がい者の方に限らず、こういった施設や活動があるということを多くの方々に知っていただきたく、記事にしました。ぜひ、最後までお読みいただけると嬉しいです。

【鶴舞中央図書館の基礎データ】

そもそも、「鶴舞中央図書館を知らない?」という方のために基礎データを。

鶴舞中央図書館は1923(大正12)年10月1日、市立名古屋図書館として鶴舞公園内に開館しました。1984(昭和59)年4月6日に現在の建物となっています。
蔵書数は約140万冊、年間貸出数は100万冊を超えます!

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点字文庫は全国に先駆けて1929年9月に開設、なんと100年近い歴史があります!
開設当初は207冊だった蔵書数も、令和3年3月末現在では約6,500タイトルの点字図書、約12,000タイトルの録音図書を所蔵しています。

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【対面読書室】

点字図書室(点字文庫)を案内していただいたのは、職員の大塚さん。
ご本人も視覚に障がいがあるとのことですが、キビキビ動かれていて、パソコンのタイピング、私より速い、、、

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最初に案内していただいたのは、対面読書室。

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こちらにあるパソコンには、スクリーンリーダーというソフトが入っていて、音声でパソコンの作業ができます。他の図書館で作られた資料を、ここで試しに聞くことができたりします。

対面読書室は、対面でボランティアが利用者に本などを読む部屋ですが、現在はコロナ禍でなかなかそういったこともできない、、、
いえいえ、出来なくてそれで終わりではなく、オンラインでも実施しています。

そもそも音訳は、文章だけではなく、図が入るものもあるので、それをどう音訳するのか、説明下手な私には困難なこと、凄いことをされています。
緊急事態宣言などでなかなか外出が出来ない中でも、試行錯誤しながら利用者の方へ何ができるかを職員も一生懸命考えています。

【映画も、楽譜も!?】

皆さま、DAISY(デイジー)図書をご存知でしょうか?
デジタル録音図書で、目次から読みたい章やページに飛ぶことができます。
(DAISYとはDigital Accessible Information Systemの略だそうです。今回調べて初めて知りました。)

広報なごやの市版・区版を録音し希望者にCD(RW)をお送りしていますが、映画も「聞く」ことができるんです!
私も見たことのある映画を聞かせていただきましたが、俳優の方の声はそのまま、ただ描写などの解説が入ります。また、音声が始まったときに「ビー」と音がなり、昔の映画館に行った時のような感覚を味わえました。

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写真はデイジー図書を聞くための機械です。

シネマデイジーには、洋画・邦画が数多くあり、「あの映画なら、どう説明しているんだろう?」など、自分ならこう説明するかなとか、いろいろと考えてワクワクしました。

著作権法が2009年に改正され、障がい者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定が整備され、音訳等を提供できる障がい者の範囲が広がるなど、多くの作品が利用者の方に届くようになっています。

そして、こちらは楽譜を点字で打った資料!

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利用者の中には楽器を演奏されている方もたくさんいるとのことで、いくつもの点訳された楽譜が鶴舞中央図書館にはあります。
点字を暗譜して皆さん弾くそうです。暗記力というのか、覚える量が凄いです。

私も暗記は得意ですが、音楽となると特異なことになるので、人前で歌うことは控えています。
他にも英語、クロスワードパズル、数学など多岐にわたります。色々と挑戦できる環境が出来ていて、正直驚きました。

【点字を実際に作ってみる】

現在では点字はパソコンで打ちますが、実際に手で点字を打つ体験をさせてもらいました。
点字器に紙をセットし、点筆とよばれる金属製の針状のもので紙を凹ませて点字を打っていきます。

以前にパソコンで点字を作っている所を見たことがありますが、大塚さんの実演を見たら、なんという速さ!機械よりも速かったです。

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私も打ってみましたが、それでも大塚さんには敵わず。

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夏休みに小学生向けの点字体験教室などもあるようなので、お子様がいらっしゃる方は一度参加してみてはいかがでしょうか?

小学生と真剣に勝負する、大人げない大塚さんを見られるかと思います(笑)

また、点訳ボランティア養成講座も行っています。 
点字図書は多くのボランティアの皆さまがいて成り立っています。
鶴舞中央図書館には現在は約80名の点訳ボランティアの方がいらっしゃいます。たくさんの人がいれば、たくさんの本などが点訳できます。

この日はボランティアグループの方、お二人にお話を聞きました。
お一人は20年近く点訳ボランティアをされていて、ご自身が本好きで、視覚障がいの方にも色んな本を読んで欲しいという気持ちからということでした。

もうお一人の音訳ボランティアの方は広報なごやを見て、音訳ボランティアというものがあると知り、参加されることになったそうです。
参加の形はそれぞれですが、話をさせて貰って、熱い気持ちが伝わってきました。
是非とも皆さま、ご興味あればご協力をお願いいたします。

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【書庫へ】

点字図書やデイジー図書、カセットテープなど様々なものがこちらに。
ここにあるもの以外は、「サピエ」というインターネット上の図書館で、全国から取り寄せることができるそうです。利用者からリクエストを受けた図書が、全国のどこにもないものは、鶴舞中央図書館の音訳・点訳ボランティアに製作してもらい、利用者に貸し出します。その後、サピエ図書館に製作図書を登録して、全国の方も利用できるようにしています。

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次は点字のプリンターを見せていただきました。
試しに打ち出しをしていただきましたが、プリンターの速さはもちろん凄いんですが、先ほどの大塚さんの点字を打つ速さが際立ました(笑)

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プリンターで出していただいたのは猫。

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色んなことができるようになってきています。
作る人の技量も問われそうで、不器用な私には難しいです(苦笑)
そう思っていたら、画像を取り込んでなぞるようにするものもあるようで、機械も相当進んでいます。

【最後に】

「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」、通称「読書バリアフリー法」が令和元年6月28日に施行されました。
障がいの有無に関わらず、全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現を目指しています。
恥ずかしながら市職員の私も、視覚に障がいがある人たちのための音声図書、点字のクロスワードパズル、楽譜などがあるとは知らず、まずは鶴舞中央図書館の点字図書室(点字文庫)にどういったものがあるということを知ってもらうことから始めないと、と思いました。

そして、このnoteの記事を見た皆さまの周りで視覚障がいがある方がいらっしゃいましたら、ぜひこういった場所があるということを周知していただきたいです。

写真は大塚さんと、さきほどプリンターで出していただいた猫の絵図とともに。
大塚さん始め、素敵な職員が多い職場でした。
名古屋市が全国に誇れる施設の一つです。

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ボランティアに興味ある方は「広報なごや」に、ボランティア養成講座の受講生募集案内が掲載された際には、よろしくお願いいたします。