南区いい湯だな♪銭湯めぐり(第4回~山田温泉編~)
どうも~。名古屋市南区役所地域力推進室の「せんとうくん42歳」だよ。
今月も26日(風呂の日)を迎えました。名古屋市南区の銭湯を紹介するnoteこと「南区いい湯だな♪銭湯めぐり」の4回目でございます。
更新日の10月26日はタレントのチャック・ウィルソンの誕生日とのことです。オールスター感謝祭における藤原組長との相撲対決が脳裏に焼き付いて離れないという方も多いのではないでしょうか。
また、1941年に競走馬のセントライトが京都農林省賞典四歳呼馬(菊花賞の旧名称)を勝ち、日本競馬史上初の三冠馬となった日でもあるとのことです。私は4日前に行われた今年の菊花賞を的中できているでしょうか。
未来と過去を行ったり来たりしながら、私利私欲にまみれながら、今月もよろしくお願いします。
今回ご紹介する銭湯は?
今回の銭湯はこちらです!
南区の中心からやや東寄り、名鉄「本笠寺駅」からは南へ、「本星崎駅」からは北へ徒歩7分ほどのところにある「山田温泉」でございます!
山田温泉の施設情報はこちらから(【公式】あいち銭湯ホームページ)
銭湯レポート(外観から脱衣所まで)
※許可を得て撮影しています。
こちらは入口の写真です。「ゆ」と潔く一文字書かれた看板が、銭湯らしさ全開で素敵です。
この入口の隣には立派な自転車置き場があります。
屋根付き、というより屋内といった感じの自転車置き場です。これなら雨が降っても安心です(行きと帰りは知りません)。元々コインランドリーにするつもりだったところをやめて自転車置き場にしたことから、このような形に落ち着いているそうです。
と、写真の真ん中あたりに見覚えのあるオレンジ色のポスターが貼ってあるな。
中に入ると何てことのない料金表が掲示されています。この何てことなさがいいですよね。何てことのない絵を飾って、何てことのないレコードをかけて、部屋にはピンクのペンキを塗って、庭には犬を走らせたくなります。
こちらが山田温泉のフロントです。
暖簾(のれん)をくぐって脱衣所へ!
山田温泉は男女左右対称なつくりで、設備なども違いはないとのことですので、ここからは男湯のみのレポートとなります。
清潔感のある脱衣所です。座る場所多めです。
反対側にはロッカーがあります。この白塗りの木製ロッカー最高じゃないですか?良きレトロだと思います。
ロッカーって何番に入れようかなぁとか無意味に考えちゃいますよね。何となく7番をアップで撮影してみました。元中日ドラゴンズの宇野勝がチラついたのかな?(根尾じゃないんかい。)
脱衣所と浴室の間にはこのような空間があります。右手に洗面所とシャワー、左手にサウナと水風呂があります。脱衣所と浴室の間にサウナがあるパターンですね。サウナについてはまた後ほど触れます。
銭湯レポート(浴室)
それでは浴室に入ってみましょう!
浴室は手前側から見るとこのような感じです。山田温泉の浴槽は丸みを帯びた部分があるパターンですね。
そして、浴槽のタイルの色が特徴的です!浴槽の外部にまだらな黄土色のタイルを使用しています。浴室壁面や床の白色と、浴槽内部の青色と、この黄土色の織り成すコントラストがいいですよね。
こちらは浴室の奥から撮影したものです。奥の方、何か岩が積んであるな(笑)。
流し場はこのような感じです。
一般的な銭湯の仕様です。
ですが、一部のシャワーがホースありの押し型となっています。慣れてない方はこちらの方が使いやすいかと思います。
それではお風呂を見ていきましょう。
こちらはメインの浴槽のアップです。
メイン浴槽の隣には電気風呂があります。よく見ていただくと、電極(写真の左右にある金属プレート)が埋め込まれていますよね。
しかもこの電気風呂、「押す」、「揉む」、「叩く」の機能を持っています。実は南区にある水野通信工業が製造している「揉兵衛(じゅうべえ)」という製品を使用しています(後述のインタビューでも触れてます)。
以前から記事に登場している健美薬湯に続き、南区内にある銭湯に関係した会社です。南区は銭湯が多いだけじゃなく、銭湯を支える会社もあるんです。「南区はどう考えたって銭湯のまちやん!」と声高に改めて宣言しておきましょう。
こちらは浴槽群の中央にある気泡風呂とハイドロ浴です。気泡風呂は泡だけを送るお風呂です。ハイドロ浴はポンプで圧力をかけた水に空気を混ぜて噴射させるお風呂で、ジェットバスです。
こちらがくすり風呂です。やっぱり岩の存在感が気になってしましますが、詳細は店主インタビューに任せるとして、泡がポコポコのバイブラ仕様となっています。この日は漢方薬草風呂でした。
銭湯レポート(サウナ)
次はサウナのご紹介です。
こちらがサウナの入口です。白い扉に赤い取っ手が何ともシャレオツ!
サウナストーブはガス遠赤外線です。サウナ室内にはオリンピア・サウナとの表示があります。
サウナ室はこのようになっています。座面は2段で、合計8人ぐらいは座れるでしょうか。銭湯サウナにしては広いつくりです。あ、前回の名古屋温泉の完コピになってしまった…。きちんと熱さのある良いサウナだと思います。
サウナ室内のもろもろです。山田温泉のサウナにはテレビがあります(よって2カ月連続のモザイク登場)。銭湯サウナでテレビがあるところは少ないです。
汗臭さを消すためにラベンダーの入った袋を吊るしてくれる心遣いもいいですね。また、サウナ室内の照明のレトロ感は個人的にお気に入りです。
それにしても床に置いてあるこの木の塊は何なんだ…。
そんな疑問を携えながら水風呂へ。
程よい冷たさのある水風呂です。
水風呂の横には石のベンチがあります。これはサウナーにとっては非常に嬉しい!
銭湯サウナの場合だと、休憩するためのイスが用意されていないところも多いですが、山田温泉は水風呂上がりにこのベンチで休憩することができます。
なお、そもそもサウナ入るのに休憩とか必要あるのか?という意見の方もいらっしゃいます。それについては、そもそもサウナの入り方に正しいも間違っているもない。各々が好きに入ったらええやんと、せんとうくん42歳は考えております(だけど他の人に迷惑はかけちゃダメよ)。
銭湯レポート(湯上がり)
湯上り後の待合は大きく分けて2か所あります。
ひとつはベンチとイスがある場所。おっと、ここにも見覚えのあるオレンジ色のチラシが置いてあるな。
そしてもうひとつがこちら!何と畳のスペースがあります!これはくつろいじゃいますね。床の間まで設けられています。
畳のスペースには雑誌類が置いてあります。「週刊つりニュース」のステッカーに目がいかない人はいないでしょう。店主さんは無類の釣り好きでございます。
有料のマッサージチェアも置いてあります。
湯上り後のお供はこんなラインナップです。
店主インタビュー
というわけで、店主インタビューです。店主は山田正行(やまだ まさゆき)さんです。
――山田温泉の歴史を教えてください。
山田正行さん(以下、山田) 開業は昭和33年ですので、伊勢湾台風の1年前ですね。父が百姓だけではやっていけないということで始めたんじゃないかと思います。
――山田さんはどのような流れで店主になられたのですか。
山田 私は2年ほど会社勤めをしてから手伝いを始めました。父から「風呂屋をやれ」と言われて、昭和44年に2軒目として白雲町に開業した白雲温泉(今から11年前に廃業)を兄が切り盛りしていたので、昭和47年から2代目として山田温泉を引き継ぎました。
――山田温泉は水道水を使用していますか。
山田 開業するときには井戸を掘ったのですが、そぶ水(鉄分を多く含む水)が出てしまったので、100%水道水を使用しています。
――燃料に薪を使用しているとのことですが、調達はどのようにされていますか。
山田 木材加工工場の廃材をトラックでいただきに行っています。木材加工工場の社長さんはわがままを聞いてくださる良い方です。燃料には焚き付けの時に重油を使用していますが、感覚的には全体の1%程度で、大部分は薪を使用しています。
――現在の浴室はいつ頃つくられたものでしょうか。
山田 平成5年に全面改装しました。建物の本体以外は全て改装しましたね。なので、浴室もその時につくられたものです。
――私が入った時は浴槽によって温度が異なるように感じたのですが、温度を変えていますか。
山田 手前側のくすり風呂から奥のメイン浴槽にかけて順に温度が高くなっていくようにしています。熱いのが好きな人もいればぬるいのが好きな人もいますので。くすり風呂は長く入ってもらいたいので、ぬるめにしています。
――浴槽の外壁部分の黄土色のタイルはどのような経緯で貼り付けられましたか。
山田 業者さんが見本を色々と持ってきてくれて、どれがいいかなと見ていると、おすすめとして出してくれました。「あっ、これいいわ!」と決めました。
――くすり風呂のところに岩が設置されていますが、経緯を教えてください。
山田 改装前は今の洗面所のあたりに中庭があったんですね。改装時にその中庭のイメージを残すために一部の岩を設置しました。のっぺらではつまらないですから、趣が出ていていいでしょ。
――私が入った日はくすり風呂にハーブが浮かべてありましたが、くすり風呂はいつもそのような感じですか。
山田 生薬系を袋に入れて浮かべる時と入浴剤を入れる時で大きく分けて2パターンあります。くすり風呂は日替わりで、連続10日間ぐらいは違うお風呂になるようにしています。
――電気風呂のところに「押す」、「揉む」、「叩く」と書いてある表示がありましたが、その機能があるということは、電気風呂には「揉兵衛」を使用していますか。
山田 その通りです。水野通信工業さん(南区の会社)の揉兵衛を導入しています。以前は近くに会社があったので、実は揉兵衛のテストをウチでしていたんですよ。
――シャワーの一部を押し型のホースありのものにした経緯は何ですか。
山田 近くにあった日の出湯さんが廃業することになって、まだ取りつけたばかりだったシャワーがあったので、「これもらっていい?」と聞いたらもらえることになりました(笑)。自分で取り外して自分で取りつけました。
――サウナ室内にある木のブロックは何ですか。
山田 あれはヒノキのブロックです。当初は香りを目的に置いていましたが、今は香りがしませんね。でもサウナ室の座面に座ると熱いと感じられる方が腰掛として使用しています。
――サウナのこだわりポイントがあれば教えてください。
山田 銭湯のサウナにしては広いところと、テレビがあるところです。また、水風呂の横に石のベンチを用意していますので、そこで休憩することもできます。
――湯上りの畳スペースの評判はどうですか。
山田 畳スペースは私のこだわりです。畳が好きなんです。フローリングだけだとのぼせた時に横になれませんが、畳は横になれます。畳スペースをつくりたいと業者さんに言ったら、「じゃあ床の間もいるね!」と言われて、床の間までついてしまいました(笑)。お客さんからも落ち着いていいねと言われています。
――他にも山田温泉のこだわりはありますか。
山田 男湯と女湯の間にある壁の上部に設置したガラスブロックもこだわりです。覗き防止で岩が積んであるくすり風呂のところは高くしてありますが、結果的に平坦でなくなって、アクセントが出ていいなと思っています。
――銭湯を経営していてよかったことを教えてください。
山田 色んな方と知り合えたことですかね。お客さんから教えてもらったことを参考にしたこともあります。
――逆に経営していて大変だったことを教えてください。
山田 やはり経営が厳しいところですかね。昔はお客さんが今の倍近くいたんですがね…。
――山田温泉の将来的な見通しを教えてください。
山田 実は息子が大学を卒業する時に継ぐと言ってくれたんですが、断ったんです。息子の代までやろうとすると建物を建て直さないと無理ですが、そんな資金もないですから。今後は、夫婦どちらかに何かがあったらやめることになるでしょうね。その日がいつやって来るのか分からないですけど。
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いかがでしたでしょうか。
人とのつながりを大切にしながら、素晴らしい銭湯を作り出していることが伺えるお話でした。
あと、息子さんが継ぐと言ってくれたのに断ったという話。正直、聞いた瞬間は「もったいない!」と思ってしまいましたが、これはあくまで銭湯文化が長く続けばいいと外側から見ている人間の話です。銭湯の経営状況を踏まえ、息子さんを思いやる親心を考えれば、やはり仕方のない判断なのかと思います。
最後になりますが、今回の記事いけてるやん!と思っていただけたなら「♥スキ」を押してください。よろしくお願いします!
それではまた来月お会いしましょう。