若者の「したい」をかなえる場所“もいもい”
広報課の小川です。今年度も少しづつnoteをアップしていきたいと思っています。今回お邪魔したのは、子ども・若者総合相談センター金山Branchオープン型交流スペース“もいもい”です。
お話をお聞きする前は、ホームページで施設名を見て、生きづらさや悩みを抱えている若い方が、悩みを相談しに行く場所なのかな…。不登校の学生さんなどの居場所となる場所なのかな…と、かなり浅い知識のまま伺ってしまいました。さて、いったいオープン型交流スペースとは?"もいもい"とは?
以下、"もいもい"のスタッフ丹羽さん(以下敬称略)に取材させていただいた内容を紹介いたします。(―は小川が発言)
―"もいもい"は特徴的な名前ですが、どんな意味があるのでしょうか?
丹羽:"もいもい"はカンボジアのクメール語という言語で「一歩一歩」を表す言葉です。僕自身も青年海外協力隊に参加していたことがあるのですが、別のスタッフでカンボジアで青年海外協力隊をしていたスタッフがおり、開所時にスタッフ間でいくつか出し合った案の中から採用されました。
―"もいもい"はどんな人が利用できるのでしょうか?
丹羽:市内在住で15~おおむね39歳の人なら、誰でも利用できます。高校生や大学生は友達同士で利用する方もいるので、市内在住の友達と一緒に来た市内在学の方も利用できるようになっています。
利用方法はとても簡単。まずは、利用申込書を書きます。
利用申込書を提出すると、このようなカードがもらえます。
このカードを提示すれば、いつでも”もいもい”を利用できますよ。
家でも学校でもない自習スペース
”もいもい”の使い方は、人それぞれ。「家でも学校でもない、どこかで自習したい」という声をたくさんいただいているので、こんな自習スペースを用意しています。
最近はオンラインで宿題をする方たちも増えてきたので、Wi-Fiも電源もばっちり完備していますよ。
―コロナで学校がお休みになったときは、かなり需要があったのでは?
丹羽:コロナ禍で学校が休みになり、利用しに来る方もかなりいました。自習スペースを利用する方が増えたので、机やいすを急いで増やしたりしたんですよ。
ゆったり過ごせるハンモック
普段使いとしては、受験勉強や卒論を書くのに家だと集中できないため利用する、という方もいます。勉強に行き詰まったときは、こんなハンモックなんかもあるので、ゆったりと息抜きもできますよ。
ホワイトボードもあるので、この前はここで友達同士みんなで数式を解いていたり、ホワイトボードが掲示板になっていたり。
漫画やボードゲームなど、いろいろあるので、ワイワイ遊べるようにもなっています。
社会人でも39歳までなら利用できるので、資格の本や参考書もありますよ。
ドリンクコーナーはフリードリンク
ドリンクコーナーがあって、お茶やコーヒーなど自由に飲むこともできるんです。利用者によるドリンク投票を行っていて、自分が飲みたい飲み物にシールを貼って投票してもらう仕組みです。たくさんシールを貼られた飲み物は、更新のタイミングで採用されます。
静かに勉強したい人向けに、スタディルームと言って、がやがやしたオープンスペースとは少しスペースを区切られた、勉強をできる部屋もあります。
月替わりでさまざまなイベントを開催
ほかにも”もいもい”ではさまざまなイベントを行っています。
毎月第2土曜日・第4木曜日にヨガをやっていたり、様々な生き方や色々な職業の人の話を聞き、利用してくださっている若者の知見や考えを広げていただく「〇〇なひとの話を聞く会」や、季節ごとのイベントなども毎月企画しています。
「〇〇なひとの話を聞く会」では、過去に、ラジオDJ、アニメーター、スタイリスト、パイロット、保育士などの職業的な側面からお話いただいたものや、保護猫活動の取り組みをしている方や、再非行を防止する活動をしている方などにもご登壇いただきました。
サークル活動ができるセミナールーム
そして最後に、注目はここ!セミナールーム。2人以上なら、月曜・水曜・金曜日の午後4:30~8:30で、空きさえあればいつでも予約ができますよ。使い方はさまざま。
スピーカーなどの音響機器、ギターなどが常備してあり、音楽の練習をできます。実は、これ、もともとスタッフの私物だったものなんです。
鏡になっているパーテーションが6枚もあるので、並べてダンスの練習にも使えます。
卓球台まであるので、卓球を楽しんでいる人たちもいます。
個別の相談にも応じています
学生生活でも社会に出てからでも、受験勉強であったり、家族関係であったり、新生活であったり、誰しも「しんどい」と感じたり、モヤモヤを抱えたりすることがあると思います。この”もいもい”を利用してもらう中で、そんな時に私たちに愚痴でも悩みでも吐き出してもらうことで、少しでも楽になってもらえれば、というのが、この”もいもい”の存在意義だと思っています。
また、ここのスタッフは、社会福祉士などの有資格者もいます。
利用者の方に声を掛けたり、お話ししたりする中で、なにかモヤモヤをキャッチした時は、個別に相談することもあるんですよ。
―実際に相談されたことは、どのようなことがあるのでしょうか?
丹羽:例えば、自分が考えている将来と、親がこうなってほしいと思っている進路が違ってしまい、どうすればよいかわからないという相談を受けたことがありました。その時は、親御さんとどうやって話をしたらいいか、どんな方法で進んでいったらいいかなど、一緒になって考えます。もちろん、すぐに解決方法を示せるわけではないですが、本人がどうやったら解決していけるか、手助けをできるといいと思っています。
ほかにもこんな高校生がいました。
最初「怪しい施設では…?」と認識されご利用いただけなかったようですが、「ドリンクもwi-fiも無料」につられて利用し始め、利用する中で目標を達成できたということもありました。彼は、友人関係などいろいろと悩みがあったのですが、”もいもい”で猛勉強され、有名国公立大学に進学しました。
彼から「”もいもい”で交友関係が広がり、誰かに認めてもらうことや、集団のなかで何かを決めていく大切さを学んだ」と言われたことは、すごく印象に残っています。
―普段からの関係を築くなかで、そういった相談につながる。それで少しでも心が軽くなる人がいるのであれば、本当にすばらしいですね。
丹羽:”もいもい”の掲示板の下には、表立って悩んでいるとか、相談したいとか言い出しにくい人のために、LINE相談を案内するカードや、子どもの人権を守る施設なごもっかのカードなどがそっと設置されています。
ー最後にメッセージをお願いいたします。
丹羽:何かと「新」のつくこの季節ですが、新高校生や新大学生、新社会人のみならず、名古屋市内在住もしくは在学であれば、どなたでもご利用いただけるスペースです。皆さんそれぞれの目的や目標を達成する場として、ぜひ”もいもい”をご利用いただければと思います。そして目標や目的に向かう中で、何か話したい気持ちになりましたら、ぜひスタッフまでお声掛けください。多様なバックグラウンドを持つスタッフが、可能な限りサポートできたらと思っています。