名古屋市役所本庁舎、昭和8年竣工で88年、令和3年に3代目庁舎を紹介(市役所本庁舎物語)
名古屋市広報課の丸澤です。
市章が㊇である名古屋市、現在の本庁舎が竣工したのが昭和8(1933)年で、令和3(2021)年は88年を迎え、名古屋市と「八」には縁があるなとつくづく思います。
本庁舎、平成26(2014)年に国の重要文化財に指定されています。
お隣の愛知県庁舎も重要文化財に指定されていて、建物の雰囲気も良く似ているため「市役所に用事があるのですが、どちらが市役所でしたか?」と聞かれることもあります。
「時計塔が特徴で、より名古屋城に近い方が名古屋市役所で、屋根がお城のような感じのものが愛知県庁です。」というような答え方をしています。
今回の記事は、国指定重要文化財の名古屋市役所本庁舎について紹介します。
歴史
名古屋市は明治22(1889)年に市制施行、初代市役所庁舎の開庁式挙行は明治23(1890)年3月に執り行われています。
現在の栄交差点近くにありましたが、初代庁舎は明治40(1907)年10月に全焼しています。
2代目庁舎は明治42(1909)年10月に落成しています。
現在の中区役所の位置にありました。
昭和天皇御大典事業として3代目となる現在の市役所本庁舎が、昭和6(1931)年11月に起工し、昭和8(1933)年9月に竣工しています。
現在は五階の建物ですが、昭和26(1951)年に本庁舎東側四、五階側を増築しています。
正面玄関から入ったホールの二階と四階に、昭和60(1985)年と昭和8(1933)年当時の本庁舎の模型があるので、比べて見てください。
本庁舎は平成10(1998)年に国登録有形文化財に、平成26(2014)年に国の重要文化財に指定されています。
市長室(広報課は市長室に所属)、総務局、財政局、スポーツ市民局、経済局、環境局、健康福祉局、子ども青少年局、観光文化交流局、消防局、教育委員会事務局の各部署が本庁舎にあり、国重要文化財の中で働いているというのは他では中々体験できないことなので、誇らしく感じています。
個人的なお勧め:一階
市役所は一般の方も開庁日であれば、自由に入ることはできます。国重要文化財ということもありますが、映画・ドラマのロケ地として使われていることも多々あるので、コロナ禍前までは「観光客かな?」と思われる方も見かけたりしました。
職員によってお勧めポイントは異なるかと思いますが、私のお勧めを各階で紹介していきます。まずは一階から。
一階は正面玄関から入った「中央広間」。
玄関ホールの柱や階段手すりには、山口県産の「小桜」という良質の大理石が使われています。この大理石は国会議事堂の余材を使用したもので、この石を使っているのは国会議事堂と名古屋市役所本庁舎だけと言われています。
大理石をよく見るとウミユリの化石があり、これも他の市庁舎では味わえないかと思います。
手すり部分の照明器具は各階にもありますが、陶芸家であり、釉薬研究の第一人者と言われた小森忍氏の手によるものです。
個人的なお勧め:二階
二階のお勧めは、中央広間の階段を上がった「中央廊下」。
陶製のタイルで装飾され、このタイルは照明器具と同じく小森氏によるものです。
廊下の窓ガラスは、昭和初期に製作されたものがたくさん残り、当時のガラスは表面が波打っているため景色がゆがんで見えます。
ここもドラマのロケ地などに使われ、テレビを見ていて「あっ、うちの職場だ!」と少しテンションがあがったりもします。
個人的なお勧め:三階
三階のお勧めは「北側廊下」。
北側廊下は各階にありますが、個人的には陽の入り方が一番綺麗なのが三階ではないかと思います。
北側廊下でも特に東庁舎へと続く廊下が、冬の時期の夕方などがお勧めです。
北側廊下は非常に長く、全長が約100mもあります。
二階の中央廊下もですが、映画・ドラマを見ていると、「あっ、北側廊下だ!」と気づくこともあり、エンドロールを最後まで見ています。
個人的なお勧め:四階
四階のお勧めは「貴賓室」。
こちらは一般開放されていませんが、コロナ禍前までの11月3日文化の日に行われる庁舎開放日に見学可能です。
海外からの賓客などをお迎えする部屋で、シャンデリアや扉の飾り金具など、建設当時の内装・調度品がたくさん残っている貴重な部屋です。
貴賓副室をはさんで南側には貴賓化粧室があり、洗面台や洋式トイレが設置されています。壁や床は中央階段の照明器具と同じ小森氏が手がけた青色のタイルで装飾されています。
コロナ禍があけて見学が可能になったら、皆さまにもぜひ見学していただきたいです。
ちなみに広報課は先に書いた増築された東側四階にあります。
本庁舎には様々なタイルが使用されているのも魅力の一つですが、この増築された部分と竣工当時からある部分の廊下からの立ち上がりに使用されているタイルの形状が異なっていたりします。
写真にはあえてあげませんので、機会があれば見に来てください。
個人的なお勧め:五階
五階のお勧めは、時計台よりの北側廊下です。
北側の玄関からエレベーターで五階まであがり、西側に向かって歩いてすぐ左側に時計塔が見えてきます。
五階からの角度が、個人的には一番綺麗に時計塔を見ることができると思っています。
ここで見逃してほしくないのが、時計塔の下部を見ると庁舎の壁が黒く汚れているような箇所が見つかります。
これは、戦時中、空襲に備えて庁舎の壁に迷彩塗装を施していた痕跡です。
戦後に薬品を使って塗装を落としていますが、現在も一部にその後を残しています。
最後に
名古屋と言えば名古屋城、名古屋城と言えば金鯱を思い浮かべる方も多いと思います。
実は名古屋市役所の時計塔の頂上にも鯱がいます!
「四方にらみの鯱」
東西南北に睨みをきかせている鯱がいますので、本庁舎お越しの際は見上げてみてください。
今回記事を書くにあたり、知識としてすべてを知っていたわけではありません。
名古屋市公式ウェブサイトに様々な情報がありますので、こちらも見ていただけると幸いです。今回の記事にないものもあります。
https://www.city.nagoya.jp/somu/page/0000062076.html
中央広間、入ってすぐ左側にも「見どころココ!」がありますので、本庁舎お越しの際はこちらも見学前に見ていただけると幸いです。